2026年度の地域別最低賃金について、全47都道府県の改定額が答申され、10月以降に順次発効する予定です。
最低賃金の引き上げは、毎月の収入や扶養の範囲での働き方にどう影響するのでしょうか。
本記事では、全国加重平均額と主な地域の答申額をもとに年収の変化を試算し、あわせて撤廃が決まっている社会保険の賃金要件についても確認します。
1. 【試算】時給56円の上昇で、年2080時間働く場合は11万6480円増に
まずは金額から確認します。厚生労働省がまとめた答申状況によると、改定後の地域別最低賃金の全国加重平均額は1177円です。改定前は1121円でしたので、56円の引き上げになります。
1.1 時給56円を1年分に直すと
週40時間、年52週で働いた場合、年間の労働時間は2080時間です。この前提で計算すると、年単位では以下のように賃金が増えます。
- 改定前:1121円 × 2080時間 = 233万1680円
- 改定後:1177円 × 2080時間 = 244万8160円
※改定前後の全国加重平均額をそれぞれ時給と仮定した試算です。賞与や各種手当、税・社会保険料は考慮していません。また、改定後の時給が1年間続く場合の比較であり、2026年中に増える収入を示すものではありません。
差は11万6480円。時給で見れば56円ですが、1年分に直すと10万円を超えます。
月160時間の勤務であれば、年間1920時間なので10万7520円の増加です。働く時間が長い人ほど、引き上げの効果は大きくなります。
なお、増えた分がそのまま手元に残るわけではありません。社会保険料や税が差し引かれるため、手取りの増え方はこれより小さくなります。
1.2 引き上げ額は都道府県で違う
56円というのは全国を加重平均した数字で、実際の引き上げ額は地域によって変わります。答申された引き上げ額は54円から65円の幅がありました。
- 最も大きい:佐賀県 65円
- 最も小さい:東京都・神奈川県・大阪府 54円
引き上げ額が最も大きいのは佐賀県の65円で、1030円から1095円になる答申です。一方、最も小さいのは東京都・神奈川県・大阪府の54円で、東京都は1226円から1280円となる見込みです。
年収に直すと、佐賀県は13万5200円の増加、東京都は11万2320円の増加です。同じフルタイムで働いても、増える金額に2万2880円の差が出ます。
佐賀県や鹿児島県など、改定前の最低賃金が低い地域で比較的大きな引き上げが答申されています。
1.3 発効日は10月1日だけではない
もうひとつ見落とされやすいのが、発効日です。全国一斉ではありません。
答申段階では10月中の発効を予定している都道府県が多いようですが、一部は11月・12月を予定しています。
発効予定日は変更される可能性があるため、勤務先の事業場がある都道府県の労働局で、決定後の金額と発効日を確認してください。
2. 【最低賃金で試算】東京都と宮崎県では年収換算で40万5600円の差
引き上げ額だけでなく、金額そのものの差も見ておきます。ここには地域間の開きがはっきり出ます。
※いずれも答申された最低賃金で年間2080時間働くと仮定した額であり、各地域の実際の平均年収を示すものではありません。
2.1 時給の差は195円
改定後の最高額と最低額は次のとおりです。
- 最高額:東京都 1280円
- 最低額:宮崎県 1085円
差は195円です。神奈川県が1279円、大阪府が1231円と続きます。低いほうは宮崎県のほか、高知県と沖縄県が1086円で並びます。
先ほどと同じ年2080時間で計算すると、東京都は266万2400円、宮崎県は225万6800円。年収にして40万5600円の開きになります。
2.2 差は縮まる方向に動いている
もっとも、この差は固定されているわけではありません。
改定前の最高額と最低額を見ると、東京都1226円に対して高知県・宮崎県・沖縄県が1023円で、差は203円でした。今回の改定で195円になり、8円縮まっています。
引き上げ額の大きい県が下位に集中しているためです。佐賀県の65円を筆頭に、鹿児島県64円、高知県と沖縄県が63円、宮崎県62円と続きます。1年でどうにかなる差ではありませんが、今回の答申額で比較すると、方向としては縮小しています。
