出産したあとの数か月は、体が回復しきらないうちに昼も夜も赤ちゃんの世話が続きます。助産師などに休養や授乳の相談を頼める「産後ケア」を使いたくても、利用料が気になってためらう人もいるでしょう。

産後ケアは市町村が行う事業で、こども家庭庁の資料では、住民税非課税世帯の利用料を減らす市町村への補助の基準額を1回あたり5000円としています。長崎市が2026年6月に作成した案内では、市民税非課税世帯と生活保護世帯の利用料は無料です。

この記事では、産後ケア事業のしくみと住民税非課税世帯への利用料の減免、長崎市と千葉市の自己負担の違い、住民税非課税の判定基準を、こども家庭庁の資料と自治体の案内をもとに確認します。

なお、住民税非課税世帯に関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。

【住民税非課税世帯】給与・年金の収入基準《ボーダーラインはいくら?》知っておきたい5つの優遇制度!制度の基本とファクトを網羅した完全ガイド
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1. 産後ケア事業は、出産後1年以内の母子を支える市町村の事業

産後ケア事業は、母子保健法にもとづいて市町村が行う事業です。こども家庭庁の資料では、出産後1年以内の母子に対して心身のケアや育児のサポートなどを行い、産後も安心して子育てができるようにする事業と説明されています。

1.1 産後ケアの形は、宿泊型・デイサービス型・アウトリーチ型の3つ

産後ケア事業の実施方法は、次の3つです。

  • 宿泊型:病院や助産所などの空きベッドを使い、泊まりで休養の機会などを提供する(利用期間は原則7日以内)
  • デイサービス型:施設に日中来所した人に、個別や集団で支援を行う
  • アウトリーチ型:担当者が利用する人の自宅を訪ねて支援を行う

担当するのは助産師、保健師、看護師などです。産後ケア事業を行う自治体は令和5年度に1547(変更交付決定ベース)で、令和4年度の1462から増えました。

1.2 国は住民税非課税世帯の利用料の減免に、1回あたり5000円を基準額として補助

こども家庭庁の資料によると、国は令和4年度に、住民税非課税世帯に対する産後ケアの利用料の減免加算を設けました。基準額は1回あたり5000円です。令和5年度には、非課税世帯以外のすべての世帯に対する利用料の減免(基準額1回あたり2500円)も加わりました。

これは市町村が利用料を減らした分を国などが補助するしくみで、実際に利用する人の負担がいくらになるかは、市町村ごとに決まります。令和7年度からは、補助の割合が国2分の1、都道府県4分の1、市町村4分の1になっています。

2. 長崎市の産後ケアは、市民税非課税世帯なら利用料が無料

長崎市が2026年6月に作成した案内では、市民税非課税世帯と生活保護世帯は、産後ケアの利用料が無料です。利用するときは、証明書の提出が必要です。

2.1 長崎市の対象は出産後1年未満の産婦と赤ちゃん

長崎市の産後ケアを使えるのは、長崎市に住所があり、出産後1年未満(産後1年になる前日まで)の産婦です。赤ちゃんの受け入れ月齢は施設によって違い、最大で1歳になる前日までです。赤ちゃんだけでの利用はできません。

利用できる回数は、宿泊(ショートステイ)が7日まで(1泊2日は2日と数える)、日帰り(デイケア)と訪問(アウトリーチ)は合わせて6回までです。

2.2 課税世帯は5回目まで1回2500円の減免で、宿泊は1泊1600円

長崎市の利用料は、減免前で宿泊が1泊4100円、日帰り(4時間)が1回1700円、日帰り(3時間)が1回1400円、訪問(2時間)が1回1100円です。宿泊・日帰り・訪問を合わせて5回(泊)目までは1回(泊)あたり2500円が減免されます。

長崎市の産後ケアの利用料(減免前・減免後・市民税非課税世帯)1/2

長崎市の産後ケアの利用料は、宿泊が減免前1泊4100円で5回目までの減免後は1600円、日帰り4時間は1700円が無料、日帰り3時間は1400円が無料、訪問2時間は1100円が無料になり、市民税非課税世帯と生活保護世帯はいずれも無料であることを示した表

出所:長崎市「産後ケア事業のご案内」(R8.6月作成)をもとにLIMO編集部作成

【長崎市の産後ケアの利用料(1回・1泊あたり。5回目までの減免後)】

  • 宿泊:4100円→1600円(母だけの利用は2800円→300円)
  • 日帰り(4時間):1700円→無料
  • 日帰り(3時間):1400円→無料
  • 訪問(2時間):1100円→無料
  • 市民税非課税世帯・生活保護世帯:いずれも無料

6回(泊)目以降は減免前の料金になり、利用の上限回数を超えた分は全額自己負担です。利用料のほかに、食費などの経費がかかる場合があります。

2.3 2泊3日と日帰り2回・訪問1回で、課税世帯は3200円、非課税世帯は0円

長崎市の案内にある利用例で計算すると、宿泊2泊3日、日帰り(3時間)2回、訪問1回を使った場合、課税世帯の負担は宿泊の1600円×2泊で3200円です。日帰りと訪問は減免後に無料になるため、合計は3200円です。

減免前の料金で計算すると、4100円×2泊+1400円×2回+1100円×1回で1万2100円になります。市民税非課税世帯は、この利用の仕方でも利用料は0円です。

3. 千葉市の産後ケアは、住民税非課税世帯でも利用料の5%を負担する

住民税非課税世帯の利用料を無料にするかどうかは、市町村によって違います。千葉市は2025年10月1日から自己負担の割合を見直し、課税世帯は利用料の20%から10%に、非課税世帯は10%から5%に下げました。

千葉市の産後ケアの自己負担の上限(2025年10月1日から)2/2

千葉市の産後ケアの自己負担の上限は、課税世帯が宿泊1泊2日5600円・日帰り2000円・訪問1100円、非課税世帯が宿泊2800円・日帰り1000円・訪問550円、生活保護世帯が宿泊600円・日帰り300円・訪問は無料であることを示した表

出所:千葉市「令和7年10月から産後ケア事業の一部が変わります」をもとにLIMO編集部作成

【千葉市の産後ケアの自己負担の上限(2025年10月1日から)】

  • 課税世帯:宿泊(1泊2日)5600円、日帰り(1回)2000円、訪問(1回)1100円
  • 非課税世帯:宿泊(1泊2日)2800円、日帰り(1回)1000円、訪問(1回)550円
  • 生活保護世帯:宿泊(1泊2日)600円、日帰り(1回)300円、訪問(1回)無料

利用できる上限は、単胎なら宿泊7日、日帰り7回、訪問7回、多胎なら10日(回)です。施設ごとに利用料は異なり、千葉市の非課税世帯は利用料が無料にはならず、5%を負担します。

4. 住民税非課税の判定基準は3つ。長崎市の目安は扶養なしで合計所得金額41万5000円以下

住民税非課税世帯かどうかは、世帯全員の住民税の課税状況で決まります。LIMOの記事「【住民税非課税世帯】給与・年金の収入基準《ボーダーラインはいくら?》知っておきたい5つの優遇制度!制度の基本とファクトを網羅した完全ガイド」から要点を引用して確認しておきましょう。

この2つの税負担がいずれも発生しない状態を「住民税非課税」と呼びます。そして、世帯全員が住民税非課税である場合、その世帯は「住民税非課税世帯」に該当します。

出所:【住民税非課税世帯】給与・年金の収入基準《ボーダーラインはいくら?》知っておきたい5つの優遇制度!制度の基本とファクトを網羅した完全ガイド

2つの税負担とは、住民税の均等割と所得割のことです。長崎市の案内では、次のいずれかに当てはまる人は市・県民税がかかりません。

  • 生活保護法の規定により生活扶助を受けている
  • 障害者、未成年者、ひとり親または寡婦で、前年の合計所得金額が135万円以下
  • 前年の合計所得金額が、同一生計配偶者と扶養親族がいない場合は41万5000円以下、いる場合は31万5000円×(同一生計配偶者+扶養親族の数+本人)+18万9000円+10万円以下

長崎市が示す令和8年度の目安では、給与収入だけの人は、本人・同一生計配偶者・扶養親族を合わせて1人なら106万5000円まで、3人なら188万4000円までが非課税の目安です。夫婦の一方だけが給与を受け取り、もう一方と赤ちゃんを扶養している世帯なら、3人の目安が当てはまります。

産後ケアの利用料は、国が住民税非課税世帯の減免に1回5000円を基準額として補助していますが、無料になるかどうかは市町村で違います。長崎市は市民税非課税世帯なら無料で、千葉市は非課税世帯でも利用料の5%を負担します。

住んでいる市町村の産後ケアの料金と、非課税世帯の扱いは、市町村の母子保健の担当課や子育て世代向けの窓口の案内で確かめられます。妊娠中のうちに、利用の申請の方法とあわせて聞いておくと出産後に慌てずに済みます。

ここからは、元自治体職員として住民税の課税情報を扱っていた立場から、非課税世帯の減免を受けるときに求められる証明と、里帰り出産で使うときの手続きを見ていきます。