3. 最低賃金で給与収入119万円に届くのは週何時間か(試算)
見方を変えて、給与収入が106万円と119万円に届く1週間の労働時間を、時給ごとに試算してみます。
3.1 全国加重平均の1177円なら週約19.4時間で119万円に届く
1年を52週として計算すると、時給1177円で給与収入119万円に届くのは週約19.4時間、106万円に届くのは週約17.3時間です。
答申の最低額1085円では、119万円に届くのは週約21.1時間、106万円は週約18.8時間になります。
給与収入106万円・119万円に届く1週間の労働時間(1年を52週として試算)2/2
出所:厚生労働省「全ての都道府県で地域別最低賃金の改定額が答申されました」、内閣官房「飲食料品消費税率の臨時的な引下げ及び就業者負担軽減支援金の導入に関する大綱(令和8年9月15日閣議決定)」を参考にLIMO編集部作成
- 令和7年度 全国で最も低い額(1023円):106万円は週約19.9時間、119万円は週約22.4時間
- 令和8年度 答申の最低額(1085円):106万円は週約18.8時間、119万円は週約21.1時間
- 令和8年度 答申の全国加重平均(1177円):106万円は週約17.3時間、119万円は週約19.4時間
- 令和8年度 答申の最高額(1280円):106万円は週約15.9時間、119万円は週約17.9時間
3.2 時給が上がれば、同じ時間働いたときの給与収入の位置も変わる
令和7年度の最低額1023円では、週20時間でちょうど106万円に届く計算でした。令和8年度の答申の最低額1085円では、週約18.8時間で106万円に届きます。
119万円は住民税所得割の非課税限度額から示された数字で、時給から換算したものではありません。一方で、自分がその数字のどちら側にいるかは、時給と働く時間の組み合わせで変わります。
4. 令和9年度の就業者負担軽減支援金は2026年の給与収入をもとに判定される
最低賃金の改定がどの年度の就業者負担軽減支援金に関わるかは、判定に使う所得の年で決まります。
4.1 支給要件の勤労所得は「前年の給与収入」から算定される
大綱は支給要件の1つとして、前年の給与収入に応じて算定した額などを合計した勤労所得が、所得下限額を超えることを挙げています。
令和9年度の支援金では、前年にあたる2026年の給与収入が判定のもとになります。
4.2 10月以降の最低賃金の引上げは2026年分の給与収入には一部しか入らない
改定後の最低賃金が発効するのは2026年10月1日以降です。2026年の給与収入に反映されるのは、発効日から12月までの分に限られます。
引上げ後の時給が1年を通して反映されるのは2027年の給与収入で、これは令和10年度の支援金の判定に使われる年です。
4.3 逓増開始額などは状況の変化に応じて改定するとされている
大綱は、支援額、逓増開始額、逓増終了額、逓減開始額について、社会の状況変化に速やかに対応するため、施行の状況を定期的に検証し、必要があると認めるときは改定するとしています。
最低賃金の改定がこうした額にどう反映されるかは、大綱には書かれていません。
5. 自分の給与収入の見込みは時給と源泉徴収票で確かめられる
支援金の額が決まっていなくても、自分の給与収入がどの辺りにあるかは今から確かめられます。
5.1 年の途中なら時給と労働時間から見込みを出せる
時給と1週間の労働時間が分かれば、52週を掛けて1年の給与収入の見込みを出せます。
10月以降に時給が上がる場合は、上がる前と後の期間を分けて計算すると、実際の金額に近づきます。
5.2 1年分の給与収入は源泉徴収票の「支払金額」で分かる
年が明けて勤務先から受け取る源泉徴収票の「支払金額」の欄が、その年の給与収入です。
支援金の判定に使われるのは前年の給与収入なので、源泉徴収票を保管しておくと、制度の詳細が決まったときに照らし合わせやすくなります。
6. まとめにかえて
令和8年度の地域別最低賃金は全国加重平均1177円で答申され、2026年10月1日から12月2日にかけて順次発効する予定です。
1年を52週として試算すると、週20時間働いた場合の給与収入は、答申の最低額1085円で112万8400円、全国加重平均1177円で122万4080円になります。
大綱に出てくる106万円や119万円は、支援金の額や対象の分かれ目を考えるための目安で、逓増開始額などの金額はまだ決まっていません。社会保険や税の扱いが自分にどう当てはまるかは、勤務先の担当部署や所轄の税務署に確認してみましょう。
参考資料
和田 直子