10月28日発売の『週刊少年ジャンプ』(48号)で、人気マンガ『ハイキュー!!』の”終章”がはじまりました。2012年より連載している本作が、主人公・日向翔陽(ひなた しょうよう)の濃密な高校1年時を終え、今後本誌では5年後が描かれます。

『ハイキュー!!』の人気の秘密の理由には、人情味あふれるキャラクター、そして夢物語や理想を描くだけではない真っ向勝負のアツいバレーボール描写が挙げられるでしょう。さらに、TVアニメの放送、コミックの世界観を重要視した2.5次元舞台など複合的なエンターテインメントとして、いわゆる”スポ根”作品のなかでも突出した人気を博しています。

「ハイキュー!!」のキャラクターの中心である日向翔陽の主人公らしさ、あふれる才能と存在感は読み手を熱い気持ちにさせますが、一方で、日向が担うポジション・MB(ミドルブロッカー)においては、バレーボール選手として致命的ともいえる低身長という特徴を持っています。才能や努力が及ばない部分を持っているという点で、日向は身近に感じられる存在でもあります。

今回は、そんな日向が、低身長であることを理由にせず「高さでも競いたい」と努力するその向上心を紐解きたいと思います。

「できない」からのスタート

『ハイキュー!!』は、日向が中学生だったころ、のちにバディともいえる存在になるセッター・影山飛雄(かげやま とびお)と試合で対戦し大敗するところからはじまります。日向はこの頃から体のバネを活かしたジャンプ力に素質を見せますが、中学から強豪校にいて、その中でも飛び抜けていた影山とは違い、バレーボールのテクニックはほとんどありません。

日向は烏野高校のバレー部に入部、予想外にも同じチームとして影山と再会し、同学年でバレーボール経験者の部員も加入します。先輩とも練習するなかで、日向は自分にテクニックがないためにバネを活かしきれていないという「できなさ」を痛感することになりました。

自分の「できない」を認めることが、前を向くきっかけになり、向上心につながるのだと知らされた物語序盤でした。

「仲間でありライバル」の存在から学び取る姿勢