3. 備えのための制度がある

大家側の不安に対応するため、国は制度を整えてきました。使える制度と相談先を並べておきます。

改正法の施行で、制度の顔ぶれも数も変わっています2/2

セーフティネット登録住宅・居住サポート住宅・居住支援法人・居住支援協議会・終身建物賃貸借の内容と実績を並べた一覧表

出所:国土交通省「住宅セーフティネット制度の推進について」をもとにLIMO編集部作成

3.1 入居を拒まない住宅と、支援する法人

住宅確保要配慮者向けの登録住宅制度があり、登録戸数は96万737戸です。支援を担う居住支援法人は1167法人で、令和6年3月末の851法人から2年で316法人増えました。

令和7年10月1日に施行された改正住宅セーフティネット法では、居住サポート住宅の認定制度が新たに設けられました。安否確認や見守りとセットで住まいを提供する仕組みですが、認定戸数は令和8年6月15日現在で303戸にとどまります。

3.2 死亡時に契約が終わる賃貸借もある

都道府県知事等の認可を受けた事業者による「終身建物賃貸借」という仕組みもあります。借家人が生きている限り契約が続き、死亡した時に終了するもので、60歳以上が対象です。

相続で契約が引き継がれないため、大家側の不安を和らげる効果があります。改正法では、住宅ごとの認可から事業者の認可へと手続きが簡素化されました。

高齢になってから部屋探しを始めると、選択肢が狭まっていることに気づく場合があります。住み替えを考えるなら、体力や判断力に余裕があるうちに動くほうが選べる幅は広くなります。

4. 「老後2000万円」という目安が前提にしているもの

この試算が何を示しているのかを確認しておきましょう。LIMOの記事「独身×賃貸で老後を迎えるとどうなる?家賃負担の実額と「貸してもらえるか」の壁」から要点を引用します。

「老後資金2000万円」のような一般的な目安は、住居費が低く抑えられた前提で作られていることが多く、賃貸を続ける独身の方はその前提から外れているという事実です。

出所:LIMO「独身×賃貸で老後を迎えるとどうなる?家賃負担の実額と「貸してもらえるか」の壁」

よく見る目安の数字は、住居費が持ち家前提で組まれていることが少なくありません。賃貸を続けるなら、その分を上乗せして考える必要があります。

5. 相談できる窓口を先に知っておく

住まいの確保について相談できる窓口があります。市区町村の居住支援協議会と、都道府県が指定する居住支援法人です。

居住支援協議会は令和8年3月末時点で184協議会あり、47都道府県と149市区町村に設けられています。改正法が公布された令和6年3月末は138協議会だったので、2年で46協議会増えました。

ただし人口カバー率は39%にとどまっており、住んでいる自治体にない場合もあります。

制度の対象条件は自治体や事業者によって違います。物件探しや契約の不安について、早めに問い合わせておくと選択肢を把握できます。

6. いま計算し直しておくこと

まず、いま住んでいる地域の家賃相場を調べてください。全国平均ではなく、老後も住み続けたい地域と広さの家賃で計算し直すことが出発点になります。

そのうえで、老後資金の見積もりの住居費欄を書き換えます。持ち家前提の数字が入っていれば、そこが最も大きなずれになります。

金融機関やファイナンシャルプランナーに相談するときも、住居費が持ち家前提になっていないかを最初に確認しておくと安心です。

7. 【まとめ】平均の住居費を使うと、月4万8240円ずれる

家計調査の住居費1万1416円は、65歳以上の単身世帯の67.5%を占める持ち家世帯を含んだ平均です。借家の家賃の全国平均5万9656円との差は月4万8240円になります。

老後全体では、男性で約1139万円、女性で約1419万円の上乗せです。一般的な老後資金の目安は、この分を織り込んでいないことがあります。

金額とは別に、高齢の単身者は契約の入口で断られることもあります。居住支援協議会や居住支援法人という相談先を、早めに知っておきましょう。

参考資料

LIMO編集部貯蓄解説班