給付金というと、住民税非課税世帯を対象にしたものを思い浮かべる人が多いかもしれません。ただ、住民税が課税されている世帯でも受け取れるお金は、身近な制度の中にいくつもあります。

会社を休んだときや家族の介護、出産、退職など、暮らしの節目で支えになるのが健康保険と雇用保険の給付です。どれも住民税の課税・非課税を要件にしていません。

この記事では、住民税課税世帯でも受け取れる給付金・手当7つを、よく聞かれる「もし〜したら」という疑問に答える形で見ていきます。

1. 【住民税課税世帯でも受け取れる給付金・手当】課税・非課税を問わない7つ

まずは、住民税課税世帯でも受け取れる給付金・手当の全体を確認しましょう。どの場面で、どの制度から受け取るのかを一覧にしました。

住民税課税世帯でも受け取れる給付金・手当7つ1/2

病気で休んだとき・介護で休んだとき・出産・育児休業・退職・60歳以降の賃金低下・家族の死亡の7つの場面ごとに、傷病手当金などの給付金・手当と受け取れる額の目安を並べた一覧

出所:全国健康保険協会「病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)」、ハローワークインターネットサービス「雇用継続給付」などを参考にLIMO編集部作成

  • 病気やけがで会社を休んだら:傷病手当金(1日あたり標準報酬月額の平均÷30×3分の2)
  • 家族の介護で仕事を休んだら:介護休業給付金(休業開始時賃金日額の67%、1人につき93日・3回まで)
  • 子どもが生まれたら:出産育児一時金(1児50万円、条件により48万8000円)
  • 育児休業を取ったら:育児休業給付金(休業開始時賃金日額の67%、181日目以降は50%)
  • 会社を辞めたら:雇用保険の基本手当など(賃金日額のおよそ50〜80%、90〜360日分)
  • 60歳以降に給料が下がったら:高年齢雇用継続給付(各月の賃金の最大10%)
  • 会社員の家族が亡くなったら:埋葬料(5万円)

2. 【もし病気やけがで会社を休んだら?】傷病手当金は1日あたり標準報酬月額の平均の3分の2

病気やけがで長く休むと、給料が出ない期間の生活費が気になります。

「持病の手術で、1か月ほど会社を休むことになりました。休んでいる間は給料が出ないそうですが、何か受け取れますか?」

先に結論をお伝えすると、会社の健康保険に入っていれば傷病手当金を受け取れます。休み始めてから4日目以降の、給与が出ない日が対象です。

2.1 傷病手当金を受け取れる4つの条件

全国健康保険協会(協会けんぽ)は、次の4つをすべて満たすことを支給の条件にしています。

  • 業務外の病気やけがで療養中であること
  • 療養のために仕事ができないこと
  • 4日以上仕事を休んでいること
  • 給与の支払いがないこと

休み始めた日から連続した3日間は「待期期間」で、4日目から支給の対象になります。支給される期間は、同じ病気やけがについて支給を始めた日から通算して1年6か月です。

2.2 標準報酬月額30万円なら1日6667円

1日あたりの額は、支給開始日以前12か月間の標準報酬月額の平均を30で割り、3分の2を掛けて求めます。標準報酬月額がずっと30万円だった人なら、1日あたり6667円です。

30日休んだ場合、待期期間の3日を除いた27日分で18万9円になります。給与が一部支払われているときは、その分が差し引かれます。

3. 【もし家族の介護で仕事を休んだら?】介護休業給付金は賃金の67%

親の介護が必要になり、仕事を休むかどうかで悩む人もいるでしょう。

「母の介護のため、しばらく仕事を休もうと考えています。休んでいる間の収入はゼロになってしまいますか?」

結論からいうと、雇用保険に入っていて介護休業を取れば、介護休業給付金を受け取れます。休業開始時の賃金日額の67%が目安です。

3.1 対象は2週間以上の常時介護

ハローワークの説明では、介護休業給付は、2週間以上にわたって常に介護が必要な家族を介護するために休業した人が対象です。対象になる家族は、配偶者、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫に限られます。

受け取れるのは、対象家族1人につき通算93日まで、3回までです。休業中に会社から休業前の8割以上の賃金が出ている場合などは、対象になりません。

3.2 賃金日額1万円なら30日で20万1000円

支給額は「休業開始時賃金日額×支給日数×67%」で計算します。休業開始時の賃金日額が1万円の人が30日休むと、20万1000円です。

4. 【もし子どもが生まれたら?】出産育児一時金は1児50万円

出産には費用がかかるうえ、育児休業中は給料が減ります。出産と育児休業で受け取れるお金を確認します。

「来年、妻が出産する予定です。出産費用の助けになるお金や、育児休業中に受け取れるお金はありますか?」

答えは、どちらもあります。出産には健康保険の出産育児一時金、育児休業には雇用保険の育児休業給付金が用意されています。

4.1 出産育児一時金は1児50万円

協会けんぽの案内では、2023年4月1日以降の出産の場合、出産育児一時金は1児につき50万円です。産科医療補償制度に加入する医療機関での妊娠22週未満の出産などでは、48万8000円になります。

被扶養者である家族が出産した場合は、「家族出産育児一時金」として支給されます。

4.2 育児休業給付金は賃金の67%

厚生労働省の育児休業制度特設サイトでは、育児休業給付金は休業開始時賃金日額の67%で、支給日数が181日目以降は50%になります。

子の出生直後の一定期間に要件を満たして育児休業を取ると、最大28日間、賃金日額の13%の「出生後休業支援給付金」が上乗せされます。育児休業給付金とあわせて80%になり、手取りで10割相当になると説明されています。

太田 彩子

健康保険や雇用保険の給付は、勤め先を通して申請するものが多くあります。休むことが決まったら、早めに勤め先の担当部署に手続きを聞いておくと安心です。