3. 統計の言葉と生活実感のずれ

なぜこのずれが生まれるのかを確認しておきましょう。LIMOの記事「独身の老後資金、持ち家あり世帯でも家計調査の住居費に映らない固定資産税と修繕費、空き家化のリスクを確認する」から要点を引用します。

統計の「住居」という言葉と、生活者が思う「住まいにかかるお金」は、実は範囲が違います。固定資産税は「住居」費目ではなく、税金として別の「非消費支出」に分類されています。

出所:LIMO「独身の老後資金、持ち家あり世帯でも家計調査の住居費に映らない固定資産税と修繕費、空き家化のリスクを確認する」

収支項目分類で並べると、どこに線が引かれているのかがはっきりします。

住居費から外れているのは税金のほうです2/2

家計調査の収支項目分類で住居に含まれる項目と非消費支出に分類される固定資産税を並べた一覧表

出所:総務省統計局「家計調査 収支項目分類一覧(2025年1月改定)」をもとにLIMO編集部作成

家賃地代から火災・地震保険料までが「住居」に収まり、固定資産税だけが非消費支出として別枠になっています。

統計は費目の定義に沿って分類しているだけで、間違っているわけではありません。読む側が範囲を把握しておく必要があるということです。

4. 空き家になると固定資産税が上がる

持ち家にはもうひとつ、将来のリスクがあります。住まなくなって空き家になった場合の話です。

固定資産税には住宅用地の軽減措置がありますが、空き家の状態によってはこの措置が外れることがあります。外れれば税額は跳ね上がります。

4.1 外れるのは勧告を受けたとき

対象になるのは、空家等対策の推進に関する特別措置法にもとづいて市区町村長から勧告を受けた特定空家等と管理不全空家等の敷地です。放置しているだけで自動的に外れるわけではなく、指導を受けても改善されない場合に勧告へ進みます。

相続する人がいるかどうか、住まなくなったあとどうするかは、元気なうちに決めておきたいところです。単身であればなおさら、早めに考えておく価値があります。

5. いま確認しておくとよいもの

老後の住まいの費用を正しく見積もるには、家計調査の平均ではなく自分の数字を使うことです。手元で確認できるものが3つあります。

ひとつは固定資産税の納税通知書です。年額がそのまま書かれています。もうひとつは火災保険の契約内容で、保険料と補償の範囲を見ておきます。

3つ目が修繕の見通しです。マンションなら管理組合が保管している長期修繕計画、戸建てなら建築士やリフォーム会社に点検を依頼して、工事の時期と概算を把握してください。

6. 【まとめ】平均ではなく自分の数字で見積もる

65歳以上の単身無職世帯の住居費は月1万1416円ですが、この数字に固定資産税と大きな修繕費は含まれていません。固定資産税は非消費支出に分類され、住居費の外側にあります。

修繕費の公的な目安があるのはマンションだけで、1平方メートルあたり月335円が平均です。戸建てには同じ目安がなく、自分で計画を立てる必要があります。

納税通知書・火災保険の契約内容・修繕の見通しの3つを確かめれば、平均値より確かな見積もりが立ちます。

参考資料

LIMO編集部貯蓄解説班