1. 注文住宅で「満足していないもの」の1位は価格。国が初めて調べた結果
国土交通省は2026年7月17日、「令和7年度住宅市場動向調査」の結果を公表しました。
今回の調査から、建てた・買った住宅について「満足していないもの」を新たに尋ねています。まずは、注文住宅を建てた世帯の答えから満足していないポイントを見ていきます。
1.1 注文住宅を建てた世帯で最も多かった答えは「価格」
「満足していないもの」について、注文住宅を建てた世帯(全国)で最も多かった答えは「価格(予定より高くなった)」で、36.1%でした。
分譲住宅や既存(中古)住宅を買った世帯では、いずれも「特になし」が最も多くなっています。1位が「特になし」以外だったのは、注文住宅だけでした。
なお、注文住宅でも「特になし」は32.9%あり、3人に1人ほどは不満を挙げていません。
1.2 2位以下は「広さ」「間取り」と、立地にかかわる項目が続く
2位は「住宅の広さ」で18.8%、3位は「間取り、部屋数」で16.8%でした。
4位の「職場からの距離」(9.5%)と5位の「交通の利便性」(9.4%)は、建物ではなく土地選びにかかわる項目です。
同じ調査では、住宅を選ぶときに「妥協したもの」も尋ねています。注文住宅(全国)の1位はここでも「価格(予定より高くなった)」で、63.8%でした。
2. 注文住宅の購入資金は平均7646万円。4年で約1.5倍に
価格への不満の背景には、注文住宅の購入資金そのものの上昇があります。ここでは、土地を購入して注文住宅を新築した世帯の資金を中心に見ていきます。
2.1 土地を購入した新築世帯の購入資金は、令和3年度調査から2534万円増えた
土地を購入して注文住宅を新築した世帯の購入資金(住宅建築資金と土地購入資金の合計)は、全国平均で「7646万円」でした。
令和6年度調査の6188万円から1458万円、令和3年度調査の5112万円からは2534万円増えています。
- 令和3年度調査:5112万円
- 令和4年度調査:5436万円
- 令和5年度調査:5811万円
- 令和6年度調査:6188万円
- 令和7年度調査:7646万円
各年度の調査は、その前年度に入居した世帯が対象です。令和7年度調査であれば、令和6年4月から令和7年3月に入居した世帯の数値になります。
2.2 購入資金の中央値は5100万円。平均は高額な世帯に引き上げられている
同じ世帯の購入資金の中央値は5100万円でした。
平均の7646万円とは2500万円以上の開きがあり、一部の高額な世帯が平均を押し上げています。自分の予算と比べるときは、中央値もあわせて見ておくと実感に近くなります。
土地を買ったかどうかにかかわらず、注文住宅の住宅建築資金(土地購入資金を除く)は全国平均で5233万円でした。令和3年度調査の3459万円から1774万円増えており、建物の費用だけを見ても上がっています。
2.3 住宅ローンに「負担感がある」と答えた世帯は67.6%
注文住宅を建てた世帯に住宅ローンの負担感を尋ねると、「非常に負担感がある」「少し負担感がある」の合計は67.6%でした。
令和3年度調査の63.0%を上回っています。
3. 【体験談】滋賀県で注文住宅を建てた40歳代夫婦が感じている後悔
ここからは、実際に注文住宅を建てた人の声を紹介します。
滋賀県に住む40歳代の夫婦は、2020年ごろに土地込み4800万円で注文住宅を建てました。
入居の時期が近い令和3年度調査(令和2年4月から令和3年3月に入居した世帯が対象)では、土地を購入した新築世帯の購入資金は全国平均で5112万円でした。
夫婦は「建てた当時はここまで金額が上がっていなかったので、あのとき建ててよかった」と話します。それでも、家の中身に後悔がないわけではないそうです。
3.1 土地選び:「交通の便がいい」の意味が、子どもの成長で変わった
土地を選んだ当時は、交通の便がいい場所だと考えていました。
ところが子どもの年齢が上がって行動範囲が広がると、習い事や塾への行き方、進路の選択肢といった、当時は想定していなかったことで悩む場面が増えたといいます。
国の調査でも「職場からの距離」や「交通の利便性」が不満の上位に入っており、立地は建てたあとに変えられない部分です。
3.2 玄関:靴や荷物が増えて、収納が足りない
夫婦の家は玄関が狭く、子どもの年齢が上がるにつれて靴や荷物が増え、収納が足りなくなったそうです。
入居したときには収まっていた量でも、家族の成長とともに物は増えていきます。
3.3 キッチン:細かく決めたはずのコンセントが足りない
コンセントの位置と数について、暮らしを想定して細かく決めたつもりでした。それでも足りず、とくにキッチンで不便を感じているそうです。
「時代が変われば家電も増える」と実感しているといいます。
3.4 ベランダ:ほとんど使っておらず、なくてもよかった
ベランダはほとんど使うことがなく、ゴミの日まで間があるのにゴミ箱がいっぱいになってしまったとき、一時的に置く場所として使うくらいになっています。
ランドリールームがあるので洗濯物を干す場所としては使っておらず、掃除の手間もかかるため、なくてもよかったと感じているそうです。
国の調査では、注文住宅を建てた世帯の不満の1位は「価格(予定より高くなった)」で、土地を購入した新築世帯の購入資金は平均7646万円まで上がっていました。
一方で夫婦の後悔は、立地や玄関の収納、コンセントといった、暮らし始めてから気づく点でした。これから建てる人は、住宅メーカーや工務店との打ち合わせの段階で、10年後の家族の暮らしを思い浮かべながら図面を確かめておくと安心です。
ここからは、夫婦の後悔をもとに、注文住宅の土地と間取りを決める前に見直したい点を整理します。