4. 【元後期高齢担当の実感】後期高齢者医療の保険料の相談は、納期限の前ほど選べる手段が多かった
自治体で後期高齢者医療の保険料の計算を担当していた頃、年金天引きが多いため国民健康保険ほどは納付相談はありませんでした。ただし、「今月分が払えそうにない」という相談はゼロというわけではありませんでした。
振り返ると、納期限より前に窓口へ来た人ほど、減免・徴収猶予・分割での納付といった手段の中から選ぶ余地が残っていたように思います。
4.1 減免は申請した時期によって対象になる月が変わる
減免は、申請した時期によって対象になる保険料の範囲が変わることがあります。枚方市の場合、7月末までに申請すれば年度当初の分から減免の対象になり、8月以降の申請では申請した月以降の保険料が対象になると案内しています。
同市では、減免の申請は年度ごとに必要で、翌年度に自動で続くわけではありません。また、審査の結果が届くまでは、変更前の保険料で納めることになります。
4.2 減免に当てはまらなくても、分割で納める相談はできる
減免の基準に届かない場合でも、納め方の相談はできます。江戸川区は、保険料の総額は変わらないものの、支払い方法を分割払いなどに変える相談先として収納の担当を案内しています。
窓口にいた当時も、まず納付の相談から入り、事情を聞くなかで減免の要件に当てはまるかどうかを一緒に確かめていく流れもありました。
5. 後期高齢者医療の保険料を1年以上滞納すると、医療費をいったん全額払う「特別療養費」の扱いになる
後期高齢者医療の保険料の相談を先延ばしにすると、医療機関での支払いにも影響が出ます。千葉県後期高齢者医療広域連合の案内をもとに確認します。
5.1 納付できるのに1年以上滞納すると特別療養費になる
千葉県後期高齢者医療広域連合は、保険料を納付できるにもかかわらず1年以上滞納している人には「特別療養費」を支給するとしています。この場合、医療機関の窓口では診療費をいったん全額自己負担することになります。
5.2 滞納が続くと保険給付が差し止められることもある
同広域連合は、特別な事情がないまま滞納が続くと、療養費や高額療養費などの保険給付の全部または一部を差し止め、滞納している保険料に充てると案内しています。
災害や失業といった事情があるなら、それを窓口に伝えることが大切です。事情を伝えずに滞納だけが続く状態は、避けたいところです。
6. 【確認したいこと】後期高齢者医療の保険料の減免を申請する前にそろえたい3つの書類
後期高齢者医療の保険料の減免を申請するときに求められる書類は、事由によって異なります。大阪府後期高齢者医療広域連合と枚方市の案内から、主なものをまとめてみました。
6.1 保険料決定通知書
どの事由でも、いくらの保険料が決まっているかを示す保険料決定通知書が必要になります。枚方市は、申請ができるのは保険料決定通知が届いてからとしています。
6.2 収入が減ったことがわかる書類
失業なら離職票や源泉徴収票など退職日がわかるもの、廃業なら廃業届、収入の減少なら1月以降の給与明細や帳簿などが挙げられています。収入の見込みがわかる書類も求められます。
6.3 災害のときはり災証明書
災害で住宅や家財に損害を受けた場合は、り災証明書が必要です。大阪府後期高齢者医療広域連合は、拘禁の場合は収監証明書などを挙げています。
本人・世帯主・配偶者以外が申請する場合は委任状がいるといった細かな決まりもあります。窓口に行く前に、市区町村の後期高齢者医療の担当に電話で確かめておくと手続きが進めやすくなります。
7. まとめ
後期高齢者医療の保険料は、令和8・9年度の全国平均で月7989円になりました。所得が少ない世帯には均等割額の軽減がありますが、災害や収入の大幅な減少といった事情があるときは、それとは別に減免や徴収猶予を申請できます。
減免の基準や徴収猶予の期間は、広域連合や市区町村によって異なります。納めるのが難しいと感じたら、まずはお住まいの市区町村の後期高齢者医療の担当窓口に、納期限の前に相談してみてください。
参考資料
- 厚生労働省「令和8・9年度後期高齢者医療保険料率について」
- 東京都保健医療局「保険料の軽減策」
- 大阪府後期高齢者医療広域連合「保険料の徴収猶予と減免」
- 千葉県後期高齢者医療広域連合「納付相談」
- 枚方市「後期高齢者医療保険料の減免について」
- 江戸川区「後期高齢者医療保険料の減免」
太田 彩子