2026年10月から、都道府県ごとの地域別最低賃金が順次改定されます。令和8年度の答申では、全国加重平均が1177円となり、前年度の1121円から56円上がりました。
一方、9月15日に閣議決定された就業者負担軽減支援金の大綱には、給与収入106万円や119万円といった分かれ目の数字が出てきます。このうち106万円は、令和7年度の最低賃金をもとに換算した数字です。
この記事では、改定後の最低賃金で週20時間働いた場合の給与収入が、支援金の分かれ目の数字とどう重なるかを試算します。
なお、給付付き税額控除の基本的な仕組みについては、下記の記事より一部を引用・参照しています。
1. 【給付付き税額控除】就業者負担軽減支援金の支援額は勤労所得の水準で決め方が変わる
就業者負担軽減支援金の額は、勤労所得がどの水準にあるかによって決め方が変わります。まずは大綱の枠組みを確認しておきましょう。
1.1 逓増開始額までは定額、その先は一定の割合で増える
大綱は、勤労所得が逓増開始額以下の人には定額支援額を、逓増開始額を超えて逓増終了額に達するまでの人には支援額を一定の割合で逓増させ、その後は支援基本額とするとしています。
給付額の組み立て方は、親記事でも次のように説明されています。
たとえば、非課税層や低所得層には一定額の定額給付が行われる一方、就労する中低所得層では所得が上がるにつれて給付額が増える「逓増」や一定の加算を経て、総所得が一定額を超えると段階的に給付額が減り消失する設計が進められています。
出所:【2026年8月最新】給付付き税額控除とは?いつから・いくらもらえる?「給付一本化」への転換と今後のスケジュール
1.2 給与収入119万円は逓増開始額を定めるときの目安として示された
逓増開始額は、個人住民税所得割が課税される水準を踏まえて定める額とされています。注記には、単身者の個人住民税所得割の非課税限度額として「所得45万円(給与収入119万円)」が示されています。
逓増開始額そのものの金額は、まだ決まっていません。119万円は、額を定めるときの目安として書かれた数字です。
1.3 給与収入106万円は令和7年度の最低賃金で換算した数字
就業促進特例加算の範囲の下限にあたる「被用者保険の短時間労働者の適用ライン」について、大綱の注記は、令和7年度における全国で最も低い地域別最低賃金(時給1023円)に週20時間を乗じると、給与収入106万円(所得32万円)になると説明しています。
最低賃金が上がれば、同じ週20時間で得られる給与収入も変わります。
2. 2026年10月から改定される最低賃金は全国加重平均1177円で答申された
厚生労働省は、全ての都道府県で令和8年度の地域別最低賃金の改定額が答申されたと公表しました。
2.1 最低賃金の引上げ額は54円から65円、最高額1280円・最低額1085円
改定額の全国加重平均は1177円で、前年度の1121円から56円の引上げです。47都道府県で54円から65円の引上げが答申されました。
最高額は1280円、最低額は1085円です。最高額に対する最低額の比率は84.8%で、前年度の83.4%から上がっています。
2.2 改定後の最低賃金は10月1日から12月2日にかけて順次発効する予定
答申された改定額は、都道府県労働局での異議申出に関する手続を経たうえで、都道府県労働局長の決定により、2026年10月1日から12月2日までの間に順次発効する予定です。
発効日は都道府県によって異なるため、勤務地の都道府県労働局の案内で確かめられます。
時給ごとに週20時間働いた場合の年間の給与収入(1年を52週として試算)1/2
出所:厚生労働省「全ての都道府県で地域別最低賃金の改定額が答申されました」、内閣官房「飲食料品消費税率の臨時的な引下げ及び就業者負担軽減支援金の導入に関する大綱(令和8年9月15日閣議決定)」を参考にLIMO編集部作成
- 令和7年度 全国で最も低い地域別最低賃金(1023円):106万3920円
- 令和8年度 答申の最低額(1085円):112万8400円
- 令和8年度 答申の全国加重平均(1177円):122万4080円
- 令和8年度 答申の最高額(1280円):133万1200円
大綱の106万円と同じ計算になるよう1年を52週として試算すると、答申の最低額1085円では119万円を下回り、全国加重平均の1177円では上回ります。
逆に、週20時間で給与収入119万円に届く時給を計算すると、1時間あたり約1145円(119万円÷52週÷20時間)です。
時給が上がると、同じ時間働いても1年の給与収入の位置が変わります。支援金の額が決まるのはこれからなので、いまは時給と働く時間から自分の年収の見込みを一度出しておくと、続報を読むときの手がかりになります。

