壊れやすい卵を1つの容物に入れておくと、落とした時には、全て割れてダメになってしまいます。同様に、資産運用も、同一の投資先に資金を集中すると、値下がりに見舞われた時、損失が大きくなります。投資する資産や通貨、期間、タイミングなどを分散する「分散投資」が、資産運用の基本です。たくさんの金融商品の中から、何をどのようなバランスで保有するのか、組み合わせることを「ポートフォリオを組む」といいます。

「遠くのものは避けよ」―分からない投資先は買わない

この格言がいう「遠くのもの」とは、自分があまり得意としていない分野や、よく理解していない投資先のことです。つまり、分からないものには手を出すな、という意味です。数字を基に投資先を選ぶのも大切ですが、好きな国とか、仕事でよく知っている業種とか、愛用している商品を作っている会社とか、多少なりとも知識や親近感を持っている投資先を選んだ方が、間違いは少ないでしょう。

金融機関の担当者に「オススメ」されて、精査もせずによく分からない投資先に安易に資金をつぎ込むようなことは避けましょう。

「たい焼きの頭と尻尾はくれてやれ」―欲張り過ぎない

たい焼きは、頭と尻尾を除いた胴体の部分にあんこが詰まっています。おいしい部分をしっかりいただきながらも、欲張り過ぎずに、頭と尻尾は他の人に食べさせてあげろという意味です。投資でも、最安値で買って最高値で売るのが理想ですが、それはまず無理な話です。腹八分で納得し、余裕をもって売買せよということを説いています。

投資の世界に限った教訓ではありませんが、欲張りすぎるとロクなことがないのです。

「買うべし、売るべし、休むべし」―時には休みましょう

1年中、売ったり買ったりするのではなく、時には休み頭をリセットし、相場動向を外から観察することも必要だという意味です。景気の見通しが分からない時や、投資に回せる余裕資金がない時などは、一旦立ち止まり、休むことも大切です。その間に相場が有利な方向に進むこともあるかもしれません。

同様の意味で「休むも相場」という格言もあります。

「エコノミストは理路整然と曲がる」―エコノミストをあてにしすぎない

「曲がる」というのは、予測が外れることを意味します。経済学者やアナリストは、経済や政治を考慮して色々と理屈をつけ、相場を予測します。彼らの分析そのものは正しくても、相場はその通りの方向には動かないということもあります。年始にその年の市場を予測する際、プロであるエコノミストが、人によって真逆の予測をすることが多々あります。上がると予測しようと下がると予測しようと50%の確率で当たるものだと考え、参考程度にした方がよいかもしれません。

また、金融機関の担当者の予測の精度が、それ以上ということもないでしょう。予測が外れたからといって、あなたの投資に責任を取ってくれるわけでもありませんし、「オススメ」に安易に乗らないようにしましょう。

おわりに

今回は、投資の格言を紹介しながら、投資は余裕資金ですべきという大原則と、長期・分散投資の重要性、分からない投資先は避けることなど、投資の基本を学びました。また、エコノミストや金融機関の話は全面的に鵜呑みにせず、参考程度にしましょう。最後は自己判断です。欲張り過ぎず、時には休みながら、是非とも投資を楽しんでください。

広瀬 まき