新NISAの「成長投資枠」は年間240万円まで使える大きな枠ですが、「つみたて投資枠と何が違うのか分からない」「240万円も何に使えばいいのか見当がつかない」と感じているシニアの方も多いのではないでしょうか。
成長投資枠は一括投資をするための枠だと思われがちですが、必ずしもそうする必要はありません。
この記事では、シニア世代が成長投資枠とどう付き合っていくとよいか、いくつかのアイデアを紹介します。特定の商品を推奨するものではなく、選択肢を広げるための考え方として参考にしていただければと思います。
- 成長投資枠でも積立のように少しずつ買い付けるやり方があり、一括投資にこだわる必要はない
- 毎月分配型の投資信託は対象外だが、隔月や年数回分配の投資信託・株式配当・REITなどは購入できる
- 年間240万円の枠を無理に埋める必要はなく、分配金や配当金は確約されたものではない点にも注意が必要
1. 成長投資枠は、つみたて投資枠にはない商品にも投資できる枠
まず、成長投資枠がどのような枠なのかを整理します。
新NISAには「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2種類があり、併用が可能です。つみたて投資枠は年間120万円まで、金融庁が長期・積立・分散投資に適していると認めた投資信託・ETFのみが対象です。これに対して成長投資枠は年間240万円まで使うことができ、上場株式やREIT(不動産投資信託)、つみたて投資枠の対象になっていない投資信託など、より幅広い商品に投資できるのが特徴です。
つみたて投資枠と成長投資枠の違い1/2
出所:金融庁「NISAを知る」をもとにLIMO編集部作成
ただし、成長投資枠でも投資できない商品があります。金融庁の公表資料によると、上場株式のうち整理銘柄・監理銘柄(上場廃止の可能性がある銘柄)、信託期間が20年未満の投資信託、毎月分配型の投資信託、そして高レバレッジ型など一定のデリバティブ取引を用いた投資信託は、成長投資枠の対象から除外されています。
生涯にわたる非課税保有限度額は1800万円ですが、このうち成長投資枠で使えるのは1200万円までという上限も設けられています。
2. 一括投資にこだわらず、積立の延長として使うという考え方
「成長投資枠」という名前から、まとまった資金を一度に投じる枠だというイメージを持つ方もいるかもしれません。
しかし、成長投資枠だからといって、必ず一括で投資しなければならないわけではありません。多くの金融機関では、成長投資枠でも毎月・毎週など定期的に買い付ける積立設定が可能です。これまでつみたて投資枠でコツコツ積立を続けてきた方が、その延長として成長投資枠でも同じような感覚で買い増していくという使い方も十分に考えられます。
退職金などまとまった資金が手元にある場合でも、一度に全額を投じるのではなく、時期を分けて少しずつ買い付けていくことで、購入するタイミングによる値動きの影響を分散させるという考え方もあります。どのペースで投資するかは、ご自身の資金の性格やリスクへの向き合い方次第です。
3. つみたて投資枠にはない商品を、興味本位でのぞいてみる
成長投資枠のメリットの一つは、つみたて投資枠では選べない商品にも目を向けられることです。個別の上場株式に投資して、応援したい企業や馴染みのある企業の株主になってみる、あるいは複数の商品を組み合わせて分散投資を試してみるなど、選択肢は広がります。すぐに投資する・しないは別として、どのような商品があるのか一度眺めてみると、新しい発見があるかもしれません。
その中の一つの選択肢として、REIT(不動産投資信託)があります。REITは、投資家から集めた資金でオフィスビルや商業施設、物流施設などの不動産に投資し、その賃料収入などを原資とした分配金を投資家に還元する仕組みの金融商品です。
J-REIT(日本の上場REIT)は、利益の90%超を投資家に分配するなど一定の要件を満たすことで法人税が実質的に軽減される仕組みになっているため、株式などと比べて分配金の利回りが高めになりやすいという特徴があります。「利回りが高い」と聞くと魅力的に感じるかもしれませんが、不動産市況や金利動向によって価格が変動するリスクがある点は、他の投資商品と同様に理解しておく必要があります。
興味のある方は、まず値動きの大きさや、保有している不動産の種類(オフィス系か住宅系か物流系かなど)を確認するところから始めてみるとよいと思います。
