1. 65歳以上の一人暮らしは2050年に約1084万人→男性26.1%、女性29.3%に

内閣府「令和8年版高齢社会白書」によると、65歳以上の一人暮らしの人は、1980年の約88万人から2020年には約672万人に増え、2050年には約1084万人になると見込まれています。

割合でみると、2020年時点では65歳以上の男性の15.0%、女性の22.1%が一人暮らしでしたが、2050年には男性の26.1%、女性の29.3%にあたる見通しです。頼れる身内が近くにいない方にとって、入院や施設入所の際に求められる身元保証人の確保は切実な課題です。

こうした場面を支える民間サービスが「身元保証等高齢者サポート事業(身元保証サービス)」で、入院・入所時の保証から死後の事務までを引き受けます。

一方、契約内容や預託金の扱いを巡る消費者保護の課題も指摘されてきました。

国は2024年6月、9府省庁の連名で「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」を策定しています。本記事では、ガイドラインや総務省の調査をもとに、頼める範囲と初期費用の例、契約前に確かめたい点を整理します。

2. 身元保証サービスとは? 何を頼めて、いくらかかるのか

民間事業者が提供する身元保証サービスは、具体的にどのような業務を担ってくれるのでしょうか。国のガイドラインで示された分類と費用の実例から確認していきましょう。

2.1 入院・入所から死後事務まで。サービスの全体像

高齢者等終身サポート事業の主なサービス分類1/4

高齢者等終身サポート事業の主なサービス分類

出所:内閣官房ほか「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」表1をもとにLIMO編集部作成

国の「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」では、対象となる支援業務が、大きく3つのカテゴリーに分けて整理されています。

  • 1. 身元保証等サービス:入院・入所時の連帯保証や手続代行、身柄の引取り、医療に係る意思決定の支援、緊急連絡先の受託などが挙げられています。
  • 2. 死後事務サービス:死亡時の連絡、葬儀・火葬手続、納骨・永代供養、費用精算、遺品整理、行政手続、ライフラインの解約などを引き受ける業務です。
  • 3. 日常生活支援サービス:通院の付添いや買物代行などの生活支援関係と、公共料金の支払、預貯金・税務手続などの財産管理関係があります。

このように、契約によって元気なうちの生活支援から、万が一の入院時の対応、さらには亡くなった後の事務処理まで幅広く任せられる設計が整えられているのが実態です。ただし、どの業務までが基本契約に含まれ、どこからが個別契約や追加料金となるのかは事業者ごとに異なるため、契約内容を事前に確認する作業が重要になります。

2.2 初期費用は約92万〜190万円の例。預託金は50万〜120万円の例も

利用を検討するにあたり、最も気にかかるのが「費用がいくらかかるのか」という金銭面の実態でしょう。

総務省行政評価局が2023年(令和5年)8月に公表した「身元保証等高齢者サポート事業における消費者保護の推進に関する調査結果報告書」では、事業者の利用時に要する費用の例として、4事業者(A〜D)の費用が示されています。

同報告書の表に示された初期費用の合計額は、約92万円から190万円までの開きがあります。報告書は、サービス利用開始時に少なくとも100万円以上が必要だったとも述べており、契約当初にまとまった資金を用意するケースが目立ちます。

ここで特に注視したいのが、費用の内訳に含まれる「預託金」の存在です。預託金とは、将来の入院費の滞納や施設利用料の補填、あるいは本人が亡くなった後の葬儀費用・遺品整理費用などに充てるため、事業者に事前に預け入れておく金銭を指します。報告書の例では、死後事務に関する預託金(預り金)が50万円から120万円という記載があり、初期費用に占める割合が大きい例もみられます。なお、これらは報告書に例示された一部事業者の実例であり、業界全体の平均額や一般的な相場を示すものではない点に留意しなければなりません。

熊谷 良子

身元保証サービスを検討される方にとって、初期費用の金額は非常に重い負担に感じられるでしょう。

ここで大切なのは、提示された「総額」の数字だけに目を奪われず、その内訳を細かく分解して確かめることです。一度支払ったら戻らない入会金や事務手数料なのか、それとも将来の葬儀や医療費に充当される預託金なのかによって、資金の意味合いは全く異なります。

さらに月々の会費や、緊急駆けつけ1回ごとの追加費用が発生する体系も珍しくありません。

目先の金額だけで判断せず、毎月の管理費や更新料、さらには万が一の際の預託金の扱いを含め、自分が亡くなるまでに累計でいくらの出費になるのかを事前に試算してみることが後悔を防ぐ第一歩となります。