2. 「世帯」は住民票の世帯ではない

合算の条件を押さえても、誰と足せるのかを取り違えると計算が合いません。同居しているかどうかが基準ではないためです。

世帯の範囲は、LIMOの記事「高額療養費の世帯合算は同居家族なら使える?実際は住民票の世帯ではなく同一の医療保険加入者が基準になる。70歳未満は2万1000円以上の自己負担のみ合算できる仕組みを解説」から要点を借りて確認します。

2.1 基準は同じ医療保険に入っているかどうか

まず定義です。

厚生労働省の資料によると、「自己負担額の合算は、同一の医療保険に加入する家族を単位として行われます(医療保険における『世帯』は、いわゆる一般のイメージの『世帯』(住民基本台帳上の世帯)の範囲とは異なります)」とされています。

出所:LIMO「高額療養費の世帯合算は同居家族なら使える?実際は住民票の世帯ではなく同一の医療保険加入者が基準になる。70歳未満は2万1000円以上の自己負担のみ合算できる仕組みを解説」

同記事は、同じ家に住む家族の医療費なら世帯合算できるはずと考えていると、実は対象外だったということがあると指摘しています。会社員の夫と、別の会社に勤めて自身の健康保険に加入している妻とでは、世帯合算の対象になりません。

2.2 離れて暮らしていても合算できることがある

逆の向きもあります。

同記事によると、離れて暮らしていても、同じ健康保険の被扶養者になっている家族どうしであれば、合算の対象になります。

距離ではなく、加入している保険が同じかどうかで決まる、という整理です。合算できるかどうかは、住所ではなく保険証を基準に考える必要があるとしています。

2.3 足せるのは同じ暦月の分だけ

期間の区切りにも条件があります。

同記事によると、合算できるのは同じ月、つまり暦月の自己負担に限られます。月をまたいだ受診分を合計することはできません。

今月と来月にまたがって高額な医療費がかかったから合算できるはずと考えていると、実際には月ごとに別々に計算され、それぞれの月で限度額を超えなければ支給の対象にならないことがあるとしています。長期の治療を予定している場合は、月ごとの負担額を意識しておくとよいという説明です。

2.4 70歳以上と70歳未満が混ざると3段階になる

年齢がまざる世帯には手順があります。

同記事によると、70歳以上の人どうしの計算だけでも2段階の手順が必要で、そこに70歳未満の分をあわせる段階を加えた、合計3段階の仕組みになっています。

まず70歳以上の外来分を個人ごとに計算し、次にその70歳以上の入院分とあわせて70歳以上の世帯単位で計算します。最後に、それでも残った自己負担額と70歳未満の人(2万1000円以上の分)をあわせて、世帯全体の限度額で再度計算します。

出所:LIMO「高額療養費の世帯合算は同居家族なら使える?実際は住民票の世帯ではなく同一の医療保険加入者が基準になる。70歳未満は2万1000円以上の自己負担のみ合算できる仕組みを解説」

2.5 自分で計算しにくいときは保険者に聞く

実務上の勧めも書かれています。

同記事は、この3段階の計算は自分で正確に行うのが難しい場合があるとしています。特に三世代同居や、親の医療費を子が支援しているようなケースでは、加入している保険者に直接問い合わせて、実際に合算できる金額を確認するのが確実だという整理です。

無理に自己流で計算しようとせず、早めに相談することをすすめています。

3. 合算の条件と、合算できる相手を分けて確かめる

ここまで、高額療養費の合算の条件と、合算できる相手の範囲を見てきました。

条件の側は、医療機関ごと、医科入院・医科外来・歯科入院・歯科外来ごとに計算し、調剤分は処方元に足します。70歳未満は1つの医療機関につき2万1000円以上のものだけが合算対象で、70歳以上はすべて合算できます。食事代や差額ベッド代は対象外です。長期高額疾病には限度額1万円(一部2万円)の別枠があり、払い戻しを待つ間には支給見込額の8割を無利子で借りられる貸付制度もあります。令和8年8月には月額上限の見直しと年間上限の新設、令和9年8月には所得区分の細分化が予定されています。

相手の側は、住民基本台帳上の世帯ではなく、同一の医療保険に加入している家族が単位です。共働きで保険が別なら合算できず、離れて暮らしていても被扶養者なら合算できます。足せるのは同じ暦月の分だけで、70歳以上と70歳未満が混ざる場合は3段階の計算になります。

家族の保険証の発行元をそろえて確かめるところからになります。合算の可否とご自身の限度額は、加入している健康保険組合・協会けんぽ支部、または市区町村の国民健康保険の窓口にご確認ください。

参考資料

LIMO編集部社会保障解説班