親の介護が始まると、通院の付き添いや介護サービスの手配で、仕事をまとまって休まなければならない時期が出てきます。そのとき休業中の収入の一部を補うのが、雇用保険の「介護休業給付金」です。
厚生労働省が2026年10月2日に公表した「雇用保険事業月報(令和8年8月分)」では、8月に介護休業給付を受けた人は3149人でした。2025年度の受給者数は3万9783人で、2022年度の3万66人から9717人増えました。
この記事では、介護休業給付金の支給要件と計算式を確かめ、休業前の賃金月額別に1か月の支給額を計算します。受給者数の推移もあわせて見ていきます。
1. 介護休業給付金は、家族1人につき通算93日まで3回に分けて受け取れる
まず、介護休業給付金がどのような休業に支給されるのかを、ハローワークの案内で確認します。
1.1 介護休業給付金の対象は、2週間以上の常時介護が必要な家族を介護するための休業
対象になるのは、負傷、疾病または身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上にわたり常時介護を必要とする状態にある家族を介護するための休業です。
対象家族は、配偶者(事実上の婚姻関係と同様の事情にある人を含む)、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫です。自分の親だけでなく、配偶者の親を介護するための休業も対象になります。
支給は、同じ家族について93日を限度に3回までです。休業の初日と末日を明らかにして事業主に申し出て、実際に取得した休業であることも条件になります。
1.2 介護休業給付金を受け取れるのは、休業開始前の2年間に雇用保険の加入期間が12か月以上ある人
支給の対象は、雇用保険の一般被保険者と高年齢被保険者です。介護休業開始日前の2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある完全月が12か月以上必要です。
11日以上の完全月が12か月に満たない場合は、賃金の支払いの基礎となった時間数が80時間以上の完全月も数えられます。
そのうえで、休業期間中の1か月ごとに、休業開始前の1か月当たりの賃金の8割以上が支払われていないことが要件です。就業している日数が1か月ごとの期間で10日以下であることも求められます。
期間を定めて雇用されている人は、介護休業開始予定日から93日を経過する日から6か月を経過する日までに、労働契約が満了することが明らかでないことも必要です。
2. 介護休業給付金の支給額は賃金の67%。休業前の賃金月額が30万円なら1か月20万1000円
次に、介護休業給付金がいくらになるのかを、計算式から確かめます。
2.1 介護休業給付金の計算式は「休業開始時賃金日額×支給日数×67%」
介護休業給付金の1か月ごとの支給額は、原則として休業開始時賃金日額×支給日数×67%で計算します。
賃金日額は、原則として介護休業開始前6か月の賃金を180で割った額です。支給日数は、休業終了日を含む期間を除いて30日で数えます。
2.2 介護休業給付金の上限は1か月36万6222円。賃金月額54万6600円で頭打ちになる
賃金日額に支給日数の30日を掛けた「賃金月額」が54万6600円を超える場合は、54万6600円として計算します。このため、1か月あたりの介護休業給付金の上限は36万6222円です。
賃金月額が9万6090円を下回る場合は、9万6090円として計算します。これらの額は毎年8月1日に変わります。
【休業開始時の賃金月額別の介護休業給付金(1か月・支給日数30日)】
- 賃金月額20万円:13万4000円
- 賃金月額30万円:20万1000円
- 賃金月額40万円:26万8000円
- 賃金月額54万6600円以上:36万6222円(上限)
休業前の6か月に毎月30万円の賃金を受け取っていた場合、180万円を180で割った賃金日額は1万円です。1万円×30日×67%で、1か月の支給額は20万1000円になります。
支給日数30日の期間が3回続けば、介護休業給付金は合わせて60万3000円です。
3. 介護休業給付の受給者は2025年度に3万9783人。雇用保険事業月報でみる推移
介護休業給付を実際に受けている人の数を、厚生労働省の雇用保険事業月報で確認します。
3.1 介護休業給付の受給者数は、2022年度の3万66人から3年続けて増えた
年度ごとの受給者数は、2022年度が3万66人、2023年度が3万4270人、2024年度が3万6489人、2025年度が3万9783人でした。
【介護休業給付の受給者数と支給金額(年度合計)】
- 2022年度:3万66人(77億1176万円)
- 2023年度:3万4270人(86億6226万円)
- 2024年度:3万6489人(93億6120万円)
- 2025年度:3万9783人(104億1414万円)
2025年度の受給者数は2022年度の約1.32倍です。支給金額は77億1176万円から104億1414万円になり、約1.35倍に増えました。
なお、2025年度の数値は精査中とされており、今後変わる可能性があります。
3.2 2026年8月に介護休業給付を受けた人は3149人で、前年同月より284人多い
2026年8月の介護休業給付の受給者数は3149人、支給金額は8億1435万円でした。
前年同月の2025年8月は2865人、7億3237万円です。受給者数は1年で284人、率にして約9.9%増えました。月ごとの数値は業務統計値で、変動があり得ると注記されています。
介護休業給付金は休業前の賃金の67%で、賃金月額30万円なら1か月20万1000円、上限は36万6222円です。受給者は2025年度に3万9783人まで増えました。
受け取れるかどうかは、休業開始前2年間の雇用保険の加入期間で決まります。勤務先の担当部署か、事業所を管轄するハローワークで確かめられます。
ここからは、休業中に会社から賃金が出たときの減り方と申請の期限、短い時間の用事に使える介護休暇を見ていきます。
介護休業給付金の支給申請書は、休業が終わったあとに提出します。期限は休業終了日の翌日から数えて2か月を経過する日の属する月の末日です。
介護休業の申出書の控えなど、勤務先とやりとりした書面は申請が済むまで手元に残しておくと、内容を確かめやすくなります。
