年金だけで毎月の暮らしをまかなうのは楽ではない、と感じている人もいるでしょう。国民年金(老齢基礎年金)だけの場合、満額でも月7万608円(令和8年度)です。
年金を受け取っていても、収入が国の定める最低生活費に届かなければ、差額を生活保護で受けられる場合があります。年金は保護費から差し引かれる「収入」として数えられ、足りない分が支給されるしくみです。
この記事では、老齢基礎年金の満額と実際の受給額の分布を確認したうえで、10月15日に振り込まれる年金が保護費の計算でどう数えられるかを見ていきます。75歳以上の単身で老齢基礎年金の満額を受け取る人の保護費も試算します。
1. 【国民年金】老齢基礎年金の満額は月7万608円。厚生年金のない人の約3割は月5万円未満
生活保護との関係を見る前に、まずは国民年金(老齢基礎年金)でいくら受け取れるのかを確認しておきましょう。
満額の決まり方と、実際に受け取っている人の金額の分布を順にチェックしていきます。
1.1 令和8年度の満額は月7万608円。40年間保険料を納めた場合の額
日本年金機構によると、令和8年4月分からの老齢基礎年金の満額は年84万7300円、月額にすると7万608円です。昭和31年4月1日以前生まれの人は年84万4900円(月7万408円)です。
満額を受け取れるのは、20歳から60歳になるまでの40年間(480月)の保険料をすべて納めた場合です。
1.2 保険料を納めた月数が少ないと、その分だけ年金額も減る
老齢基礎年金の額は、満額に「保険料を納めた月数÷480月」を掛けて計算するのが基本です。免除を受けた期間があるときは、免除の種類に応じた割合で計算されます。
たとえば保険料を納めた期間が30年(360月)なら、令和8年度の額で年63万5475円、月額では約5万2956円になります。
1.3 国民年金の平均は月5万9310円。同じ令和6年度の満額より8690円少ない
厚生労働省「厚生年金保険・国民年金事業年報」によると、令和6年度末の老齢基礎年金などの平均年金月額は5万9310円でした。受給権者は3345万4617人です。
この平均は令和6年度の年金額にもとづく数値です。同じ令和6年度の満額6万8000円(昭和31年4月2日以後生まれ)と並べると、平均は満額より月8690円少ない計算です。
1.4 厚生年金のない「基礎のみ」の人の約3割は、月5万円未満
同じ年報には、老齢厚生年金を受け取る権利がない「基礎のみ」の人の数も再掲されています。令和6年度末で560万8982人、平均年金月額は5万6337円でした。
年金月額の分布を見ると、月5万円未満は176万9951人で31.6%です。満額を含む6万円以上7万円未満の階級は37.1%で、月6万円未満の人は全体の50.8%と半数を超えています。
【基礎のみの人の年金月額(令和6年度末)】
- 1万円未満:1万9859人(0.4%)
- 1万円以上2万円未満:7万2285人(1.3%)
- 2万円以上3万円未満:20万1316人(3.6%)
- 3万円以上4万円未満:65万6174人(11.7%)
- 4万円以上5万円未満:82万317人(14.6%)
- 5万円以上6万円未満:107万7243人(19.2%)
- 6万円以上7万円未満:208万626人(37.1%)
- 7万円以上:68万1162人(12.1%)
1.5 年金が少なくても、最低生活費に届かなければ生活保護で差額を受けられる場合がある
生活保護法第4条は、利用できる資産や能力その他あらゆるものを、生活の維持のために活用することを保護の要件としています。年金もその一つで、受け取ったうえで収入として数えられます。
そのうえで、収入が最低生活費に届かない分が保護費として支給されます。年金が少ないこと自体は、生活保護を受けられない理由にはなりません。
次のページからは、10月15日に振り込まれる年金が保護費の計算でどう数えられるのかを見ていきます。
筆者が国保や後期高齢者医療の保険料を計算していた頃は、生活保護の開始や廃止にあわせて資格を切り替える手続きも扱っていました。保護が終わったあとの加入は、届出が遅れても保険料がさかのぼるため、早めの手続きが安心です。
