やる気が出ない、疲れやすい、肩こりや腰痛がひどい、胃腸の調子が悪い…。カラダを正しく使えていないと、なぜこれらの不調が起こるのでしょうか。
それは、背骨の中に脳からつながる神経の束が通っているから。間違ったカラダの使い方で背骨に負担がかかると、神経が圧迫されてカラダに信号がきちんと伝わりません。背骨の中の神経は、胃・腸・心臓・肺・肝臓・目などさまざまな部位とつながっているため、その影響が不調となって現れてしまうのです。
当院では24個の背骨を一つひとつ見ていくのですが、うまく動いていない部分は、たいてい事前にお伺いした症状と合致します。その部分がうまく動くようなカラダの使い方に変えない限り、症状はなかなかよくなりません。
私たち日本人は、着物から洋服、座敷から椅子へと生活様式が変わり、カラダへの負担も増えてしまいました。もとから西洋文化だった国では、幼い頃から椅子の座り方を教えられたり、テーブルが正しい姿勢を維持できる高さになっていたりするので、生活に合った正しいカラダの使い方を自然に習得してきたのでしょう。現代の日本人が昔の人のようなカラダの使い方をすれば、医療の進歩と相まってとても長生きできると思います。
運動は、カラダにも脳にもいい
私が走ることを始めたのは2012年。ある人から「カラダの使い方次第で人生が変わることを自分でも体現してみたら?」と言われ、国内のフルマラソンに参加したのが始まりでした。それからトライアスロンやトレイルラン、砂漠でのマラソンなどに挑戦するようになり、最近では登り6000m以上のヨーロッパアルプス最高峰モンブランを取り巻く100kmコースを26時間で完走しました。
特別体力があるわけでも、運動神経がずば抜けているわけでもありません。正しい走り方や歩き方、立ち方を意識すれば、誰もが実現できうること。以前来院された55歳の方は、これまで運動をしてこなかったにもかかわらず1ヶ月で30分間走り続けられるようになりました。
人間のカラダは本来、運動するようにできています。正しい使い方で負担をかけずに運動すれば、睡眠は深くなり、日中の調子もよくなり、栄養を吸収しやすくなり…といいサイクルがまわり出します。
おすすめの運動は、やっぱり走ること。人間の脳は、手の指先から足の裏まで全身の感覚をスキャンできるほどの性能を持っていますが、それを最大限に使うのが「走る」行為。走ることでカラダだけでなく脳も活性化させることができるのです。初めての人は、30分歩いて1分だけ走る、次に30分歩いて2分だけ走る…など、自分の運動レベルに合わせて徐々にステップアップしていくのがベスト。運動能力は使われず眠っているだけですから、次第に覚醒してくるはずです。
サンクチュアリ出版