小さな子供がいる家庭において、共働きの大きなハードルとなるのが子供の急な体調不良の際の預け先です。近くに祖父母や頼れる人がいない場合、どうしても仕事に穴を開けてしまうことになり、それが原因で復職に踏み切れないママも多いのではないでしょうか。

急な休みや通勤さえなければ…そう考えるママたちが、まずやってみたいと考えるのが在宅ワーク。まとまった時間が取れなくても、空いた時間や自分のペースで仕事を進めることができるというイメージが強い在宅ワークですが、実際に挑戦してみた人は、どのように感じているのでしょう?

ママたちの仕事探しは激戦

まずは、主婦の就職状況についてみてみましょう。子供が幼稚園や保育園に通うことができる年齢になると、「空いた時間に仕事をしたい。と多くのママが考え、仕事探しを始めます。

その際、どうしても「子供が休みの土日祝日は休めて、定時も17時か18時、それでいて残業なし」という求人に応募が殺到してしまうことになります。さらには、「子供の急な体調不良のときに休める職場」となると、競争率はさらに高く、なかなか採用にいたりません。

フルタイム勤務はあきらめ、午前中だけのパートであれば仕事もあるだろうと応募をしたものの、応募者全員が9時から13時希望だったため、他の時間帯への移動を勧められ、辞退せざるを得なかった、なんていう話も。

子供の年齢が同じであれば、親もまた同じような生活スタイルになります。そうなると求人自体は多くあろうとも、自分の希望に合った求人に採用されるのはかなりハードルが高くなってしまうのは当然なのかもしれません。

時間の自由が利く在宅ワーク

そこで登場するのが「在宅ワーク」という選択肢です。ちなみに、ひとことに「在宅ワーク」といっても、デザインやライティング、文字起こしや翻訳など、仕事の種類は実に様々。
ただ、どのような仕事であっても、子供の都合で予定を左右されてしまいがちなママたちにとり「働く時間を決めずに仕事ができる」という点は、かなりの魅力なのではないでしょうか。

子供が眠った後、外へパートに行くとなるとハードルはかなり高くなりますが、寝ている子供の隣の部屋で仕事ができたら、ママたちは安心して仕事をすることができます。また、一日の中でまとまった時間が取りにくいママたちにとって、細切れの時間で作業ができるというのも、生活に適した働き方といえるでしょう。

実際、あくまで生活のメインは育児であると考え、「小さい我が子との時間を大切にしたい」という理由から、在宅ワーカーになるママもかなりいるようです。

とあるママの、在宅ワーカー挑戦記

スケジュール管理が命

Aさんは、2年ほど前から、ライターとして、在宅で仕事を請け負っています。

Aさんが仕事をするうえで、最も気を付けているのは、「スケジュール管理」です。Aさんの仕事は、クライアントに申し込み、自分のできる量だけの仕事を引き受けるというスタイルのもの。当然ながら納期があります。

自分ができると思った量だけを引き受けるようにはしていますが、。いくら能力が足りていたとしても、自分の意思と関係なく、子供や家庭の都合で時間を奪われてしまうことが多々あります。子供の発熱や急な学校からの呼び出しなど、仕事に充てようと思っていた時間が育児でつぶれてしまう、なんてことは日常茶飯事。

ですから、予期せぬ事態も想定し、お給料が減るのを承知で、引き受けるのは確実に納品できる量だけにおさえるなど、綿密に計画を練って仕事をしています。

クライアントとの信頼関係を崩さない工夫も

しかし、こんなに注意をしていても、うまくいかないこともあります。

「息子の通う幼稚園でインフルエンザが大流行した際、子供ではなく自分が罹患してしまいました。本当にヒヤリとしました。」と語るAさん。

「高熱がでて、夫に子供たちを預け、自分は別室にこもっていました。仕事の納期が気になりましたが、高熱が丸二日続き、その後も部屋から出られない状態が三日間。パソコンはリビングにおいてあり、全く作業ができなくて、かなりの痛手でした。ただ、スマートフォンは手元に置いていましたので、信頼関係を崩さないためにも、すぐさまクライアントに現在の状況を報告し、進行状況を伝えることはしました。幸い、先方もゆったりとしたスケジュールを組んでくれていましたし、担当者が子育てを経験者だったということもあって、納期に支障が出ることはありませんでした。」

でも、納期に間に合うめどが立ったからといって安心はできません。熱が下がってからAさんは、すぐに動きました。「家族がいない時間を見計らってリビングに行き、パソコンからデータをスマートフォンへと転送したんです。回復後スムーズに仕事ができるよう最低限出来る作業や回復後に困らないようなリスケジューリングをしなくてはいけませんものね。」

基本的に相手の顔や声を知ることがないままになってしまうことが多い、在宅ワークですが、文字という限られた手段で日常的にコミュニケーションをとることの大切さを感じた出来事だったそうです。

まとめ

在宅ワークは通勤や決められた勤務時間がなく、自分のペースで働くことができます。そのため、やろうと思えば無限に仕事を詰め込むこともできてしまい、ときに家事や育児に支障がでてしまうことも。良くも悪くもハンドリングするのは自分自身。育児を優先すると決めたのであれば、ある程度の線引きが必要といえるでしょう。

妊娠・出産から小さな子供の子育てと、ママになった女性には、長期にわたってキャリアのブランクが空いてしまうときがあります。「復職はしたい、でも家庭と仕事の両立がうまくできるか不安」という人には、スキマ時間から始められる在宅ワークを活用し、社会とのつながりを深めてみるのも選択肢のひとつなのかもしれません。

LIMO編集部