1. 【「比較的」難読駅名】東京都の「九品仏」「東雲」「雑色」の読み方、駅のまわりの地価と街の姿を紹介

電車の路線図や駅のアナウンスで見かけるのに、文字だけ見ると読み方に迷ってしまう駅名はありませんか。

東京23区には、お寺の呼び名や昔の村の名前、新しい埋め立て地につけられた名前など、さまざまな由来をもつ駅名があります。

今回は、東京23区にある難読駅名を3つ出題します。あわせて、駅のまわりの地価や商店街、工場の歴史など「お金」にまつわる話も紹介します。

住まい選びや街歩きのヒントとしても楽しんでみてください。

2. 【東京都の難読駅名】世田谷区「九品仏駅」の読み方と由来

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編集部作成

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最初にご紹介する駅は、世田谷区奥沢7丁目にある東急大井町線の「九品仏駅」です。

大井町と溝の口を結ぶ大井町線で、自由が丘駅のとなりにある小さな駅です。

2.1 読み方は「くほんぶつ」

「くほんぶつ」と読みます。

「九」を「きゅう」ではなく「く」、「品」を「ほん」と読むのがポイントです。「九品」は、仏教で極楽にいく人を9つの段階に分けた考え方を指します。

駅名のもとは、駅のすぐ近くにあるお寺「浄真寺(じょうしんじ)」の呼び名です。

世田谷区選挙管理委員会などが出している「選挙啓発NEWS」によると、3つのお堂に9体の阿弥陀如来がまつられていることから「九品仏」と呼ばれています。

境内は中世の奥沢城の跡ともいわれ、世田谷区の花「さぎ草」にちなむ小さな「さぎ草園」もあります。

2.2 【「九品仏」の街】駅前に広がる「九品仏商店街」

駅を出ると、古くからのお店が並ぶ「九品仏商店街」があります。

また駅から自由が丘駅までは歩いて10分ほどです。ふだんの買い物は地元の商店街、まとまった買い物やおでかけは自由が丘、という使い分けができる街です。

2.3 【「九品仏」の地価公示価格】駅から300mの住宅地で1平方メートル106万円

2026年の地価公示では、奥沢7丁目の住宅地(九品仏駅から300m)が1平方メートルあたり106万円でした。前年の99万円から7.1%上がっています。

少し離れた奥沢8丁目の住宅地(駅から400m)は91万8000円で、前年の86万4000円から6.3%の上昇です。

東京都財務局によると、2026年の区部の住宅地の上昇率は平均9.0%でした。九品仏の上がり方は平均よりややゆるやかですが、値段そのものは100万円をこえる高い水準です。

静かな住宅街と、自由が丘まで歩ける便利さがあわせて評価されていると考えられます。

3. 【東京都の難読駅名】江東区「東雲駅」の読み方と由来

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編集部作成

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次にご紹介する駅は、江東区東雲にある東京臨海高速鉄道りんかい線の「東雲駅」です。

新木場と大崎を結ぶりんかい線で、新木場駅と国際展示場駅のあいだにあります。

3.1 読み方は「しののめ」

「しののめ」と読みます。

江東区ホームページの町名の由来によると、東雲は昭和13年6月1日に、豊洲五丁目の南東の埋め立て地につけられた町名です。

「東雲」とは明け方にたなびく雲のことで、夜明けやあけぼのを意味します。

となりの「有明」も、夜明けに残る月のようすを表す言葉です。湾岸の新しい土地に、朝をイメージした名前が並んでいるのは面白いところです。

3.2 【「東雲」の街】工場の跡地が大きな住宅街に

東雲は、もともと工場や倉庫が多い埋め立て地でした。

UR都市機構(都市再生機構)の資料によると、東雲1丁目では約16ヘクタールの大きな工場跡地を、民間の会社と協力して住宅と商業施設が一体になった街につくりかえてきました。

これが「東雲キャナルコート」です。このなかにあるUR賃貸住宅「東雲キャナルコートCODAN」は2003年に管理が始まり、約1700戸があります。

まわりにはタワーマンションや大型スーパーも建ち、職場と住まいが近い湾岸の街として人が増えてきました。

3.3 【「東雲」の地価公示価格】工業地が1年で約17%上昇

2026年の地価公示では、東雲2丁目の工業地(東雲駅から400m)が1平方メートルあたり70万円でした。前年の60万円から16.7%上がっています。

東京都財務局によると、2026年の区部の工業地の上昇率は平均10.7%です。

湾岸部では、ネット通販の広がりで物流施設の土地の上昇率が高いとされていて、東雲もその流れのなかにあると考えられるそうです。

4. 【東京都の難読駅名】大田区「雑色駅」の読み方と由来

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最後にご紹介する駅は、大田区仲六郷2丁目にある京急本線の「雑色駅」です。

これはちょっと難問だったでしょうか?(笑)

京急蒲田駅と六郷土手駅のあいだにあり、多摩川をこえると神奈川県川崎市です。

「ざっしょく」と読みたくなりますが、正解はどうでしょうか。

4.1 読み方は「ぞうしき」

「ぞうしき」と読みます。

「雑色」はもともと、昔の宮中で雑務を担った役職の名前で、天皇の食事の給仕などを受け持つ「蔵人(くろうど)」の中の職位のひとつです。

雑色駅は1901年(明治34年)に開業した駅で、旅行情報サイト「ニッポン旅マガジン」によると、当時の雑色村の玄関口だったことが駅名の由来とされています。

なお、中野区にもかつて同じ名前の「雑色村」がありました。

4.2 【「雑色」の街】町工場の町から暮らしの町へ

大田区は、「ものづくりのまち」として知られています。

大田区などがまとめた「大田区工業ガイド」によると、区内の工場数は昭和58年の9177をピークに、平成28年には4229まで減りましたが、23区のなかでは今も多い地域です。

雑色の近くでも、工場の跡地に住宅や学校ができてきました。グリコの工場跡には2017年に大型マンション「プラウドシティ大田六郷」が建ち、パン工場の跡地には都立六郷工科高校ができています。

駅前には、アーケードのある「雑色商店街」と「水門通り商店街」が続いています。精肉店や町中華、銭湯など、下町らしいお店が多いのも特徴です。

4.3 【「雑色」の地価公示価格】住宅地は1平方メートル50万円台

2026年の地価公示では、仲六郷の住宅地が1平方メートルあたり50万8000円で、前年から7.5%上がりました。南六郷の住宅地は50万5000円で、7.3%の上昇です。

区部の住宅地の平均上昇率(9.0%)にはおよびませんが、毎年しっかり上がり続けています。

品川や横浜方面に京急1本で出られる便利さに加え、工場跡地の再開発で若い世帯が増えていることも、その理由と考えられます。

5. 著者のコメント

長島 迪子
お寺の仏さま、夜明けの雲、昔の役職名と、3つの駅名のルーツはまったくちがいました。

調べてみると、駅のまわりの街も、商店街が続く住宅地、工場跡地にできた湾岸の街、町工場から暮らしの町へ変わってきた下町と、それぞれちがう顔を持っています。

読み方の面白さをきっかけに、ふだん通りすぎている駅で一度降りてみると、新しい発見があるかもしれません。

6. 【まとめ】九品仏の住宅地は雑色の約2倍、上昇率は東雲の工業地がトップ

今回紹介した3駅の近くの地点を並べると、九品仏(奥沢7丁目)の住宅地は雑色(仲六郷)の住宅地の約2倍の値段でした。

上がり方では、東雲の工業地が16.7%と大きく伸びています。

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本記事に記載の内容を基にLIMO編集部作成

本記事に記載の内容を基にLIMO編集部作成

※東雲の町内にある2026年地価公示の地点は工業地の1地点のため、工業地の数字をのせています。用途がちがうため、単純な比較はできません。

今回は東京都の難読駅名「九品仏(くほんぶつ)」「東雲(しののめ)」「雑色(ぞうしき)」を紹介しました。

9体の阿弥陀如来をまつるお寺、夜明けの雲、昔の役職名と、由来はそれぞれ個性的です。

一方で、駅のまわりを見ると、商店街のある住宅街、工場跡地にできた湾岸の街、町工場の歴史を持つ下町と、街の成り立ちも地価もさまざまです。

ふだん何気なく使っている駅名にも、歴史とお金の両方から見た物語があります。ぜひ身近な駅の名前の由来や地価も調べてみてください。

参考資料

長島 迪子