4. 【高齢者の就業】非正規はで最も増えた年代は70〜74歳
ここからが本題です。同じ統計では、正規と非正規の人数を10年前と比べた数字も年齢の階級ごとに出ています。
そのうち、非正規の職員・従業員の人数と、10年前からの増え方は次のとおりでした。
4.1 非正規の職員・従業員の人数と10年前からの増え方
- 65〜69歳 213万人(10年前に比べ32万人増)
- 70〜74歳 142万人(同76万人増)
- 75歳以上 91万人(同71万人増)
いちばん人数が多いのは65〜69歳の213万人です。ところが増えた人数でみると、70〜74歳の76万人増が最も多く、次いで75歳以上の71万人増でした。65〜69歳は32万人増にとどまっています。
就業率の水準がいちばん高いのは65〜69歳の54.5%でした。ただ人数で見ると、この10年で伸びたのは70歳を過ぎてからの方でした。
4.2 正規の職員・従業員の人数と10年前からの増え方
- 65〜69歳 76万人(10年前に比べ15万人増)
- 70〜74歳 37万人(同16万人増)
- 75歳以上 27万人(同15万人増)
こちらは3つの階級とも15万人から16万人の増加で、ほとんど差がありません。10年で大きく動いたのは非正規のほうだった、と読めます。
年齢階級別・雇用形態別にみた10年間の増え方(2015年→2025年)2/2
出所:総務省統計局「統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで-」(統計トピックスNo.149)図9 をもとにLIMO編集部作成
全体でみると、この10年で正規は47万人、非正規は178万人増えています。
5. 日本の就業率26.0%は主要国のなかでも高いほうに位置する
ほかの国と並べるとどう見えるのかも確認しましょう。
主要国の65歳以上の就業率を10年前と比べると、各国とも上がっていました。上げ幅が大きいのは韓国の9.1ポイントで、日本は4.3ポイントで続きます。2025年の日本の就業率は26.0%で、主要国のなかでも高いほうに位置します。
集計のもとが国ごとに違うため、順位を細かく比べるというより、上がっているか下がっているかの向きを見る材料として読むのがよさそうです。
10年で4.3ポイント上がったということは、この10年のあいだに働く65歳以上が増え続けてきたということです。
上げ幅がいちばん大きかった韓国の9.1ポイントは、日本の2倍を超えます。各国とも上がっているという点は同じでも、動く速さには差があるということです。日本は水準が高いほうにありながら、なお上がり続けている国のひとつ、というところでしょう。
6. 自分の60歳代、70歳代のキャリアをどう考えるか
ここまでの数字は、いずれも全国を平らにならしたものです。ご自身やご家族のことを考えるときに次のような視点で考えてみるとよいでしょう。
まずは60歳代、70歳代も働くのであれば、年金にどう関わるかです。70歳未満で厚生年金に加入しながら働いている場合、賃金と年金の合計によって年金の一部が支給停止になる仕組みがあります。ご自身が当てはまるかどうかは、ねんきんネットや年金事務所で確かめられます。制度の内容や金額の決まり方は改正されることがあるので、いつ時点の話かを窓口で確かめておくと安心です。
また、年金を何歳から受け取るかという点も、仕事と関わってきますので、早くから年金の受け取りと働き方については確認をしましょう。仕事による収入が増えることで年金の受け取りを遅らせ、増額させる繰下げ受給もあります。ただしさまざまな注意点があるので、年金を何歳から受け取るかは事前にじっくり考えたいところです。
働き方として雇われて働く形を選ぶ場合には、その条件を確認しましょう。勤め先の社会保険に入るかどうかは、週の労働時間や勤め先の規模などで決まります。ここは会社ごとの取り扱いと法令の両方が関わるので事前に確認するとよいでしょう。
65歳以上の就業者のうち4人に1人は自営業主・家族従業者でしたが、雇われる以外の形も選択肢に入る場合、すでに個人で仕事をしている場合は確定申告や国民健康保険料の扱いなどを確認しておくと良いでしょう。
年金や条件、雇用形態など総合的に考え、自身の60歳代、70歳代の仕事を検討してみてください。
7. 編集部よりコメント
この統計は、同じ方を10年間追いかけた調査ではありません。2015年に70〜74歳だった方と、2025年に70〜74歳の方は別の方々です。
そのうえで、70〜74歳と75歳以上の増え方が65〜69歳を上回っているという点は特徴的ではあるでしょう。10年前に70歳を過ぎて非正規で働く方は、70〜74歳で66万人、75歳以上で20万人でした。いまはそれぞれ142万人と91万人です。
ただ、実際に自分は働くかは個人差があるもの。働くことを生きがいに感じている人もいますし、生活費や老後資金のために働く人もいるでしょう。自分の働き方と年金の受け取り方の最適解を考えて見てくださいね。
参考資料
- 総務省統計局「統計トピックスNo.149 統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで-」(令和8年9月20日)
- 総務省統計局「統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで-」(統計トピックスNo.149・PDF)
- 総務省統計局「労働力調査」
宮野 茉莉子
