偶数月に振り込まれる年金の額を見て、ほかの人はどのくらい受け取っているのだろうと思ったことはないでしょうか。年金は2カ月分がまとめて入るため、1回の振込額で比べてしまう人も多いようです。

厚生労働省年金局の「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、国民年金の分を含めた厚生年金の平均年金月額は15万289円でした。2カ月分にすると、1回の振込で約30万円になる計算です。

この記事では、公的年金のしくみを押さえたうえで、厚生年金を月15万円以上受け取っている人がどのくらいいるのかを、受給額の分布から確認します。

年金の金額を比較するときは、単に多いか少ないかだけでなく、その数字がどのような条件で示されたものかも確認しましょう。平均額や年金額の例を参考にしつつ、ご自身の加入状況に目を向けることが、今後の暮らしを考える出発点になります。

また、後半ではiDeCoの加入条件の変化について解説しますので、具体的な備えの参考にしていただければと思います。

1. 公的年金は国民年金と厚生年金の「2階建て」

受給額の話に入る前に、公的年金のしくみを確認しておきましょう。日本の公的年金は、全員が入る国民年金を土台にして、会社員や公務員が入る厚生年金を上に重ねた形になっています。

この形から「2階建て」と呼ばれることが多いのです。

国民年金を1階、厚生年金を2階とする公的年金のしくみ1/3

国民年金(老齢基礎年金)の上に厚生年金(老齢厚生年金)が乗る公的年金の2階建て構造と、第1号から第3号までの被保険者の区分

出所:日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」を参考にLIMO編集部作成

1.1 1階部分の国民年金

  • 加入する人:日本に住む20歳以上60歳未満の人が原則として全員
  • 保険料:全員が同じ額で、年度ごとに改定(2026年度は月額1万7920円)
  • 年金額:保険料を40年(480カ月)納めると、65歳から満額の老齢基礎年金を受け取れる(2026年度の満額は月額7万608円※)。納めていない期間があると、その分だけ減る

※1956年(昭和31年)4月1日以前生まれの人は月額7万408円

1.2 2階部分の厚生年金

  • 加入する人:会社員や公務員など
  • 保険料:給与や賞与の額に保険料率をかけて決まる(上限あり)
  • 年金額:加入していた期間と、その間の給与や賞与の額で決まり、国民年金に上乗せして受け取る

国民年金の保険料は、加入する人みんなが同じ額です。これに対して厚生年金は、給与や賞与が多いほど保険料も年金額も多くなる「報酬比例」のしくみをとっています。

厚生労働省が示す2026年度の年金額の例では、平均的な収入(賞与を含む月額換算で45万5000円)で40年間働いた夫と、その配偶者の2人分で月23万7279円です。ただし、これは老齢厚生年金と2人分の満額の老齢基礎年金を合わせた例にすぎません。

実際の年金額は、どちらの制度に何年加入していたか、現役時代の収入がいくらだったかで、一人ひとり大きく違ってきます。

1.3 年金の支給日

公的年金は、原則として偶数月の15日に、前の月までの2カ月分がまとめて振り込まれます。15日が土日や祝日にあたるときは、その直前の平日です。

次の支給日は2026年12月15日で、10月分と11月分が振り込まれます。

2. 厚生年金を「月15万円以上」受け取る人は49.8%

では、平均の15万円を超えて受け取っている人は、どのくらいいるのでしょうか。先ほどの概況には、厚生年金の受給権者が年金月額ごとに何人いるかを示した表が載っています。

この表の年金月額には、国民年金(老齢基礎年金)の分も含まれます。数字は2024年度末時点のものです。

2.1 【男女計】厚生年金の受給額の分布

厚生年金の受給額は月10万円台の人が最も多い2/3

厚生年金(第1号)の年金月額階級別の老齢年金受給権者数を男女計で示した横棒グラフ。月15万円以上を濃い色で示している

出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

【男女計】平均年金月額:15万289円

  • 1万円未満:4万3399人
  • 1万円以上~2万円未満:1万4137人
  • 2万円以上~3万円未満:3万5397人
  • 3万円以上~4万円未満:6万8210人
  • 4万円以上~5万円未満:7万6692人
  • 5万円以上~6万円未満:10万8447人
  • 6万円以上~7万円未満:31万5106人
  • 7万円以上~8万円未満:57万8950人
  • 8万円以上~9万円未満:80万2179人
  • 9万円以上~10万円未満:101万1457人
  • 10万円以上~11万円未満:111万2828人
  • 11万円以上~12万円未満:107万1485人
  • 12万円以上~13万円未満:97万9155人
  • 13万円以上~14万円未満:92万3506人
  • 14万円以上~15万円未満:92万9264人
  • 15万円以上~16万円未満:96万5035人
  • 16万円以上~17万円未満:100万1322人
  • 17万円以上~18万円未満:103万1951人
  • 18万円以上~19万円未満:102万6888人
  • 19万円以上~20万円未満:96万2615人
  • 20万円以上~21万円未満:85万3591人
  • 21万円以上~22万円未満:70万4633人
  • 22万円以上~23万円未満:52万3958人
  • 23万円以上~24万円未満:35万4人
  • 24万円以上~25万円未満:23万211人
  • 25万円以上~26万円未満:15万796人
  • 26万円以上~27万円未満:9万4667人
  • 27万円以上~28万円未満:5万5083人
  • 28万円以上~29万円未満:3万289人
  • 29万円以上~30万円未満:1万5158人
  • 30万円以上:1万9283人

月15万円以上を受け取っている人は801万5484人で、受給権者全体の49.8%でした。平均の15万289円に届いている人は、半分に少し足りないことになります。

分布の幅も広く、月10万円未満の人が19.0%いる一方で、月20万円以上の人も18.8%います。平均額だけを見ていると、この幅は見えてきません。

2カ月ごとの振込額が30万円を超える人は、厚生年金を受け取っている人の半分ほどにとどまります。自分の見込額は、ねんきん定期便や「ねんきんネット」で確かめられます。

ここからは、同じ分布を男性と女性に分けて見たうえで、2026年12月に変わるiDeCoの加入条件を確認します。