4. 1964年1月生まれの女性に届くのは特別支給の老齢厚生年金の請求書

10月23日に請求書が届く人のうち、1964年1月21日から2月1日に生まれた女性は、65歳ではなく63歳を前に請求書を受け取ります。これは、65歳になるまでの間に受け取れる特別支給の老齢厚生年金の請求書です。

特別支給の老齢厚生年金は、女性なら1966年(昭和41年)4月1日以前に生まれ、厚生年金保険に1年以上加入していたことなどが要件です。1962年(昭和37年)4月2日から1964年4月1日に生まれた女性は、63歳から報酬比例部分を受け取れます。

4.1 特別支給の老齢厚生年金に繰下げの制度はない

注意したいのは、この年金は待っても増えないことです。先ほどの日本年金機構の案内にも、次の注記が添えられています。

※特別支給の老齢厚生年金には「繰下げ制度」はありません。受給権発生日以降に速やかに請求してください。

出所:日本年金機構「年金請求書が届いた方へ(老齢年金の制度や手続きのご案内)」

日本年金機構の「老齢年金の繰下げ受給を希望している方へのお知らせ」でも、特別支給の老齢厚生年金は請求から5年以上前の分が時効で受け取れなくなると案内されています。「65歳からの年金と一緒に繰り下げよう」と考えて請求しないままでいると、増えないうえに古い月の分から受け取れなくなるおそれがあるのです。

4.2 65歳からの年金はあらためて選べる

特別支給の老齢厚生年金を受け取っていても、65歳からの老齢基礎年金と老齢厚生年金は、あらためて繰下げを選べます。65歳の誕生月には、はがき形式の年金請求書が届きます。

このはがきについて、日本年金機構は、両方を繰り下げるなら提出は不要で、一方だけを繰り下げるなら該当する欄にチェックして提出するよう案内しています。63歳の請求書と65歳のはがきは、扱いが違うと覚えておくとよいでしょう。

5. 繰下げを待つ間は加給年金も年金生活者支援給付金も受け取れない

繰下げで年金を増やせる一方で、待っている間に受け取れなくなるお金もあります。請求書を出さないと決める前に、自分に当てはまるものがないか確かめておきたいところです。

5.1 加給年金額と振替加算

年下の配偶者がいる人などに付く加給年金額や、自分の老齢基礎年金に上乗せされる振替加算は、繰下げを待っている間は受け取れません。日本年金機構の「年金の繰下げ受給」でも、この点に注意を呼びかけています。

5.2 年金生活者支援給付金

所得が一定の基準以下の人に年金と一緒に支払われる年金生活者支援給付金も、老齢基礎年金を受け取るまでは請求できません。65歳を迎える人向けの日本年金機構のリーフレットには、次のように書かれています。

老齢基礎年金を受け取るまでの間は、年金生活者支援給付金の請求はできません。

老齢基礎年金を繰下げたことにより年金額が増額した場合、裏面の支給要件を満たさなくなることがあります。

出所:日本年金機構「年金生活者支援給付金 請求手続きのご案内(令和8年10月改定版)《65歳の誕生日を迎える方へ》」

年金生活者支援給付金は、世帯全員の市町村民税が非課税で、年金収入とその他の所得の合計が一定以下の人などが対象です。繰り下げると、待っている間は給付金を請求できず、年金が増えた結果、対象から外れることもあります。

6. まとめにかえて

65歳の3か月前に届く年金請求書は、老齢基礎年金と老齢厚生年金の両方を繰り下げるなら、いま出す必要はありません。片方だけを65歳から受け取るなら、65歳になってからそちらを請求します。

一方で、63歳から受け取る特別支給の老齢厚生年金には繰下げの制度がなく、待っても増えません。繰下げを待つ間は、加給年金額や年金生活者支援給付金も受け取れなくなります。

どれを選ぶかで、受け取る総額も、その後の税金や保険料も変わってきます。請求書が届いたら、年金事務所や街角の年金相談センターで見込額を聞いたうえで、受け取り方を決めてみてください。

参考資料

太田 彩子