家計簿をつけない妻に悩むSさん
Sさんは有名IT企業で勤務する多忙なサラリーマン。給料はこづかいを除いてすべて妻に渡していました。月々10万円の貯金をすることになっていましたが、「2000万円問題」を機に確認してみたところ貯金がほとんどないことが発覚したのです。
「妻が家計簿をつけていないので、お金がどこに消えたのかわからない。2人目の子どもが欲しいと思っていたが、不安になってしまった」とSさんは言います。
一方、Sさんの妻は、「やりくりは苦手だけれども、夫が忙しいため家計を管理することになりました。ワンオペ育児がつらく、保育園の送り迎えにタクシーを使ったり、デパ地下の惣菜(そうざい)や外食で夕飯を済ませたりすることも多かった」と話します。
お金の管理がプレッシャーになり、ストレス発散のために高額な買い物をしてしまいがちなことも貯金ができない理由になっていました。
お互いに「相手が貯金をしている」と思っていたAさん夫婦
夫婦のコミュニケーション不足が貯金のできない原因になるケースもみられます。
Aさん夫婦は共働きで子どもはいません。財布も別々で、「家賃や光熱費は夫、食費や日用品は妻」と分けて管理していました。ところが、家族共通の貯金については、あまり話をしていませんでした。「お互いに余ったお金を貯金しているだろうと思っていた」とAさん。
夫婦の財布を別々に管理する一番のメリットは「自由さ」でしょう。その反面、「生活費以外の部分は自分が自由に使えるお金だ」と考えがちなので、「あるだけ使ってしまう」という事態になりやすいのです。
また、家計に不透明な部分が出やすく、「相手がお金を何に使っているのか聞きにくい」「無駄遣いしているのではないか」といった不安や不満を抱えやすい点も軽視できません。「相手がお金を自由に使っているなら、自分だけ節約するなんて割に合わない」と思ってしまうこともあるでしょう。
お金が自由に使えないMさん
「妻がしっかり家計を管理してくれるのはありがたいが、こづかいが少なすぎて欲しい物も自由に買えない」とこぼすのはMさんです。「子ども用品はすぐに使えなくなるのだからレンタルやお下がりでいいだろう、と言っても妻は聞く耳を持ちません。自分たちの老後に備える貯蓄なんて当分考えられない」と話します。
「子どものための出費は削りたくない」と考える女性は多く、そのしわよせが夫のこづかいに及んでしまいがちです。
一方、妻が妊娠や出産で働けなくなることで家計トラブルが起こる場合も。「財布が別々の生活に慣れた夫が生活費を入れてくれない」といった理由で離婚に至る夫婦は決して珍しくありません。収入が減っても一度上がった生活レベルを下げるのは難しく、見栄やプライドが邪魔をして赤字がふくらんでしまうケースもみられます。
上手な家計管理のポイントは夫婦のコミュニケーション
夫婦のどちらかがお金に関する不満を抱えていると、家計の赤字や借金問題、離婚話などに発展するリスクが高まります。家計のトラブルを防いで貯蓄を増やしていくポイントは、家計全体を「見える化」したうえで夫婦が協力して管理していくことにあるでしょう。
「忙しいから」「面倒だから」といった理由で、どちらか一方に管理を丸投げしてしまうのはリスキーです。
ライフステージによってもベストな家計管理の方法は変わってくるため、普段からこまめに夫婦のコミュニケーションを取って計画的に貯蓄をしていきましょう。
【参考】
『「家計」に関するアンケート調査』明治安田生命
【ご参考】貯蓄とは
総務省の「家計調査報告」[貯蓄・負債編]によると、貯蓄とは、ゆうちょ銀行、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(旧郵政公社)、銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金、生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式、債券、投資信託、金銭信託などの有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価、債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と、社内預金、勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいいます。
LIMO編集部