物価や金利の上昇が続くなかで、まとまったお金の置き場所として個人向け国債を検討している方もいるのではないでしょうか。
財務省は2026年10月7日、10月8日から募集する個人向け国債の発行条件を発表しました。固定5年(第187回債)の利率は年2.39%で、9月募集分の年2.24%から上がっています。
この記事では、10月募集分の3タイプの利率と決まり方を確認したうえで、1年前の10月募集分と並べて、この1年で利率がどれだけ動いたかを見ていきます。
なお、個人向け国債の基本的なしくみについては、下記の記事より一部を引用・参照しています。
1. 個人向け国債の10月募集分は固定5年が年2.39%、3タイプとも年2%台に
個人向け国債は、国が個人向けに発行する国債で、満期までの期間と金利のタイプが違う3種類があります。10月募集分は、3タイプとも9月募集分より利率が上がりました。
1.1 10月募集分の利率は固定5年2.39%、固定3年2.07%、変動10年2.05%
財務省の報道発表「個人向け国債の発行条件等」(令和8年10月7日)による10月募集分の利率(年率・税引前)は、次のとおりです。
- 固定5年(第187回債):年2.39%(税引後1.9044715%)
- 固定3年(第197回債):年2.07%(税引後1.6494795%)
- 変動10年(第199回債):初回の利子の適用利率 年2.05%(税引後1.6335425%)
9月募集分の利率は、固定5年が年2.24%、固定3年が年1.96%、変動10年が年1.95%でした。10月募集分は、固定5年が0.15ポイント、固定3年が0.11ポイント、変動10年が0.10ポイント上がっています。
9月募集分に続いて、10月募集分も固定3年の利率が変動10年をわずかに上回りました。
1.2 個人向け国債の10月募集分は10月30日まで募集、発行日は11月16日
10月募集分の募集期間は、令和8年10月8日から10月30日までです。発行日は11月16日で、利子は毎年5月15日と11月15日の年2回受け取ります。
償還期限は、固定3年が令和11年11月15日、固定5年が令和13年11月15日、変動10年が令和18年11月15日です。募集の価格は額面100円につき100円で、満期には額面100円につき100円が戻ります。
取扱機関は、証券会社や銀行など872機関です。
2. 個人向け国債の利率は、タイプごとの計算式で基準金利から決まる
個人向け国債の利率は、市場の金利をもとにした基準金利から、タイプごとに決まった計算式で算出されます。10月募集分の基準金利も、財務省の報道発表で示されています。
3つのタイプの違いについては、LIMOの記事「財務省、2026年7月募集「個人向け国債」の金利を公表!400万円購入した場合の受取利息をシミュレーション!手取り利息と解約調整額のポイント」から要点を引用して確認しておきましょう。
半年ごとに適用金利が見直される変動10年に加え、満期まで金利が変わらない固定5年や固定3年など、目的に応じた選択が可能です。
出所:財務省、2026年7月募集「個人向け国債」の金利を公表!400万円購入した場合の受取利息をシミュレーション!手取り利息と解約調整額のポイント
2.1 固定5年は基準金利2.44%から0.05%、固定3年は2.10%から0.03%を差し引く
固定5年の利率は「基準金利-0.05%」で算出され、10月募集分の基準金利は2.44%でした。固定3年は「基準金利-0.03%」で、基準金利は2.10%です。
固定タイプの基準金利は、前営業日の市場実勢利回りをもとに計算した、期間5年・3年の固定利付国債の想定利回りです。決まった利率は満期まで変わりません。
2.2 変動10年は基準金利3.10%に0.66を掛けて求める
変動10年の適用利率は「基準金利×0.66」で算出されます。10月募集分の初回の利子の基準金利は、前営業日の10年固定利付国債の入札結果から算出された3.10%でした。
この基準金利から、初回の利子の適用利率は年2.05%に決まりました。変動10年の適用利率は半年ごとに見直されます。
2.3 個人向け国債の利率には3タイプとも年0.05%の下限がある
どのタイプも、計算式で求めた利率が年0.05%を下回る場合は、年0.05%が適用されます。
3. 1年前の10月募集分と比べると、個人向け国債の固定5年は1.22%から2.39%に
個人向け国債の利率は、毎月の募集ごとに決まります。1年前の2025年10月募集分と、今回の10月募集分の個人向け国債を並べてみます。
3.1 1年前の10月募集分は固定5年1.22%、固定3年1.01%、変動10年1.08%
2025年10月募集分(2025年11月17日発行)の利率は、固定5年(第175回債)が年1.22%、固定3年(第185回債)が年1.01%、変動10年(第187回債)の初回の利子の適用利率が年1.08%でした。
今回の10月募集分と比べると、固定5年は1.17ポイント、固定3年は1.06ポイント、変動10年は0.97ポイント高くなっています。
3.2 固定5年の利率は、この1年で12回のうち9回、前の月の募集分を上回った
固定5年の利率を、2025年10月募集分から募集月ごとに並べると次のとおりです。
個人向け国債「固定5年」の利率を、2025年10月募集分から1年分並べた推移2/2
出所:財務省「個人向け国債の発行額の推移」、財務省「個人向け国債の発行条件等」(令和8年10月7日)をもとにLIMO編集部作成
【個人向け国債「固定5年」の利率(年率・税引前)】
- 2025年10月募集分(第175回債):1.22%
- 2025年11月募集分(第176回債):1.19%
- 2025年12月募集分(第177回債):1.35%
- 2026年1月募集分(第178回債):1.59%
- 2026年2月募集分(第179回債):1.66%
- 2026年3月募集分(第180回債):1.58%
- 2026年4月募集分(第181回債):1.79%
- 2026年5月募集分(第182回債):1.89%
- 2026年6月募集分(第183回債):1.86%
- 2026年7月募集分(第184回債):1.95%
- 2026年8月募集分(第185回債):2.06%
- 2026年9月募集分(第186回債):2.24%
- 2026年10月募集分(第187回債):2.39%
前の月の募集分より下がったのは、2025年11月募集分、2026年3月募集分、2026年6月募集分の3回でした。残りの9回は、前の月の募集分を上回っています。
3.3 額面100万円の固定5年なら、1年分の利子は1万2200円から2万3900円に
利率の差を金額にすると、額面100万円の固定5年の1年分の利子(税引前)は、1年前の10月募集分の年1.22%なら1万2200円、今回の年2.39%なら2万3900円です。
どちらも利率から単純に計算した1年分の額で、初回の利子は発行日から初回の利子支払日までの期間に応じて計算されます。固定タイプは買ったときの利率が満期まで続くため、同じ固定5年でも、どの月に募集された回号かで受け取る利子が変わります。
個人向け国債の10月募集分は、固定5年が年2.39%、固定3年が年2.07%、変動10年が年2.05%で、3タイプとも年2%台になりました。1年前の10月募集分と比べると、いずれも1ポイント前後高い水準です。
募集は10月30日までで、各回号の利率や償還期限は、財務省の「個人向け国債」のページや取扱機関の窓口で確かめられます。
ここからは中途換金のしくみと、3つのタイプをどう選ぶかを考えていきます。
個人向け国債の利率はこの1年で大きく上がりましたが、固定タイプは買ったときの利率が満期まで続きます。利率の高さだけで決めるのではなく、そのお金をいつ使う予定なのかから期間を選んでいただきたいところです。

