住宅ローンを返している途中で、手元に少しまとまったお金ができたら、その分だけ先に返しておきたいと考える方もいるでしょう。借りている額の一部を前倒しで返す「一部繰上返済」は、いくらから申し込めるのかが住宅ローンによって違います。
2026年10月時点の案内では、住宅金融支援機構の【フラット35】は、金融機関の窓口なら100万円以上、インターネットの「住・My Note」なら10万円以上から受け付けています。
この記事では、ひとり暮らしの単身世帯の住宅ローン残高を金融経済教育推進機構(J-FLEC)の調査で確認したうえで、一部繰上返済の最低金額と手数料を、申し込み方法ごとに整理します。
1. 借入金がある単身世帯は11.2%、持ち家の単身世帯では8.8%
はじめに、単身世帯のうち住宅ローンなどの借入金がある世帯がどれくらいあるのかを見ます。使うのは、J-FLECの「家計の金融行動に関する世論調査2025年(単身世帯調査)」です。全国の単身世帯2500世帯を対象に、2025年6月20日から7月2日にかけてインターネットモニター調査で調べています。
1.1 単身世帯で借入金がある割合は、20歳代の14.8%が最も高い
同調査の各種分類別データ(表29「借入金の有無」)によると、借入金がある単身世帯は2500世帯のうち11.2%でした。世帯主の年代別にみると、次のとおりです。
- 20歳代:14.8%
- 30歳代:12.9%
- 40歳代:13.9%
- 50歳代:12.6%
- 60歳代:10.0%
- 70歳代:4.8%
ここでいう借入金には、住宅ローンのほか、自動車ローンや教育ローンなども含まれます。住まいで分けると、持ち家の単身世帯(917世帯)で借入金があるのは8.8%、持ち家でない単身世帯(1583世帯)では12.6%でした。
2. 持ち家の単身世帯の住宅ローン残高は平均852万円、中央値400万円
次に、住宅ローンの残高です。同調査の表32「住宅ローン残高(借入金額回答世帯)」は、借入金があり、その金額を回答した世帯を分母にしています。単身世帯全体(281世帯)では、平均312万円、中央値0万円でした。67.6%が「無回答(ゼロも含む)」で、住宅ローン以外の借入金だけがある世帯も多く含まれているためです。
2.1 持ち家の単身世帯では、2000万円以上が残っている世帯が17.3%
そこで、持ち家の単身世帯(81世帯)に絞ると、住宅ローン残高は平均852万円、中央値400万円でした。残高の分布は次のとおりです。
- 50万円未満:2.5%
- 50万円以上100万円未満:0%
- 100万円以上200万円未満:4.9%
- 200万円以上300万円未満:1.2%
- 300万円以上500万円未満:8.6%
- 500万円以上700万円未満:3.7%
- 700万円以上1000万円未満:6.2%
- 1000万円以上1500万円未満:12.3%
- 1500万円以上2000万円未満:4.9%
- 2000万円以上:17.3%
- 無回答(ゼロも含む):38.3%
1000万円以上の3区分を合わせると34.5%です。分母の81世帯には、残高が無回答またはゼロの38.3%も含まれています。回答した世帯の数が少ないため、数字は目安として見ておく必要があります。
3. 住宅ローンの一部繰上返済、最低金額と手数料は申し込み方法で違う
住宅ローンの一部繰上返済は、インターネットで申し込むか、窓口で申し込むかで、受け付ける最低金額や手数料が変わることがあります。【フラット35】と、みずほ銀行・三菱UFJ銀行が2026年10月時点で公表している案内を比べます。
3.1 【フラット35】の一部繰上返済は、窓口なら100万円以上、住・My Noteなら10万円以上
住宅金融支援機構の案内(2025年1月30日更新)では、【フラット35】の一部繰上返済で返せる額は、金融機関の窓口で申し込む場合は100万円以上、インターネットサービスの「住・My Note」を使う場合は10万円以上です。手数料は、窓口・住・My Noteのどちらもかかりません。
窓口で申し込む場合は、繰り上げて返済する日の1か月前までに手続きが必要です。返し方は、月々の返済額を変えずに借入期間を短くする方法と、借入期間を変えずに月々の返済額を少なくする方法の2つから選びます。
3.2 みずほ銀行のみずほダイレクトは1万円以上・1万円単位、店舗の手数料は3万3000円
みずほ銀行は、インターネットバンキング(みずほダイレクト)での住宅ローンの一部繰上返済を、1万円以上1億円未満・1万円単位で受け付けています。みずほダイレクトの手数料は無料で、店舗で手続きする場合の一部繰上返済の手数料は3万3000円です。
なお、みずほ銀行で取り扱っている【フラット35】など住宅金融支援機構の住宅ローンは、みずほダイレクトの一部繰上返済の対象外です。
3.3 三菱UFJ銀行の一部繰上返済は、インターネットなら無料、店頭窓口は1万6500円
三菱UFJ銀行の手数料(2025年8月1日現在)は、住宅ローンの一部繰上返済がインターネットなら無料、店頭窓口は1万6500円です。申込期限は、インターネットが繰上返済日の2営業日前、店頭窓口が10営業日前とされています。最低金額は、同行の案内ページには記載がありません。
保証会社の保証が付いた住宅ローンでは、戻る保証料から保証会社の事務手数料が差し引かれ、その額はインターネットなら無料、店頭は1万1000円と案内されています。
J-FLECの調査では、持ち家の単身世帯の住宅ローン残高は平均852万円、中央値400万円でした。借入金額を回答した81世帯のうち、2000万円以上が残っている世帯は17.3%です。
一部繰上返済で受け付ける最低金額は、【フラット35】の窓口が100万円以上、住・My Noteが10万円以上、みずほダイレクトが1万円以上と、住宅ローンと申し込み方法によって大きく違います。自分の住宅ローンの借入先は、返済予定表で確かめられます。
ここからは、残高400万円の住宅ローンで一部繰上返済をしたときに減る利息を計算例で確かめ、銀行窓口で住宅ローンのご相談を受けてきた経験から、少しずつ返す前に確かめたいことを見ていきます。