2026年9月、労働基準監督署による「残業月45時間ルール」の指導運用が見直されました。「一律45時間」の指導基準から、36協定や労働者の健康状態を踏まえた総合的な判断へと移行したことで、世間では「残業の上限が撤廃されたのか?」「また昔のような長時間労働に逆戻りするのでは?」といった不安の声が上がっています。

特に40代・50代のベテラン世代にとって、労働時間の変更は体力面や家庭の介護・健康維持などに直結する切実な問題です。長年、人事・採用担当として正社員・パートを問わず多くの働く人と向き合ってきた筆者の経験を踏まえ、今回のルール変更の本質と、変化の激しい時代を乗り切るための業務効率化のポイントをお伝えします。

1. 「月45時間」運用の見直し、世間の受け止め方は?調査で判明したリアル

今回の運用見直しについて、世間ではどのように受け止められているのでしょうか。

株式会社スガワラくん(運営:脱・税理士スガワラくん)が全国の20歳以上60歳未満の会社員(正社員)男女480名を対象に実施した調査「残業ルール(月45時間)の運用見直しに関する意識調査」(脱・税理士スガワラくん 調べ)によると、運用見直しについて「賛成」「どちらかといえば賛成」と答えた人が合わせて65.4%(約3人に2人)に上りました。

賛成の理由として最も多かったのは「業務量が集中する時期に柔軟な働き方ができるため」(37.6%)、次いで「働く時間の選択肢が増え、収入を増やしやすくなるため」(35.7%)となっています。繁忙期の業務集中に対応したい現場の事情や、物価高の中で「働いた分だけしっかり稼ぎたい」というニーズが伺えます。

一方で、「反対」「どちらかといえば反対」と答えた人も34.6%存在します。反対理由の第1位は「会社側が『長時間労働の容認』と誤解して労務管理を緩める恐れがあるため」(38.0%)、第2位は「職場全体の残業時間が長期化・固定化する懸念があるため」(29.5%)でした。

人事の現場にいた私から見ても、この反対派の懸念は非常に共感できます。今回の見直しはあくまで労基署の「指導運用の柔軟化」であり、労働基準法における時間外労働の上限規制(原則月45時間・年360時間、特別条項があっても年720時間等)や36協定の法的枠組みが撤廃されたわけではありません。しかし、制度の解釈を誤り、「これからはもっと残業させていいんだ」と勘違いする経営者や管理職が出てくるリスクは否定できません。

柳 奈央子
同調査で現在の労働時間に対する意識を聞いたところ、「今くらいがちょうどよい」(48.5%)が半数を占めたものの、「もっと労働時間を減らしたい」が38.1%に達し、「もっと働きたい」(13.3%)を大きく上回りました。多くの労働者にとって、本音は「過度な残業は避けたい」というのが実情です。

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