1. 【後期高齢者医療】令和8・9年度は均等割の7割軽減が医療分だけ「7.2割」に

75歳以上の方が加入する後期高齢者医療制度の保険料は、令和8年度から2年間の新しい料率に切り替わりました。所得が一定以下の世帯では、加入者全員にかかる「均等割」が軽くなる仕組みがあり、令和8・9年度はその割合の一部が見直されています。

厚生労働省が令和8年4月10日に公表した資料と、各地の後期高齢者医療広域連合の案内をもとに、軽減の中身と判定の基準を確認します。

1.1 均等割は全国平均で年5万6083円、前の2年間から5694円増えた

後期高齢者医療の保険料は、加入者全員が同じ額を負担する「均等割」と、所得に応じてかかる「所得割」の合計です。厚生労働省によると、令和8・9年度の医療分の均等割額は全国平均で年5万6083円で、令和6・7年度の5万389円から5694円増えました。

1人当たりの平均保険料額は月7989円で、前の2年間の月7411円から578円の増加です。令和8年度からは「子ども・子育て支援納付金分」(以下、子ども分)も加わり、その均等割額は全国平均で年1351円とされています。

1.2 7割軽減の世帯は医療分だけ「7.2割」軽減になる

均等割には、世帯の所得に応じて7割・5割・2割を差し引く軽減があります。神奈川県や大阪府の後期高齢者医療広域連合は、7割軽減に当たる方の医療分について、令和8・9年度に限り軽減割合を7.2割にすると案内しています。

大阪府の広域連合の説明では、7割軽減に該当する方は医療分の均等割額から100分の2を乗じた額がさらに減額されます。子ども分の軽減は7割のままで、7.2割になるのは医療分だけです。

2. 後期高齢者医療の均等割の軽減は「43万円・31万円・57万円」の3つの基準で判定する

均等割の軽減に当たるかどうかは、世帯の総所得金額等の合計を3つの基準と比べて決まります。ここでは、令和8年度の基準と、年金収入に置き換えた目安を確認します。

均等割の軽減の基準と、単身・夫婦の年金収入の目安(令和8年度)1/2

後期高齢者医療の均等割の7割・5割・2割軽減の基準額と、単身・夫婦世帯の年金収入の目安を並べた表

出所:神奈川県後期高齢者医療広域連合「保険料の軽減(令和8年度保険料について)」、大阪府後期高齢者医療広域連合「令和8年度保険料試算」を参考にLIMO編集部作成

【単身世帯の年金収入の目安】

  • 7割軽減(医療分は7.2割):168万円以下
  • 5割軽減:199万円以下
  • 2割軽減:225万円以下

【夫婦世帯の夫の年金収入の目安(妻の年金収入80万円以下)】

  • 7割軽減(医療分は7.2割):168万円以下
  • 5割軽減:230万円以下
  • 2割軽減:282万円以下

いずれも、収入が公的年金だけの65歳以上で、夫婦は2人とも被保険者、夫が世帯主の場合としてLIMO編集部が試算した目安です。

2.1 基準額は43万円に、被保険者1人あたり31万円か57万円を足して求める

7割軽減の基準は、基礎控除額にあたる43万円です。5割軽減は43万円に31万円×被保険者数を、2割軽減は43万円に57万円×被保険者数を足した額が基準になります。

世帯の中に給与所得者等が2人以上いる場合は、どの基準にも10万円×(給与所得者等の数−1)を加えます。給与所得者等とは、給与収入が55万円を超える方、65歳未満で公的年金等の収入が60万円を超える方、65歳以上で125万円を超える方のことです。

2.2 65歳以上は年金の所得からさらに15万円を差し引いて判定する

65歳以上で公的年金等控除を受けている方は、公的年金に係る所得からさらに15万円を差し引いた額で判定します。単身で年金収入168万円の方なら、公的年金等控除110万円と15万円を引いた43万円が判定に使う所得になり、7割軽減の基準にちょうど収まります。

この15万円は均等割の軽減を判定するときだけの扱いで、所得割の計算に使う所得とは別です。神奈川県の広域連合も、軽減判定に用いる所得は所得割額の算定に用いる所得とは扱いが異なると案内しています。

2.3 判定は4月1日時点の世帯で行い、世帯主の所得も含める

軽減の判定は、毎年4月1日時点の世帯の状況で行われます。年度の途中で加入した方は、加入した日が基準日になります。

判定に使うのは、被保険者本人だけでなく、同じ世帯の被保険者と世帯主の所得の合計です。世帯主が後期高齢者医療の被保険者でない場合も、その所得は判定の対象に含まれます。

令和8・9年度の均等割は全国平均で年5万6083円で、7割軽減に当たる世帯は医療分が7.2割軽減になります。自分の世帯がどの区分に当たるかは、手元の「保険料額決定通知書」に記載された均等割額で確かめられます。

太田 彩子

均等割の軽減は申請しなくても、申告された所得の情報から自動で判定されます。そのぶん、所得の申告が抜けていると判定そのものができないので、収入が少ない方ほど申告の有無を確かめておいてほしいと思います。