医師の年収を、厚生労働省の賃金構造基本統計調査と、地方公務員を集計した総務省の調査で比べると、どのくらい違うのでしょうか。

厚生労働省の「令和7年賃金構造基本統計調査」によると、医師のきまって支給する現金給与額は116万3200円でした。総務省の「令和7年地方公務員給与の実態」では、自治体の「医師・歯科医師職」の平均給与月額は111万7157円です。

この記事では、2つの調査の月収・ボーナス・年収の目安を並べ、年収の差がどこで生まれているのかを確認します。

1. 医師の月収・ボーナス・年収、賃金構造基本統計調査では年収の目安が1512万2500円

はじめに、賃金構造基本統計調査で職種が医師の人の給与を見ていきます。

1.1 医師は約14万5000人、平均年齢は45.7歳

賃金構造基本統計調査は、企業規模10人以上の事業所で働く一般労働者の賃金を職種別に集計しています。医師は約14万5000人で、平均年齢は45.7歳、平均の勤続年数は7.8年でした。

残業代なども含めた、きまって支給する現金給与額は116万3200円です。このうち所定内給与額は102万7700円で、残りの13万5500円が超過労働給与にあたります。

1.2 医師の年間賞与は116万4100円、年収の目安は1512万2500円

年間賞与その他特別給与額は116万4100円です。きまって支給する現金給与額の12か月分に足すと、医師の年収の目安は1512万2500円になります。

2. 自治体で働く医師・歯科医師の月収・ボーナス・年収、年収の目安は1621万1264円

続いて、総務省の調査から、地方公務員として働く医師・歯科医師の給与を同様に確認します。

2.1 自治体の医師・歯科医師職は9191人、平均給与月額は111万7157円

総務省の調査は、地方公務員の給与を職種ごとに集計しています。医師・歯科医師職は、その職種区分の一つです。令和7年4月1日時点で9191人、平均年齢は44.3歳でした。

平均給与月額は111万7157円です。このうち給料が51万1374円、諸手当が60万5783円でした。

2.2 期末手当・勤勉手当は280万5380円、年収の目安は1621万1264円

期末手当と勤勉手当(ボーナス)は、支給された職員1人当たりの年額で280万5380円です。内訳は期末手当が148万8546円、勤勉手当が131万6834円でした。

平均給与月額の12か月分にボーナスを足すと、年収の目安は1621万1264円になります。

医師と自治体の医師・歯科医師職の月収・ボーナス・年収の目安1/2

厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査と総務省の令和7年地方公務員給与の実態をもとに、医師と自治体の医師・歯科医師職の平均年齢、月収、ボーナス、年収の目安を比べた表。医師は45.7歳、月収116万3200円、ボーナス116万4100円、年収の目安1512万2500円。自治体の医師・歯科医師職は44.3歳、月収111万7157円、ボーナス280万5380円、年収の目安1621万1264円で、差は108万8764円

出所:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」、総務省「令和7年地方公務員給与の実態」を参考にLIMO編集部作成

【医師(賃金構造基本統計調査・平均45.7歳)】

  • 月収(きまって支給する現金給与額):116万3200円
  • ボーナス(年間賞与その他特別給与額):116万4100円
  • 年収の目安:1512万2500円

【自治体の医師・歯科医師職(9191人・平均44.3歳)】

  • 月収(平均給与月額):111万7157円
  • ボーナス(期末手当・勤勉手当):280万5380円
  • 年収の目安:1621万1264円

3. 自治体の医師・歯科医師職の年収は108万8764円高い、差の要因はボーナス

2つの調査を並べると、年収の目安は自治体の医師・歯科医師職のほうが108万8764円高くなっています。ただし、月収のみで比較すると逆の結果になります。

3.1 月収は医師が4万6043円高く、ボーナスは自治体が164万1280円多い

月収は賃金構造基本統計調査の医師のほうが4万6043円高く、12か月分では55万2516円の差です。一方、ボーナスは自治体の医師・歯科医師職のほうが164万1280円多く、月収の差を差し引いても年収の目安は自治体が上回ります。

3.2 2つの調査は時点と職種の範囲が少し違う

賃金構造基本統計調査の医師の月収は2025年6月分、賞与は2024年1月から12月までの1年間の額です。自治体の医師・歯科医師職の月収は令和7年4月分、ボーナスは令和6年度に支給された額です。

また、総務省の調査の医師・歯科医師職には歯科医師も含まれます。年収の目安は、どちらも「月収×12か月+ボーナス」で計算しています(LIMO編集部計算)。

4. 自治体の医師の月収は手当が半分以上、特殊勤務手当と初任給調整手当

自治体の医師・歯科医師職の月収は、給料よりも諸手当のほうが多いという特徴があります。

4.1 諸手当60万5783円のうち特殊勤務手当が21万2646円

平均給与月額111万7157円のうち、諸手当60万5783円は54.2%を占めます。諸手当のうち最も多いのが特殊勤務手当の21万2646円で、初任給調整手当が12万8979円、時間外勤務手当が10万4030円と続きます。

特殊勤務手当は、著しく危険、不快、不健康または困難な勤務など、著しく特殊な勤務に従事した職員に、その勤務の特殊性に応じて支給される手当です。手当の種類や額は、各自治体の条例や規則で定められています。

4.2 初任給調整手当は、採用による欠員の補充が難しい職に支給される

初任給調整手当は、医師のように採用による欠員の補充が難しい職に就いた職員に支給される手当です。たとえば栃木県の「初任給調整手当の支給に関する規則」では、医療職給料表(一)が適用される職員の職を対象とし、へき地や人口が少ない市・町村に所在する事務所の職などに区分して定めています。

賃金構造基本統計調査の医師の年収の目安は1512万2500円、自治体の医師・歯科医師職は1621万1264円で、差は108万8764円でした。月収は賃金構造基本統計調査の医師が上回る一方、ボーナスは自治体が164万1280円多くなっています。

自治体の医師・歯科医師職は月収の半分以上を諸手当が占めており、特殊勤務手当と初任給調整手当の2つで34万1625円になります。自治体が公表している「給与・定員管理等について」の資料では、手当の種類や支給の状況を確かめられます。

ここからは、自治体の医師・歯科医師職の年収を勤め先の団体ごとに分けて比べ、賃金構造基本統計調査の医師の年収を年齢階級別に確認します。