
metamorworks/shutterstock.com
2. 人事の現場で痛感した「残業依存」の罠と、ミドル世代に求められる意識改革
人事として長く採用や労務管理を担当してきた中で、私が強く感じていたことがあります。それは、「ダラダラ残業」や「残業を前提とした業務フロー」がいかに現場の生産性と働く人のメンタルを蝕むかということです。
過去、私が採用面接を担当した際、40代・50代の求職者の方から「前の職場では残業が月50〜60時間が当たり前で、体が限界を迎えた」「上司が帰らないと帰りづらい雰囲気があった」という相談を幾度となく受けました。また、正社員だけでなくパート採用の現場でも、「社員がやり残した業務が夕方以降に降ってきて急な残業を頼まれる」といったトラブルが散見されました。
40代・50代は、職場では中堅・ベテランとして重宝される一方で、体力の衰えを感じ始めたり、親の介護や自身の健康管理などプライベートでの負担が増えたりする時期です。そのため、「残業時間で稼ぐ」というスタイルは長期的には持続可能ではありません。
今回のルール見直しを受けて企業側の管理が曖昧になりかけたとしても、働く側が「自分の身を守るための業務効率化」を徹底することがこれまで以上に重要になります。
3. 今すぐできる!40〜50代のための仕事の効率化と残業削減のポイント
では、私たちは現場でどのように業務効率化を図り、無駄な残業を防げばよいのでしょうか。人事の視点からおすすめする具体的なアクションは以下の3つです。
3.1 タスクの「見える化」と「優先順位」の厳格化
残業が多くなる人の特徴として、「頼まれた仕事を順番に処理している」ことが挙げられます。 業務を「緊急度」と「重要度」の2軸で分類し、「緊急かつ重要」な仕事から着手するのは鉄則ですが、ベテラン世代に意識してほしいのは「緊急ではないが重要な仕事(マニュアル化、仕組みづくり、改善業務)」に時間を割くことです。目先の緊急業務に追われていると、いつまで経っても業務効率は上がりません。毎朝5分、当日のタスクを書き出して優先順位を整理する習慣をつけましょう。
3.2 「前頭葉の疲労」を防ぐマイクロタイマー術と標準化
40代・50代になると、複数のタスクを並行してこなすマルチタスクによる疲労が溜まりやすくなります。集中力を保つために、25分作業して5分休憩するポモドーロ・テクニックなどを取り入れ、1つのタスクに集中する時間枠を作りましょう。また、繰り返し行う業務は「手順書(チェックリスト)」を作成し、迷う時間をゼロにすることが残業削減への近道です。手順書があれば、パートさんや後輩へ業務を依頼(デリゲーション)しやすくなり、自分自身の負担軽減にもつながります。
3.3 「NO」と言えるコミュニケーションと36協定の確認
残業を減らすためには、職場のコミュニケーションも不可欠です。キャパシティを超える仕事の依頼を受けた際は、単に断るのではなく「現在〇〇の案件に対応しているため、今週中の対応であればお引き受けできますが、どちらを優先しましょうか?」と、納期や優先順位の調整を上司に相談する姿勢が大切です。また、ご自身の会社の36協定や残業申請ルールを改めて確認し、サービス残業や曖昧な指示による残業が発生しないよう、勤務時間の記録を正確に残しておくことも自衛策となります。
4. 変化の時代に「長く健やかに働く」ために
2026年9月からの残業指導運用の見直しは、柔軟な働き方を可能にする反面、長時間労働の常態化というリスクもはらんでいます。
40代・50代の求職者・労働者の皆様にとって大切なのは、制度の変更に振り回されることなく、「限られた時間内で最大の成果を出す」スキルと意識を磨くことです。業務効率化によって自分の時間と健康を守りながら、持続可能な働き方を実現していきましょう。
参考資料
・調査リリース:残業「月45時間」見直し、会社員の3人に2人が賛成 4割弱は「もっと労働時間を減らしたい」 賛成理由1位は「繁忙期の柔軟な働き方」(2026年9月17日 配信)
柳 奈央子