iDeCoは自分で掛金を出す制度です。ただし、勤め先が上乗せして出してくれる仕組みがあることは、あまり知られていません。
iDeCo+(イデコプラス)という制度で、正式には中小事業主掛金納付制度といいます。使えるのは一定の条件を満たす会社に限られます。
この記事では、iDeCo公式サイトの資料をもとに、この制度の中身を確認します。
1. 【iDeCo】会社が掛金を上乗せしてくれる制度がある
iDeCo+は、企業年金を実施していない中小企業の事業主が、従業員のiDeCoの掛金に上乗せして掛金を拠出する制度です。
1.1 使えるのは従業員300人以下の会社
iDeCo公式サイトによると、実施できるのは企業型確定拠出年金、確定給付企業年金および厚生年金基金を実施していない、従業員が300人以下の中小企業の事業主です。
ここでいう従業員とは、公的年金の厚生年金被保険者である従業員のことです。複数の事業所を経営している場合は、すべての事業所の従業員の合計が300人以下である必要があります。
企業年金がある会社は対象外です。退職金や企業年金の仕組みを持たない中小企業のための制度として設計されています。
1.2 掛金の合計は月2万3000円まで
加入者掛金と事業主掛金の合計額が、月5000円以上2万3000円以下の範囲になります。加入者と事業主がそれぞれ1000円単位で決められます。
この上限は、企業年金等に加入していない第2号加入者の拠出限度額と同じです。自分の枠のなかに会社の分が入ってくる、という形になります。
なお、加入者掛金を0円とすることはできません。一方で、事業主掛金が加入者掛金を上回ることは可能です。
1.3 入っていない人に強制はできない
対象になるのは、iDeCoに加入している従業員のうち、事業主掛金を上乗せして拠出されることに同意した人です。
iDeCoに加入していない従業員に対して、iDeCoへの加入を強制したり、事業主掛金のみを拠出したりすることはできません。あくまで従業員が自分で加入していることが前提になります。
2. 導入には労使の合意が要る
会社が決めればすぐ始まる制度ではありません。手順が定められています。
2.1 過半数代表者との協議と合意
実施および実施内容等について、厚生年金保険の被保険者の過半数を代表する者に提案し、協議を行います。労働組合がある場合はその労働組合が相手になります。
そのうえで、過半数を代表する者の同意を得る必要があります。労使合意の後、拠出対象者に事業主掛金の額などを通知し、上乗せして拠出することについて同意を得ます。
2.2 掛金の額は原則全員同額
事業主掛金の額は、基本的に拠出対象者全員が同額となるように決定します。ただし一定の資格を設けて、該当する従業員のみに上乗せすることも可能です。
その資格として認められるのは、勤続期間、職種、労働協約または就業規則その他これらに準ずるものにおける給与および退職金等の労働条件が異なるなど合理的な理由がある場合に区分する資格に限られます。
税制上は、加入者掛金が小規模企業共済等掛金控除の対象になり、事業主掛金は全額を事業主の損金に算入できます。控除処理は事業主が行うため、加入者本人の手続きは不要です。
退職金制度がない企業の割合については、下記の記事より一部を引用・参照しています。
