厚生労働省が2026年10月7日に公表した毎月勤労統計調査(2026年8月分の速報)によると、事業所規模5人以上の一般労働者の所定内給与は35万3346円で、前年の同じ月より3.8%増えました。3%以上の伸びが8か月続くのは、調査を始めた1994年1月以来初めてです。物価や給料が動くなかで、老後のお金の見通しを立て直したい方もいるかもしれません。

給料が上がっていくなかで、「会社を辞めるときにもらえる退職金は、月給の何か月分くらいなのだろう」と気になる方もいるでしょう。退職金の金額だけを見ても、自分の給料と比べてどのくらいなのかは、なかなかつかみにくいものです。

本記事では、厚生労働省の調査から、退職金が退職時の月給の何か月分にあたるのかを、定年退職した人の学歴・職種別と、退職の理由別に見ていきます。5年前の調査との違いや、退職金の見込みを確かめるときの順番もお伝えします。

1. 定年退職者の退職金は、月給の何か月分か。34.3〜38.6か月分に

厚生労働省の「令和5年就労条件総合調査の概況」(常用労働者30人以上の民営企業が対象)では、退職給付制度がある企業で、令和4年の1年間に勤続20年以上かつ45歳以上で退職した人の1人平均の退職給付額と、それが退職時の所定内賃金の何か月分にあたるか(月収換算)が示されています。調査の対象となる労働者は、期間を定めずに雇われている人で、パートタイム労働者は含みません。

定年で退職した人の月収換算は、「大学・大学院卒(管理・事務・技術職)」が36.0か月分、「高校卒(管理・事務・技術職)」が38.6か月分、「高校卒(現業職)」が34.3か月分です。退職時の所定内賃金(月額)は、それぞれ52.6万円、43.5万円、34.5万円、1人平均の退職給付額は1896万円、1682万円、1183万円でした。

定年退職者の退職給付額と月収換算1/2

定年退職者の退職給付額と月収換算

出所:厚生労働省「令和5年就労条件総合調査の概況」をもとにLIMO編集部作成

ここでいう退職給付額は、退職一時金と、年金で受け取る分(年金現価額)を、制度に応じて合わせた金額です。また、所定内賃金は、毎月決まって支払われる給与から残業代などを除いたものと考えるとわかりやすいでしょう。毎月勤労統計調査でも、「所定内給与」は、きまって支給する給与から時間外手当などの所定外給与を除いたものとされています。

月収換算は、退職金の水準を自分の給料に置きかえて考えるときの物差しになります。たとえば、退職時の月給が40万円の人に定年退職者の月収換算を当てはめてみると、34.3か月分なら1372万円、38.6か月分なら1544万円という計算になります。ただし、これは平均の割合を当てはめただけの目安で、実際の退職金は勤め先の制度や勤続年数などによって大きく変わります。

2. 【辞め方で変わる?】退職の理由別では、どの学歴・職種でも「早期優遇」の月収換算が最も長い

同調査では、退職の理由別の退職給付額も示されています。月収換算でみると、「大学・大学院卒(管理・事務・技術職)」は定年が36.0か月分、会社都合が27.9か月分、自己都合が30.3か月分、早期優遇が39.9か月分です。

高校卒の2つの区分の、退職の理由ごとの月数は図のとおりです。調査は、退職給付額でみると、どの学歴でも「早期優遇」が最も高くなっているとしています。辞め方によって月数がこれだけ違うことは、退職の時期を考えるときに知っておきたい点です。同じ会社で長く働いてきた人でも、どのような形で辞めるかによって、受け取る退職金の水準が変わる可能性があるということです。

退職の理由別の月収換算2/2

退職の理由別の月収換算

出所:厚生労働省「令和5年就労条件総合調査の概況」をもとにLIMO編集部作成

同じ勤続20年以上・45歳以上でも、どのような理由で辞めるかによって、退職金の水準が変わることがわかります。

なお、同じ調査で、退職給付制度があり、勤続20年以上かつ45歳以上で辞めた人がいた企業を対象に、その人たちを辞めた理由ごとに分けると、定年が56.5%、会社都合が6.1%、自己都合が31.7%、早期優遇が5.7%でした。勤続20年以上かつ45歳以上の退職者でも、およそ3人に1人は自己都合で退職していることになります。自己都合での退職は、どの学歴・職種でも定年より月収換算が短くなっています。転職を考えるときは、新しい職場の給料だけでなく、今の会社を辞めたときに退職金がどうなるかも確かめておきたいところです。

辞め方の違いを知っておくことは、退職を急いで決めないための手がかりにもなります。転職や早期退職の話が出たときは、目先の条件だけでなく、退職金を含めたお金の流れ全体で考えてみるのも一つです。退職の話が出てから慌てないよう、ふだんから勤め先の退職金の決まりに目を通しておくと、落ち着いて判断しやすくなるでしょう。