2. 今の受給水準を押さえておく

繰り上げるかどうかを考える前に、65歳から受け取る場合の水準を知っておく必要があります。LIMOの記事「【2026年最新】60歳~89歳の年金一覧表!年代別の平均受給額と「手取り・非課税世帯」のリアル!年金口座の「凍結リスク」とは?」から要点を引用します。

2026年度においては、国民年金(基礎年金)が前年度比で1.9%、厚生年金(報酬比例部分)が2.0%の増額となりました。この新しい改定率は、2026年6月に支給される4月・5月分から反映されます。

2026年度における国民年金・厚生年金の支給額例

  • 国民年金(老齢基礎年金・満額・1人分)(※1):月額7万608円
  • 厚生年金(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む)(※2):月額23万7279円

※1:昭和31年4月1日以前に生まれた方の老齢基礎年金(満額)は月額7万408円(前年度比+1300円)です。
※2:厚生年金のモデルケースは、平均的な収入(平均標準報酬45万5000円)を得ていた夫が40年間就業し、その配偶者が国民年金を満額受給する場合の世帯の給付水準(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金)です。

出所:LIMO「【2026年最新】60歳~89歳の年金一覧表!年代別の平均受給額と「手取り・非課税世帯」のリアル!年金口座の「凍結リスク」とは?」

国民年金の満額7万608円を60歳から受け取ると、24%減の約5万3662円になります。この額が生涯続くという前提で判断することになります。

3. 繰上げを考える前に確認したいこと

繰上げが選択肢になるのは、60歳代前半に収入の見込みが立たない場合です。生活が立ち行かないまま無理を続けるより、受け取り始めるほうがよいこともあります。

ただし判断の前に確かめておきたいことが3つあります。ひとつは雇用保険の給付を受けられないか。もうひとつは納付月数が480月に届いているか。そして寡婦年金の対象になる可能性がないかです。

いずれも繰上げ請求をすると影響が出ます。年金事務所で自分のケースを確認してから決めても遅くはありません。

4. まとめにかえて

繰上げ受給の減額率は1か月あたり0.4%で、60歳から受け取ると24%減になります。累計額で65歳受給に追い越されるのは80歳10か月です。

この分岐点は、何歳で繰り上げても「繰り上げた年齢の20年10か月後」で一致し、年金額の大小にも左右されません。

請求すると取り消せず、任意加入や追納もできなくなります。まずはねんきん定期便で納付月数を確かめ、年金事務所に相談してから判断しましょう。

参考資料

LIMO編集部年金解説班