3. 老齢基礎年金の受取口座を変えるなら「年金受給権者 受取機関変更届」

年金定期預金を使うために受取口座を別の金融機関に移すときは、日本年金機構への届出が必要です。金融機関で口座を作るだけでは、年金の振込先は変わりません。

3.1 12月15日の支払いに間に合わせるなら11月15日ごろまで

年金は偶数月の15日に、前の2か月分がまとめて振り込まれます。次の支払日は2026年12月15日です。

日本年金機構は、受取口座の変更を次の支払日の1カ月以上前までに手続きするよう案内しています。12月15日の支払いから新しい口座で受け取りたいなら、11月15日ごろまでに届け出ておく計算です。

3.2 届書の出し方と金融機関の証明

使う届書は「年金受給権者 受取機関変更届」で、近くの年金事務所か街角の年金相談センターに出します。届書は日本年金機構のホームページからダウンロードでき、窓口やねんきんダイヤルでも受け取れます。

届書には、新しい口座について金融機関の証明を受けるのが原則です。ただし、窓口に預金通帳を持っていく場合や、金融機関名・支店名・口座番号・口座名義人のフリガナが載った部分の写しを付ける場合は、証明はいりません。

3.3 公金受取口座を変えても年金の口座は変わらない

マイナンバーにひもづけた公金受取口座を別の口座に変えても、年金の受取口座は自動では変わりません。電子申請ができるのは、年金を受け取る口座を公金受取口座に変える場合に限られています。

日本年金機構によると、新しい口座に初めて年金が振り込まれるまでは、念のため古い口座をそのまま残しておくのがよいとされます。届書を出した直後の支払日は、どちらの口座に入るかを通帳で確かめておくと安心です。

4. 【注意したい点】年金定期預金の特別金利には期間と条件がある

年金定期預金は、受取口座を指定するだけで金利が上がる点がメリットです。一方で、特別金利が続く期間や、条件を外れたときの扱いも決まっています。

4.1 特別金利は最初の1年だけの場合がある

イオン銀行の年金定期預金では、特別金利が適用されるのは預け入れたときだけです。自動継続したあとは、満期日時点の1年もの定期預金の店頭表示金利になります。

伊予銀行では、年金を1口でも他の金融機関に移すと、預け入れたときにさかのぼって店頭表示利率が適用されます。受取口座を移して上乗せを受けたら、しばらくは同じ口座で受け取り続ける前提で考える必要があるのです。

4.2 預けられる金額と途中で解約したときの金利

預けられる金額にも決まりがあります。伊予銀行は10万円以上1000万円以内(しあわせ賛歌[1]との合算)、中国銀行は2026年1月19日から1人2000万円までです。

満期の前に解約すると、上乗せ後の金利ではなく中途解約の利率になります。伊予銀行では、預入期間が6か月未満なら解約時の普通預金利率です。

4.3 預金保険で守られるのは1金融機関1000万円まで

定期預金は預金保険の対象です。預金保険機構によると、決済用預金以外の預金は1つの金融機関ごとに合算して、預金者1人あたり元本1000万円までと破綻日までの利息などが保護されます。

年金定期預金の預入限度額が1000万円を超える金融機関もあります。同じ金融機関に普通預金も預けている場合は、合計で1000万円を超えていないかも確かめておくとよいでしょう。

4.4 ほかの預け先と比べるときは期間をそろえる

財務省が10月15日に発表した新型窓口販売方式の5年利付国債(第188回)は、表面利率が年2.4%(税引後 年1.912440%)です。募集期間は10月19日から30日で、償還期限は2031年9月20日です。

年金定期預金は1年もの、この国債は5年ものと、お金を置いておく期間が違います。金利の数字だけで比べず、使う予定のある時期と合わせて選ぶことが大切です。

5. まとめにかえて

年金定期預金は、公的年金の受取口座にしている人が預けられる定期預金で、老齢基礎年金だけを受け取る人も対象になります。上乗せの幅は、例に挙げた3つの金融機関でも0.1%から0.49%まで違いました。

300万円を1年預けた場合、上乗せ分の利息は税引後で2391円から1万1714円です。一方で、特別金利が最初の1年だけだったり、年金を他の金融機関に移すと店頭の金利に戻ったりする条件もあります。

受取口座を変える手続きは年金事務所や街角の年金相談センター、預金の条件は金融機関の窓口で確かめられます。12月15日の支払いから口座を移したい人は、11月15日ごろまでに届書を出せるよう、早めに両方へ問い合わせてみてください。

※免責事項

  • 本記事は一般的な情報提供のみを目的としており、特定の金融機関や預金商品の利用について助言や推奨するものではありません。
  • 本記事上の情報に起因、また関連して生じた損害や損失に関しては一切の責任を負いません。
  • 預け入れや年金の受取口座の変更の判断は、日本年金機構や各金融機関の最新の情報をご自身でご確認の上、自己責任で行ってください。
  • 預金の金利や上乗せの幅、商品の条件などは変更される可能性があるため、必ず各金融機関の公式サイトでご確認ください。

参考資料

太田 彩子