年金の平均額として、よく紹介されるのは年度末の統計です。では、2026年度の年金額が改定されたあと、受け取っている人の平均はいくらになったのでしょうか。
厚生労働省が2026年9月30日に公表した「厚生年金保険・国民年金事業月報(速報)」によると、2026年5月末の国民年金の老齢年金(受給資格期間が原則25年以上)の受給者の平均年金月額は6万1943円でした。2026年度の満額である月7万608円には届いていません。
この記事では、改定後の最新の平均年金月額と新しく受け取り始めた人の平均を確認し、満額との差が生まれる理由と、自分の見込額を確かめる方法を整理します。
なお、公的年金の仕組みや年代別の平均年金額に関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。
1. 国民年金の老齢年金、2026年5月末の受給者の平均は月6万1943円
厚生労働省の「厚生年金保険・国民年金事業月報(速報)」は、年金の受給者数や平均年金月額を毎月まとめている統計です。2026年9月30日に公表された2026年5月分は、2026年度の年金額改定が反映された時期の数字です。
老齢年金の受給者の平均年金月額(2026年5月末)1/5
出所:厚生労働省「厚生年金保険・国民年金事業月報(速報)令和8年5月分」、厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」をもとにLIMO編集部作成
1.1 国民年金は月6万1943円、厚生年金保険(第1号)は月15万7680円
2026年5月末の老齢年金(受給資格期間が原則25年以上の区分)の受給者の平均年金月額は、国民年金が6万1943円、厚生年金保険(第1号)が15万7680円でした。厚生年金保険(第1号)の平均には、同じ種別の基礎年金(国民年金)の額も含まれています。
国民年金の老齢給付の受給者は3419万人、厚生年金保険(第1号)の老齢給付の受給者は2984万人です。国民年金の老齢給付には、受給資格期間が25年未満の「通算老齢年金」なども含まれます。これらを含めた老齢給付全体で、年金総額を受給者数で割って計算すると、国民年金の平均は月6万805円になります。
1.2 2026年5月に新しく受け取り始めた人の平均は月6万830円
2026年5月に新しく年金を受け取り始めた人(新規裁定者)の平均年金月額は、国民年金の老齢年金で6万830円、厚生年金保険(第1号)の老齢年金で13万8316円でした。新しく受け取り始めた人でも、国民年金の平均は満額に届いていないことがわかります。
2. 2026年度の年金額は国民年金1.9%、厚生年金2.0%の引き上げ
2026年度の年金額の改定を、LIMOの記事「【2026年最新】60歳~89歳の年金一覧表!年代別の平均受給額と「手取り・非課税世帯」のリアル!年金口座の「凍結リスク」とは?」から引用して確認します。
公的年金の支給額は、毎年度、賃金や物価の変動に応じて改定されます。2026年度においては、国民年金(基礎年金)が前年度比で1.9%、厚生年金(報酬比例部分)が2.0%の増額となりました。
出所:【2026年最新】60歳~89歳の年金一覧表!年代別の平均受給額と「手取り・非課税世帯」のリアル!年金口座の「凍結リスク」とは?
厚生労働省によると、2026年度の国民年金(老齢基礎年金・満額1人分)は月7万608円です。満額は、20歳から60歳までの40年間(480月)すべて保険料を納めた場合の額で、昭和31年4月1日以前に生まれた人は月7万408円です。
3. 国民年金の平均が満額の月7万608円に届かない3つの理由
国民年金は、2階建ての公的年金の1階部分にあたります。公的年金の仕組みを、LIMOの記事「【2026年最新版】老齢年金一覧表「60歳代・70歳代・80歳代・90歳以上」の平均年金月額はいくら?手取りのリアルと5つの公的給付金」から引用して確認しておきましょう。
国民年金は、20歳以上60歳未満のすべての人が対象となる基礎的な年金制度です。自営業やフリーランス、学生などが主に加入し、保険料は自分で納めます。
出所:【2026年最新版】老齢年金一覧表「60歳代・70歳代・80歳代・90歳以上」の平均年金月額はいくら?手取りのリアルと5つの公的給付金
国民年金の年金額は、保険料を納めた月数で決まります。平均が満額を下回る主な理由は、次の3つです。
3.1 保険料を納めていない期間がある
保険料を納めていない未納の期間は、年金額に反映されません。日本年金機構によると、未納の期間は受給資格期間にも数えられません。
3.2 免除や猶予を受けた期間がある
保険料の全額免除を受けた期間は、平成21年4月以降の分について、保険料を納めた場合の2分の1の額が年金額に反映されます。一方、納付猶予や学生納付特例を受けた期間は、あとから保険料を納める「追納」をしなければ年金額には反映されません。
3.3 65歳より前に繰上げ受給を選んでいる
老齢基礎年金は、65歳より前に受け取り始める「繰上げ受給」を選ぶと、1か月あたり0.4%(昭和37年4月1日以前生まれは0.5%)減額され、減額は生涯続きます。事業月報で、厚生年金保険(第1号)の老齢厚生年金を受け取る権利がない老齢基礎年金の受給権者などについて見ると、2026年5月の新規裁定者のうち繰上げ受給を選んだ人の割合は12.2%、2025年度の新規裁定者では9.3%でした。
国民年金の平均は、2026年5月末で月6万1943円でした。満額の月7万608円との間には、こうした加入期間や受け取り方の違いが積み重なっています。
平均と満額を並べて見るときは、どちらが自分に近いかではなく、自分の加入期間がどうなっているかを確かめることが出発点になります。
ここからは、80歳代・90歳以上の国民年金と厚生年金の平均月額を確認し、最後に筆者の考えをまとめます。

