その日の夕方、たまたま連絡があった古くからの友人に知人とのエピソードを報告。愚痴を聞いてもらいました。すると友人は「わかる。私も同じようなこと、あったから」と慰めるように、とある出来事を話してくれました。

友人の小学3年生の息子は重度の卵アレルギー。アナフィラキシーを起こしたこともあるので、友人は卵を完全除去。学校や親せき、友人にも卵アレルギーのことは報告。親族の家や友人の家で食事をするときは、子どものお弁当を持参しています。

ある日、友人の姑が友人家族を食事に招待してくれたそうです。そのとき友人に「今日は私が孫の料理も作っておくから、お弁当は持参しなくていいわよ」と伝えたのだそうです。わざわざ息子のために卵除去食を作ってくれるなんて…と感謝しながら義理実家を訪問した友人。息子の目の前に出されたものは…。

「ハンバーグやサラダと一緒に、息子の目の前に卵焼きが置かれていたのよ。慌てて『お母さん、息子に卵焼きはちょっと…』と伝えると、姑は『アレルギーは治るって友達から聞いたのよ。あなたアレルギーって診断されてから、全然卵食べさせてないでしょ?そんなの可哀想よ。

だいだいあなたたち夫婦にアレルギーがないのに、この子だけ出るなんておかしいわよ。食べさせてごらんなさい』と。なんとか卵焼きは私が食べたけれど、このぶんじゃハンバーグにも卵が使われているかもしれない。何より息子が固まってしまって箸を持とうともしなかったの。夫が激怒して、『もう帰ろう』って。その後姑は舅にこってりしぼられたらしく、翌日にあやまってきたから、まぁよかったけど…」

「アレルギーに縁がなくて、無関心な人はそんなもんよ」と友人はどこか達観したように語りました。しかし、友人の姑のエピソードは一歩間違えたら命の危険があったかもしれない出来事。友人のあっけらかんとした言葉の裏には、色々な苦労があったのでは…と思わずにはいられませんでした。

「知らなかった」は言い訳にならない

アレルギーを軽く考えている人って意外と多いのかも…と感じさせられた今回のエピソード。かくいう筆者も、我が子にアレルギーが発覚して以来、色々と情報収集し、今まで知らなかった知識を得ることができました。何よりも怖いのは無知と偏見だということを痛感。それと同時に自分自身も、「自分はこうだから」「自分はこう思うから」という理由だけで、配慮の欠いた発言をしてしまわないように気をつけないといけないな…と思った次第です。

大中 千景