日本で投資信託の人気が出ない3つの理由

長期資産形成における問題点

最初に断っておきますが、筆者は投資信託が個人の資産形成に非常に重要な金融商品だと思っています。自分自身でも投資信託で運用していますのでないと困る金融商品です。

ところが日銀の最新の「資金循環統計」によると、家計の金融資産の中で投資信託に運用されている割合はわずか3.8%(70兆円)に過ぎません。株式には全体の約11%(195兆円)が運用されていますから、割合だけで判断すると株式に運用する家計の資産は、投資信託に運用する家計の3倍程度になるということです。

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もちろん、双方に運用する場合もありますし、こうした分析は大口資産(富裕層資産)の割合が大きな影響を及ぼしますから、単純な割合を論じてもあまり意味がないことは重々承知しています。

しかしながら、投資信託がそこまで人気がないのだとすれば、何か問題があるかもしれません。今回のコラムではそこを明らかにしていければと思います。

1. 個別株式のほうが分かりやすい

これは投資信託の問題ではありませんが、個別株式のほうが圧倒的に分かりやすいと思います。「○○アセット・フィンテック・ファンド」というよりも「ソフトバンク」のほうが分かりやすいわけです。

また、個別株式は大きく上がって儲かるイメージですから、説明を聞かないと理解できない投資信託は分が悪い。加えて、日本での上場社数は4000社弱ですが、投資信託は6000本くらい設定されています。投資信託は数が多い分、あれもこれもと選択肢が多すぎて選びにくいと言っても過言ではありません。

また個別株式で注目されるのは、名が通った大型株か値がさ株(株価が高い株式)ですから、そもそも投資信託はネームバリューで負けてしまいます。もっとも、値動きが大きい個別株式は期待リターンも大きいので、リスクを取れる投資家が投資信託を敬遠するのも分からないではありません。

2. 投資信託は販売手数料が高め

オンライン証券を中心に、投資信託だけでなく金融商品の販売手数料は低下の一途をたどっています。そういう意味でオンライン証券(オンライン銀行も)の存在は意義深いものですし、金融社会インフラをリードしていると思います。

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太田 創
  • 太田 創
  • 一般社団法人日本つみたて投資協会
  • 代表理事

関西学院大学卒。1985年、三菱銀行入行。1988年より約10年間、ロンドンおよびサンパウロで資金為替・デリバティブ等の運用、投資信託の管理業務に携わる。
その後、2000年からシティグループ(米)、UBS(スイス)、フィデリティ(米)、GCIにおいて投資信託のマーケティング・商品企画を統括。現在は一般社団法人日本つみたて投資協会・代表理事。
主要な著書には、『ETF投資入門 』(日経BP 2008年)、『お金持ち入門』(実業之日本社 2015年 共著)、『毎月3万円で3000万円の「プライベート年金」をつくる 米国つみたて投資』(かんき出版 2019年)などがある。