後期高齢者医療の保険料が年金から差し引かれている人は、10月の年金から、今年度の所得をもとにした額に切り替わっています。
住まいや家財が被害を受けたり、勤め先の事情で収入が急に減ったりすると、毎月の保険料の支払いが重く感じられることがあります。
75歳以上の人が加入する後期高齢者医療制度の保険料は、2026年4月から全国平均で月7989円に上がりました。厚生労働省が2026年4月10日に公表した令和8・9年度の保険料率によるもので、令和6・7年度より578円増えています。
この記事では、後期高齢者医療の保険料の決まり方を確認したうえで、災害や収入の減少で納めるのが難しいときに申請できる「減免」と「徴収猶予」の中身を、広域連合や市区町村の案内をもとに解説します。
1. 後期高齢者医療の保険料は一人ひとりにかかる
後期高齢者医療制度は、75歳以上の人と、65歳から74歳で一定の障害があると認定を受けた人が加入する医療保険です。まずは保険料の決まり方から見ていきましょう。
1.1 保険料は加入者一人ひとりに計算される
国民健康保険とは違い、後期高齢者医療制度では加入者一人ひとりが被保険者になります。夫婦ともに75歳以上なら、2人それぞれに保険料がかかります。
保険料は、全員が同じ額を負担する「均等割額」と、前年の所得に応じて負担する「所得割額」を合計した額です。保険料率は、都道府県ごとの後期高齢者医療広域連合が2年ごとに決めています。
1.2 令和8年度から子ども・子育て支援金分が加わった
令和8年度からは、医療分の保険料とは別に「子ども分」の保険料が加わりました。厚生労働省の公表では、子ども分の全国平均は月194円(年2333円)です。
2. 令和8・9年度の後期高齢者医療の保険料は、全国平均で月7989円
厚生労働省が公表した令和8・9年度の後期高齢者医療の保険料率(医療分)を、前の2年間と比べてみます。
2.1 均等割額は年5万6083円、所得割率は10.17%
令和8・9年度の全国平均は、均等割額が年5万6083円(令和6・7年度は5万389円)、所得割率が10.17%(同10.21%)です。
1人当たりの平均保険料は年9万5875円で、令和6・7年度の8万8940円から増えました。実際の保険料は、お住まいの都道府県の料率と自分の前年の所得で決まります。
3. 後期高齢者医療の保険料を納めるのが難しいときは「減免」と「徴収猶予」を申請できる
所得が少ない世帯には、均等割額の軽減があります。同じ世帯の被保険者全員と世帯主の所得の合計で判定され、東京都の案内では、判定は4月1日の世帯の状況で行うとされています。
これとは別に、災害や収入の大幅な減少といった特別な事情があるときは、保険料の減免と徴収猶予を申請できます。
3.1 減免の対象になるのは災害・収入の大幅な減少・拘禁など
大阪府後期高齢者医療広域連合は、保険料を納付できないと認められる場合の事由として、次のようなものを挙げています。
- 震災、風水害、火災などで、住宅や家財などに著しい損害を受けたとき
- 事業の不振、休業、廃止、失業などで、収入が著しく減少したとき
- 刑事施設や労役場などに拘禁されたとき
審査をするのは各都道府県の広域連合ですが、申請の受付はお住まいの市区町村の窓口が担っています。
3.2 収入の減少による減免は、市区町村によって基準が示されている
大阪府枚方市は、事業の不振や失業などで、申請年(1月から12月)の所得が前年より3割以上減る見込みの場合、減少した割合に応じて所得割額を減額すると案内しています。
ただし、均等割額の軽減を受けている場合や、所得割額が0円の場合は対象になりません。東京都江戸川区は、突発的な収入の減少による減免の期間を原則3か月以内とし、延長しても年度内6か月までとしています。
3.3 徴収猶予は、保険料の額を変えずに納める時期を延ばす
徴収猶予は、保険料を減らすのではなく、一時的に納めるのが難しいときに納付を待ってもらう仕組みです。例えば千葉県後期高齢者医療広域連合は、6か月以内の期間に限り徴収を猶予するとしています。
一方で大阪府後期高齢者医療広域連合は「最長1年猶予される場合があります」と案内しており、期間は広域連合によって違います。
令和8・9年度の後期高齢者医療の保険料は、全国平均で月7989円になりました。災害や失業などで納めるのが難しくなったときは、均等割額の軽減とは別に、減免と徴収猶予を申請できます。
対象になるか、どの書類が必要かは、お住まいの市区町村の後期高齢者医療の担当窓口で確かめられます。
ここからは、元後期高齢担当として保険料の相談を受けていた経験から、申請の時期や滞納した場合の扱いを見ていきます。
後期高齢者医療の保険料の計算を担当していた頃、減免は申請があって初めて審査が始まる仕組みだと説明することがよくありました。納めるのが難しいと感じたら、納期限が来る前に窓口へ相談してみてください。
