65歳が近づくと、日本年金機構から老齢年金の請求書が届きます。年金を受け取るための大切な書類ですが、繰下げ受給を考えている人にとっては、出してよいのか迷う書類でもあるでしょう。
日本年金機構の年間予定表では、10月23日に1962年(昭和37年)1月21日から2月1日生まれの人へ、10月30日には2月2日から9日生まれの人へ発送する予定になっています。この記事では、繰下げを考えている人が請求書をどう扱えばよいのかを、日本年金機構の案内をもとに確認します。
1. 【年金請求書】10月23日から1962年1月下旬生まれの人へ届く
今回取り上げるのは、次のような疑問です。
「来年1月に65歳になります。年金請求書が届く時期ですが、年金は少し待って増やしたいと考えています。それでも請求書は出さないといけないのでしょうか?」
先に答えをお伝えすると、老齢基礎年金と老齢厚生年金の両方を繰り下げるなら、いま請求書を出す必要はありません。片方だけを65歳から受け取るなら、そちらを請求することになります。
1.1 届くのは65歳の誕生月の3か月前
年金請求書(事前送付用)は、65歳になる月の3か月前に、基礎年金番号や加入記録が印字された状態で本人あてに届きます。提出できるのは65歳になってからで、65歳になる前に出しても受け付けられません。
10月23日の発送分は、1962年1月21日から2月1日に生まれた人が対象です。同じ日には、1964年(昭和39年)1月21日から2月1日に生まれた女性にも請求書が発送されます。
2. 老齢基礎年金と老齢厚生年金の両方を繰り下げるなら年金請求書は提出不要
繰下げ受給を考えている人がまず知っておきたいのが、請求書を出さなくてよい場合があることです。日本年金機構の「年金請求書が届いた方へ」では、次のように案内されています。
なお、老齢厚生年金・老齢基礎年金ともに後日あらためて繰下げ請求予定の場合は、現時点での請求書の記入・提出は不要※です。
出所:日本年金機構「年金請求書が届いた方へ(老齢年金の制度や手続きのご案内)」
年金請求書を出すかどうかは、老齢基礎年金と老齢厚生年金をいつから受け取るかで分かれる1/2
出所:日本年金機構「年金請求書が届いた方へ(老齢年金の制度や手続きのご案内)」、「年金の繰下げ受給」をもとにLIMO編集部作成
2.1 繰下げの申出は66歳以後
両方を繰り下げる人は、66歳以後で受け取りを始めたい時期に、あらためて手続きをします。増額率は手続きをした時点で決まるため、いつ申し出るかがそのまま年金額に反映されるわけです。
なお、どちらか一方だけを繰り下げることもできます。老齢基礎年金は65歳から受け取り、老齢厚生年金だけを待つ、といった選び方です。
2.2 繰下げの増額率は1か月0.7%
繰り下げた年金は、待った月数1か月につき0.7%増えます。66歳で8.4%、70歳で42%、75歳まで待つと84%の増額です。
2026年度の老齢基礎年金の満額は年84万7300円です。この額をもとに、受け取りを始める年齢ごとの年金額を計算すると、次のようになります。
- 65歳(増額なし):年84万7300円
- 66歳(8.4%増):年91万8473円
- 68歳(25.2%増):年106万819円
- 70歳(42.0%増):年120万3166円
- 75歳(84.0%増):年155万9032円
いずれも2026年度の満額をもとにした概算で、税金や保険料が差し引かれる前の額です。実際の年金額は、毎年度の改定によっても変わります。
3. 片方だけ繰り下げるなら65歳から受け取るほうを請求する
老齢基礎年金か老齢厚生年金のどちらかを65歳から受け取るなら、65歳になってから請求書を出します。繰り下げるほうは、66歳以後に受け取りたい時期が来たら申し出る流れです。
請求書の書き方で迷ったら、記入する前に年金事務所や街角の年金相談センターで確かめておくと安心です。どちらを繰り下げるかで、受け取り始める額も、その後に増える額も変わってきます。
まとめると、年金請求書は「受け取る」と決めた年金のための書類です。両方を待つなら手元に置いておき、受け取りを始めたい時期が来たら、あらためて手続きをします。
ここからは、1964年1月生まれの女性に届く請求書の違いと、繰下げを待つ間に受け取れなくなるお金を見ていきます。