国税庁が2026年9月に公表した「民間給与実態統計調査」(令和7年分)では、民間で働く人の平均給与は487万円で、前年より9万1000円増えました。では、看護師として働く人の年収は、勤め先が自治体かどうかでどのくらい変わるのでしょうか。

総務省の「令和7年地方公務員給与の実態」によると、自治体で「看護・保健職」に区分される職員の平均給与月額は39万2909円でした。

厚生労働省の「令和7年賃金構造基本統計調査」では、看護師のきまって支給する現金給与額は36万5900円です。

この記事では、2つの調査の月収・ボーナス・年収の目安を並べて比べ、年収の差がどこから生まれているのかを確認します。

1. 自治体の看護・保健職の月収・ボーナス・年収の目安

まずは、地方公務員として働く看護・保健職の給与から見ていきます。

1.1 看護・保健職は7万8588人、平均給与月額は39万2909円

総務省の調査は、地方公務員の給与を職種ごとに集計しています。看護・保健職は、その職種区分の一つです。

令和7年4月1日時点の看護・保健職は7万8588人で、平均年齢は40.7歳でした。

平均給与月額は39万2909円です。このうち給料が31万7862円、地域手当や夜間勤務手当などの諸手当が7万5047円でした。

1.2 期末手当・勤勉手当を足すと年収の目安は625万7548円

期末手当と勤勉手当(ボーナス)は、支給された職員1人当たりの年額で154万2640円です。内訳は期末手当が83万9501円、勤勉手当が70万3139円でした。

平均給与月額の12か月分にボーナスを足して年収の目安を出すと、625万7548円になります。

2. 賃金構造基本統計調査の看護師の月収・ボーナス・年収の目安

続いて、厚生労働省の賃金構造基本統計調査で、職種が看護師の人の給与を同じ並びで確認します。

2.1 看護師の平均年齢は42.1歳、月収は36万5900円

賃金構造基本統計調査は、企業規模10人以上の事業所で働く一般労働者の賃金を職種別に公表しています。看護師は約90万3000人で、平均年齢は42.1歳、平均の勤続年数は9.8年でした。

残業代なども含めた、きまって支給する現金給与額は36万5900円です。このうち所定内給与額は33万3200円でした。

2.2 年間賞与を足すと看護師の年収の目安は524万7200円

年間賞与その他特別給与額は85万6400円です。きまって支給する現金給与額の12か月分に足すと、年収の目安は524万7200円になります。

自治体の看護・保健職と看護師の月収・ボーナス・年収の目安1/2

総務省の令和7年地方公務員給与の実態と厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査をもとに、自治体の看護・保健職と看護師の平均年齢、月収、ボーナス、年収の目安を比べた表。看護・保健職は40.7歳、月収39万2909円、ボーナス154万2640円、年収の目安625万7548円。看護師は42.1歳、月収36万5900円、ボーナス85万6400円、年収の目安524万7200円で、差は101万348円

出所:総務省「令和7年地方公務員給与の実態」、厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」を参考にLIMO編集部作成

【自治体の看護・保健職(7万8588人・平均40.7歳)】

  • 月収(平均給与月額):39万2909円
  • ボーナス(期末手当・勤勉手当):154万2640円
  • 年収の目安:625万7548円

【看護師(賃金構造基本統計調査・平均42.1歳)】

  • 月収(きまって支給する現金給与額):36万5900円
  • ボーナス(年間賞与その他特別給与額):85万6400円
  • 年収の目安:524万7200円

3. 自治体の看護・保健職と看護師の年収の差は101万348円

2つの調査を並べると、年収の目安は自治体の看護・保健職のほうが101万348円高くなっています。

3.1 年収の差101万348円のうち68万6240円はボーナスの差

月収の差は2万7009円で、12か月分にすると32万4108円です。ボーナスの差は68万6240円で、年収の差のおよそ7割を占めています。

平均年齢は看護・保健職のほうが1.4歳若く、年齢の高さで差がついているわけではありません。

3.2 2つの調査は月収とボーナスの時点が少しずれる

自治体の看護・保健職の月収は令和7年4月分、ボーナスは令和6年度に支給された額です。看護師の月収は2025年6月分、ボーナスは2024年1月から12月までの1年間の額です。

年収の目安は、どちらも「月収×12か月+ボーナス」で計算しています(LIMO編集部計算)。

4. 看護師の年間賞与は勤め先の規模で変わる

ボーナスの差がどこから生まれているのかを、看護師の勤め先の企業規模別に確かめます。

4.1 看護師の年間賞与は1000人以上で105万7100円、10〜99人で62万4200円

賃金構造基本統計調査の看護師の年間賞与その他特別給与額は、企業規模によって次のように分かれます。

  • 1000人以上:105万7100円(平均37.6歳・年収の目安569万8700円)
  • 100〜999人:77万400円(平均44.3歳・年収の目安506万2800円)
  • 10〜99人:62万4200円(平均46.3歳・年収の目安469万8200円)

自治体の看護・保健職のボーナス154万2640円は、1000人以上の企業の看護師を48万5540円上回ります。

4.2 自治体の期末手当・勤勉手当は条例で決まる

地方公務員の給与や手当の額、支給方法は、地方自治法にもとづき各自治体の条例で定められています。期末手当・勤勉手当も、条例で定めた支給割合にもとづいて支給されます。

看護師の賞与は勤め先ごとに決まるため、企業規模によって年43万2900円の開きがありました。

自治体で看護・保健職として働く人の年収の目安は625万7548円で、賃金構造基本統計調査の看護師の524万7200円を101万348円上回りました。差の7割近くはボーナスで、看護師の賞与は勤め先の規模によって大きく変わります。

勤め先ごとの賞与の水準は、求人票の「賞与(前年度実績)」の欄で確かめられます。自治体の職員の給与は、各自治体が公表している「給与・定員管理等について」の資料で確認できます。

ここからは、自治体の看護・保健職の年収を勤め先の団体ごとに分け、夜間勤務手当などの手当の違いと、保健師・助産師・准看護師の給与をあわせて確認します。