損切りをすると、その時点で損が確定したと思うのですが、それは短期的に見ているからです。今日明日、1週間、1カ月で見るとお金が減ったので「損しちゃったな」と思います。でも、その後で違う銘柄を買って投資を続けていれば、「あの時の損は含み損だったんだな」と考えることもできるのです。

含み損なら、株価が上がれば損は解消されますし、場合によってはプラスに転じます。銘柄が変わったから損をしたということではなくて、まるでリレーのバトンを渡すように投資資金を次に移行させていると考えれば、損切りは「損」ではなくなるというわけです。

この考えの根底には、長期的な視野が不可欠です。数年、数十年単位で投資を考えていくことで、ずっとつながっているとわかってくるからです。これはもはや投資というよりも運用に近い考えだと筆者は感じています。

投資信託を利用するのも手

長期的視点で考える場合、自分で銘柄を探すのもいいとは思うのですが、筆者が現在メインで行っているのは投資信託の積立投資です。もちろん「つみたてNISA」を利用しています。

投資信託は自分で個別の銘柄を選ぶことがなくプロが銘柄を選定して運用してくれるのは言うまでもありませんが、やはりリスク回避という意味では多数の銘柄をまとめられるのはすごい効果だと感じます。

これは筆者自身が痛感していることでもありますが、個人では持てる銘柄数は少なくなり、その分1つの銘柄の動きが大きく影響するのは否めません。(もちろん資金があればたくさん持てますが)その点投資信託ならリスク分散が可能なので、極端な経済ショックがなければ大きな下落になることもほぼありませんでした。

大切なのは投資を続けること

損切りを本当の損にするかどうかは、損切りをした時点で投資をやめるかどうか、この1点に尽きると思います。これまで書いてきたように、損切りをした後で投資をやめてしまえば、そこで損は確定してしまいます。大切なのは損切りをした後でも次の個別銘柄、あるいは投資信託を買って投資を続けること。

長い目で見たときに、投資が1本の線のようにつながっていればいいのです。そう考えると、そもそも「損切り」という概念もなくなってきて、もっと投資に対してポジティブになれるのではないでしょうか。

川崎 さちえ