お盆の帰省などをきっかけに、75歳を過ぎた親の暮らしぶりや医療費の心配について、あらためて話を聞いたという方も多いのではないでしょうか。
総務省「家計調査」(2025年)によると、世帯主が75歳以上の夫婦のみ無職世帯では、1カ月の実収入25万2798円に対して実支出は28万23円。平均して毎月2万7225円の赤字が生じています。
年金だけでは足りない分を貯蓄で補う生活が前提になっている一方で、2025年9月末に静かに終了した医療費の負担軽減策があることは、意外と知られていません。
本記事では、75歳以降の生活費と年金額の実態を確認したうえで、後期高齢者医療制度の負担割合の見直しと、高額療養費制度の中でも見落とされやすい「多数回該当」の仕組みまで整理します。
※本記事は一部「【75歳以上】夫婦の生活費・年金の実態!後期高齢者医療制度の負担割合と高額療養費制度の活用法」を引用のもと執筆しています。
-
75歳以上夫婦のみ無職世帯は実収入25万2798円に対し実支出28万23円で、月2万7225円の赤字となっている。
-
後期高齢者の2割負担を和らげてきた「配慮措置」は2025年9月末で終了し、すでに本来の負担額に移行している。
-
高額療養費制度には「多数回該当」があり、直近12カ月で4回目以降は自己負担の上限額がさらに下がる仕組みがある。
1. 75歳以上夫婦の生活費は月2万7225円の赤字――実収入25万円に対し実支出28万円
総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2025年(令和7年)平均結果の概要」によると、世帯主が75歳以上の夫婦のみ無職世帯の1カ月あたりの実収入は25万2798円。そのうち年金を中心とした社会保障給付が21万1289円を占めています。
一方で実支出は28万23円(消費支出24万8460円、税金や社会保険料などの非消費支出3万1563円)。収支の差はマイナス2万7225円、黒字率はマイナス12.3%となっています。
消費支出の内訳を見ると、食料が8万33円と最も大きく、次いで光熱・水道が2万4312円、保健医療が1万7213円、住居が1万6257円という順になっています。
- 実収入:25万2798円(うち社会保障給付21万1289円)
- 実支出:28万23円(消費支出24万8460円+非消費支出3万1563円)
- 収支:2万7225円の赤字(黒字率マイナス12.3%)
- 消費支出の内訳(主なもの):食料8万33円/光熱・水道2万4312円/保健医療1万7213円/住居1万6257円
2. 厚生年金・国民年金は年齢が上がるとどう変わる?90歳以上まで5歳刻みで確認
厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」から、年齢階級別の平均年金月額(令和6年度末時点)を見てみましょう。
厚生年金(国民年金部分を含む)は、75〜79歳で15万1377円、80〜84歳で15万7689円、85〜89歳で16万5486円と、年齢が上がるほど平均額が高くなる傾向があります。90歳以上では16万4027円と、85〜89歳よりわずかに下がります。
国民年金のみの受給者では、75〜79歳5万9346円、80〜84歳5万8454円、85〜89歳5万9066円、90歳以上5万5633円と、年齢による差は厚生年金ほど大きくありません。
- 厚生年金(国民年金部分含む)75〜79歳15万1377円/80〜84歳15万7689円/85〜89歳16万5486円/90歳以上16万4027円
- 国民年金:75〜79歳5万9346円/80〜84歳5万8454円/85〜89歳5万9066円/90歳以上5万5633円
3. 筆者からのコメント
公的年金の平均額は、あくまで全国の受給者をならした数字です。
現役時代の年収や加入期間、単身か夫婦かによって、実際に受け取れる金額は大きく変わります。
日本年金機構が提供する「ねんきんネット」では、これまでの加入記録から将来の年金見込額を確認できるほか、マイナポータルと連携させれば、家族分の年金額をそれぞれ個別に確認することも可能です。
夫婦の場合は、一方の年金額だけで生活費を見積もってしまうと実際の家計とズレが生じやすいため、二人分の年金額を合算した数字で老後の収支を考えることが大切です。
まだ利用したことがない方は、75歳を待たずに一度、ご自身やご家族の年金額を具体的な数字で把握しておくことをおすすめします。
平均額との比較だけでなく、自分の数字を知ることが、老後の生活費を考える出発点になります。

