2. 「貯金」だけ見ると景色が変わる? 貯蓄純増ランキング
次に、総合指数の内訳を分解し、「貯金・保険の増え方(貯蓄純増)」だけで見てみましょう。すると、また違った顔ぶれが見えてきます。
貯蓄純増ランキングをチェックしてみましょう2/3
出所:総務省統計局「家計調査」(家計収支編・第1-1表)、2023〜2025年の3年平均をもとにLIMO編集部作成
【貯蓄純増 TOP5】
- 1位 福井県(福井市):26万3229円
- 2位 埼玉県(さいたま市):24万8369円
- 3位 石川県(金沢市):24万2529円
- 4位 茨城県(水戸市):24万1984円
- 5位 富山県(富山市):22万354円
【貯蓄純増 ワースト5】
- 43位 山梨県(甲府市):13万8062円
- 44位 沖縄県(那覇市):13万7574円
- 45位 愛媛県(松山市):12万8584円
- 46位 鹿児島県(鹿児島市):12万1064円
- 47位 宮崎県(宮崎市):11万9962円
北陸や関東の県が上位を占める一方で、九州・沖縄・甲信エリアで伸び悩む傾向がはっきりと出ています。
3. 「借金」を減らせているのはどこか? 借金純減ランキング
反対に、「借金がどれだけ減ったか(借金純減)」だけに注目すると、総合ランキング上位とはまったく異なる県が浮上します。
借金純減ランキングをチェックしてみましょう3/3
出所:総務省統計局「家計調査」(家計収支編・第1-1表)、2023〜2025年の3年平均をもとにLIMO編集部作成
【借金純減 TOP5(=借金が一番減っている)】
- 1位 佐賀県(佐賀市):4万8910円
- 2位 鹿児島県(鹿児島市):3万9785円
- 3位 栃木県(宇都宮市):3万4179円
- 4位 山口県(山口市):3万3598円
- 5位 宮崎県(宮崎市):3万1682円
【借金純減 ワースト5(=借金がむしろ増えている)】
- 43位 埼玉県(さいたま市):-1万908円
- 44位 三重県(津市):-1万1852円
- 45位 広島県(広島市):-2万5067円
- 46位 奈良県(奈良市):-3万2226円
- 47位 石川県(金沢市):-3万9523円
ここで興味深いのは、貯蓄純増では上位だった「埼玉県」や「石川県」が、借金純減で見るとワースト側に転落している点です。
4. 家計には「攻め」と「守り」の2タイプがある
「貯金は増えているのに、借金も増えている」。一見すると矛盾しているようなこの結果から、家計のスタイルには大きく分けて2つのタイプがあることが見えてきます。
その特徴が最もわかりやすく表れているのが、石川県です。
貯蓄純増では全国3位(24万2529円)という高水準でありながら、借金純減は全国最下位(3万9523円)。借金がこれだけ増えているのに、なぜ総合ランキングでは上位(19位)に食い込めるのでしょうか?
これはおそらく、住宅購入などの大型ライフイベントが集中しており、新規のローン借入額が日々の返済額を上回っている状態だと考えられます。それでも、貯蓄の伸びが借金の増加分を吸収して余りあるため、トータルの「黒字化指数」はプラスを維持できているのです。
つまり、総合指数だけを見るとどれも同じ「家計の改善」に見えますが、内訳を読み解くと、各県には次のような2つの明確な違いがあることが分かります。
- 借りてでも大きく資産を増やす「攻めるタイプ」(福井・埼玉・石川など)
- 着実に借金を減らしていく「守るタイプ」(佐賀・鹿児島・栃木など)
公的調査結果もこのように数値を深く見ていくと、よりリアルな実情が見えてくることがわかります。
5. まとめ
「じわじわ黒字化」というひとつの指標の中には、「貯金を大きく積み上げる動き」と「着実に借金を減らしていく動き」という、性質の異なる2つのプロセスが隠れていました。
総合順位だけでなく、貯蓄と借金それぞれの内訳を見ることで、その地域に住む人たちのライフスタイルやお金に対する価値観が見えてきます。
あなたの県、そしてあなた自身の家計は、「攻め」と「守り」、どちらのタイプに近いでしょうか? ぜひ日々の家計簿を見直す際のヒントにしてみてください。
参考資料
三石 由佳