積立投資の効用が広く認識されるように

サラリーマン1万人アンケートに見る「投資に対する考え方の変化の兆し」』で投資をしている人の比率がじりじりと上昇していることをお伝えしました。その背景には相場観に頼らない積立投資の拡大があるように思われますが、投資をしない人の理由からも積立投資の広がりを感じさせるデータがあります。

毎年7割弱の方が「投資をしてない」と回答しています。その回答者にその理由を聞いていますが、2010年からの調査結果のトレンドをみると、最も大きく変わっているのが「まとまった資金がないから」という理由です。

2010年の調査では、約半数の48.4%の方がこの理由を挙げていました。ダントツの第1位でした。しかし、この数値は大きく低下して2015年以降は20%台になっています。「投資はまとまった資金がなくてもできる」という認識が広まっているからだと思われ、積立投資の効用が広く認識されてきているようです。

実際に、2014年に始まった少額投資非課税制度(NISA)は、その前年において行われた金融機関の大規模なキャンペーンもあって、「少額での投資」に対する認知度を上げるきっかけになりました。さらに2017年の個人型確定拠出年金(iDeCo)の適用範囲の拡大、2018年のつみたてNISAのスタートなど、積立投資を促進する制度設計が相次いで登場したことが大きな力になっているのでしょう。

新しい投資家の台頭か

ただ、少し気になり始めているのが、「何をしていいのか分からない」という回答がじりじりと上昇していることです。積立投資という言葉が広まってきたことで、ちょっと投資をしてみようと思っても、NISA、iDeCoといった制度が「手続きや対象商品の選定などが難しくて、簡単に始められない」ということであれば何かしら対策を考える時期に来ているのかもしれません。

アンケートの数値では「まとまった資金がないから」が28.7%で、「何をしていいかわからない」が27.4%と接近していることを改めて承知しておくべきでしょう。手続きの簡素化などが求められるところです。

投資をしていない人の投資をしない理由の変化 (単位:%)

注:各年の調査で投資をしていないと回答した人が対象。アンケート調査では8つの選択肢を提示したが、ここでは上位4つのみを表示。
出所:フィデリティ退職・投資教育研究所、サラリーマン1万人アンケート(2010年、2013年、2015年、2016年、2018年、2019年)と勤労者3万人アンケート(2014年)

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合同会社フィンウェル研究所代表 野尻 哲史