65歳を過ぎてから会社を辞めたときにも、雇用保険から受け取れるお金があります。高年齢求職者給付金という一時金です。
この一時金の額のもとになる基本手当日額の上限額は、2026年8月1日から引き上げられました。厚生労働省の案内では、65歳以上の人が受ける場合の日額の上限は7450円です。
この記事では、高年齢求職者給付金を受け取るための要件と、改定後の計算式で見た月給別の金額を確認します。
1. 【高年齢求職者給付金】65歳以上で退職したときに受け取れる一時金
雇用保険では、65歳以上で雇われている人を「高年齢被保険者」と呼びます。高年齢求職者給付金は、この高年齢被保険者が失業したときに支給される給付です。
1.1 65歳未満の失業給付とは仕組みが違う
65歳未満の人が会社を辞めたときは、雇用保険の基本手当(いわゆる失業給付)を、失業の認定を受けながら日数に分けて受け取ります。これに対して高年齢求職者給付金は、決まった日数分の額をまとめて一度に受け取る一時金です。
雇用保険法でも、高年齢被保険者には基本手当などの規定を適用しないことになっています。65歳以上で辞めたときは、基本手当ではなく高年齢求職者給付金の対象になるのです。
1.2 受給資格は離職前の1年間に6か月以上
高年齢求職者給付金を受けるには、離職の日以前1年間に、雇用保険の被保険者期間が通算して6か月以上あることが必要です。病気やけがなどで引き続き30日以上賃金を受けられなかった期間があるときは、その日数を1年に加えた期間(最長4年)で数えます。
1.3 加入1年以上なら50日分、1年未満なら30日分
支給される額は、基本手当日額にあたる額に、次の日数をかけた金額です。日数は、雇用保険に入っていた期間(算定基礎期間)で決まります。
- 算定基礎期間が1年以上:50日分
- 算定基礎期間が1年未満:30日分
2. 【高年齢求職者給付金の額】2026年8月から上限額が改定、月給30万円なら31万5350円
基本手当日額は、離職前の賃金から計算する「賃金日額」に給付率をかけて決まります。この賃金日額と基本手当日額の上限額・下限額は、毎年8月に見直されています。
2.1 65歳以上は29歳以下の表で計算する
たとえば厚生労働省のリーフレットを見ると、離職時の年齢が65歳以上の人が高年齢求職者給付金を受ける場合も、29歳以下の人と同じ表を使うことがわかります。2026年8月1日からの上限額・下限額は次のとおりです。
- 賃金日額の上限額:1万4510円→1万4900円
- 基本手当日額の上限額:7255円→7450円
- 基本手当日額の下限額:2411円→2562円
日額の上限が7450円なので、50日分の上限は37万2500円、30日分の上限は22万3500円になります。
2.2 月給別に計算すると
2026年8月1日からの計算式を使い、離職前6か月の月給が毎月同じだったとして50日分と30日分を試算しました。
- 月給15万円:50日分20万円(30日分12万円)
- 月給20万円:50日分25万1800円(30日分15万1080円)
- 月給25万円:50日分28万8750円(30日分17万3250円)
- 月給30万円:50日分31万5350円(30日分18万9210円)
- 月給35万円:50日分33万1450円(30日分19万8870円)
- 月給40万円:50日分33万7200円(30日分20万2320円)
- 月給45万円:50日分37万2500円(30日分22万3500円)
2.3 試算の前提になる計算式
賃金日額は、離職前の最後の6か月間に支払われた賃金(臨時に支払われる賃金や、3か月を超える期間ごとに支払われる賃金を除く)の総額を180で割った額です。月給30万円なら、180万円を180で割って1万円になります。
賃金日額が5480円以上1万3490円以下の人の基本手当日額は、「0.8×賃金日額−0.3×{(賃金日額−5480)÷8010}×賃金日額」で求めます。賃金日額1万円なら6307円で、50日分は31万5350円です。
賃金が低いほど給付率は8割に近づき、高いほど5割に近づく仕組みなのです。
自分の賃金日額や算定基礎期間は、退職のときに受け取る離職票などで確かめられます。65歳以降に退職を考えているときは、早めに住んでいる地域のハローワークで受給の見込みを聞いておくと安心です。
