ねんざや打撲などで通う接骨院・整骨院では、窓口負担のみで施術を受けられる「受領委任」という仕組みがあります。
しかし、マイナ保険証によるオンライン資格確認が原則義務化され、導入しない施術所は2026年12月を目途にこの受領委任が中止される見通しです。
厚生労働省が示した「柔道整復師の施術所におけるオンライン資格確認について」によると、2025年2月時点で柔道整復の施術所の84.9%が利用申請を済ませています。
いつもの通院に影響が出ないよう、本記事では施術所での資格確認の仕組みと、受領委任が中止されるまでの流れを確認します。
1. 接骨院・整骨院や鍼灸院の受領委任では、窓口で払うのは自己負担分だけ
柔道整復師やはり師・きゅう師などの施術にかかる健康保険の給付は「療養費」と呼ばれます。協会けんぽによると、療養費は本来、患者が費用の全額を払ったあとで保険者に請求する「償還払い」が原則です。
1.1 受領委任なら、施術所が患者に代わって残りの費用を保険者に請求する
柔道整復では例外として受領委任が認められており、多くの整骨院・接骨院の窓口では、病院・診療所にかかったときと同じように自己負担分だけを払って施術を受けられます。残りの費用は柔道整復師が患者に代わって保険者に請求するため、施術を受けるときは必要書類に患者のサインが必要です。
協会けんぽによると、整骨院や接骨院で健康保険の対象になるのは、骨折、脱臼、打撲、捻挫(いわゆる肉ばなれを含む)の施術です。骨折と脱臼は、緊急の場合を除き、あらかじめ医師の同意が必要です。
1.2 受領委任の施術所は、2024年12月2日からオンライン資格確認の導入が原則義務化
受領委任払いを行っている柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師の施術所では、2024年4月からオンライン資格確認の運用が始まり、2024年12月2日以降は導入が原則義務化されました。
施術所で使うのは「資格確認限定型」と呼ばれる仕組みです。パソコンやタブレット、スマートフォンでマイナンバーカードを読み取り、患者の最新の保険資格情報をその場で確認します。厚生労働省の説明資料によると、病院や診療所のオンライン資格確認と違い、患者の診療情報等は取得しません。
2. オンライン資格確認を導入しない施術所は、2026年12月を目途に受領委任の取扱いが中止
厚生労働省は、オンライン資格確認が未導入の施術所に対して、電話や電子メール、文書での導入の働きかけを2024年12月から重ねてきました。2026年2月には、未導入の施術所を対象とした集団指導が行われました。
2.1 厚生労働省は2026年2月、未導入の施術所にeラーニングの集団指導を行った
2026年2月18日付の事務連絡によると、集団指導の対象は、導入が義務であるにもかかわらず未導入で、やむを得ない事由に該当する旨の申し出もしていない施術所です。受講案内は2026年2月20日に送られ、約20分の動画の視聴期間は2月25日から3月19日まででした。
受講案内には、オンライン資格確認を導入しない場合は個別に導入を促し、それでもなお導入しない場合は、2026年12月を目途に受領委任の取扱いが中止となると記されています。
2.2 施術者が皆70歳以上などのやむを得ない事由に当たる施術所は、義務化の対象外
義務化の対象外となる「やむを得ない事由」として、事務連絡は次の3つを挙げています。
- 2024年4月時点で、常勤の施術者が皆70歳以上である場合(あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師の施術所は、皆が視覚障害である場合も含む)
- 2025年12月2日までの廃止・休止を決めている場合
- 2025年12月2日までの受領委任の取扱い中止を決めている場合
3. 施術所のオンライン資格確認は、柔道整復で84.9%、はり・きゅう等で53.4%が利用申請済み(2025年2月)
厚生労働省が2025年2月28日の社会保障審議会医療保険部会 柔道整復療養費検討専門委員会に示した資料で、施術所のオンライン資格確認の導入状況が分かります。数字は2025年2月23日時点のものです。
【柔道整復師の施術所(全4万4744施設)】
- 利用申請済み:3万7985施設(84.9%)
- 準備完了:3万6161施設(80.8%)
- 未導入:6759施設
【あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師の施術所(全3万3175施設)】
- 利用申請済み:1万7709施設(53.4%)
- 準備完了:1万4211施設(42.8%)
- 未導入:1万5466施設
3.1 未導入の施術所のうち、導入に向けた対応が必要とされたのは柔道整復で6337施設
同じ資料では、未導入の施術所を、やむを得ない事由等に該当すると回答した施術所とそれ以外に分けています。柔道整復師の施術所は未導入6759施設のうち6337施設、あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師の施術所は未導入1万5466施設のうち1万4487施設が「今後対応が必要な施設」とされました。この中には、直近1年間に受領委任払いを行っていない施術所も含まれます。
受領委任の施術所では、2024年12月2日からマイナ保険証で保険の資格を確かめる仕組みの導入が原則義務となり、未導入のままの施術所は2026年12月を目途に受領委任の取扱いが中止されます。2025年2月時点の利用申請済みの割合は、柔道整復で84.9%、はり・きゅう等で53.4%でした。
通っている接骨院・整骨院や鍼灸院でマイナ保険証を読み取ってもらえるかは、次に受付でマイナ保険証を出したときに確かめられます。
ここからは、受領委任の取扱いが中止された施術所で施術を受ける場合の払い方と、施術所の窓口で何を示せばよいかを見ていきます。
接骨院や鍼灸院に定期的に通っている方は、窓口で受け取る領収証や、施術のたびにサインする書類の内容を一度見直しておくと安心です。払い方が変わるといった案内が施術所から届いたら、家族にも伝えておきましょう。
