片倉工業、上期は大幅な増益 ビジネスモデル転換と収益改善及びコクーンシティ再開発計画の策定を急ぐ

2019年8月20日に行われた、片倉工業株式会社2019年12月期第2四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。IR資料

スピーカー:片倉工業株式会社 代表取締役社長 上甲亮祐 氏

1.トピックス

上甲亮祐氏:社長の上甲でございます。よろしくお願いいたします。それでは最初に、決算の説明に先立ちまして、主要なトピックスを3点お伝えいたします。

1つ目は2019年12月期第2四半期の決算の結果でございますが、2019年8月7日のリリースのとおり、2019年12月期上期は当初予想に比べ営業利益でプラス9億円、経常利益でプラス10億円となり、大幅に上振れいたしました。

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売上高は、繊維事業での実用衣料の不振や機能性繊維の需要減等もありましたが、医薬品事業と機械関連事業が想定より伸長し、ほぼ当初の予想どおりとなりました。

一方、各段階利益は、不動産事業が好調に推移したことや修繕費等の下期への期ずれに加え、機械関連事業と医薬品事業で採算性が改善されたことにより、当初予想を上回っています。詳細については後ほどご説明します。

2つ目は通期の業績予想でございますが、こちらも2019年8月7日リリースの決算短信のなかで、当初予想に比べ営業利益でプラス2億円となる上方修正をしています。

売上高は、医薬品事業において想定より伸長することが見込まれますが、繊維事業での実用衣料の不振や機能性繊維の需要減、機械関連事業で一部出荷が2020年12月期にずれ込む見込みであることから、売上につきましては当初予想より2億円下回る予想でございます。

一方、各段階利益は、繊維事業での減収による減益を見込んでおりますが、不動産事業が好調に推移することに加え、医薬品事業の伸長や機械関連事業の採算性改善もあり、当初予想を上回る見込みとなりました。こちらについても後ほど詳細をご説明いたします。

3つ目は構造改革の進捗でございますが、2019年2月の決算説明会でもご説明したとおり、対象となる繊維(実用衣料)・医薬品・機械関連の3事業について専任のチームを設置し、集中的な(見直しを)取り組んでいます。すでに一部事業において採算性改善が実現しておりますが、抜本的な改革に目処をつけるべく、現在追い込みを図っているところです。

連結損益計算書

続いて、2019年12月期上期累計(2019年1月から6月)の決算概要についてご説明いたします。

2019年12月期上期累計の決算ですが、売上高は242億500万円、営業利益は20億5,800万円、経常利益は25億4,800万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は13億9,200万円となりました。

2018年12月期上期累計(2018年1月から6月)との比較を申し上げます。売上高はほぼ変わらないものの、営業利益は大幅な増益となりました。特別利益は、保有意義が乏しいと判断した政策保有株式の段階的売却を実施したことから、2億円ほど増加いたしました。

また、特別損失が大きく増加していますが、こちらは2019年2月のリリースのとおり、当社社員のグループ外へのキャリア転進を支援する目的で、選択定年優遇制度を拡充した結果になります。こちらに対して63名が応募した結果、割増退職金として特別損失を約5億円計上いたしています。最終利益につきましては、特別損益は悪化したものの、営業利益段階での増益により4億円程度の増益となりました。

冒頭で触れましたように、予想との差異では、売上高はほぼ予想どおりとなるも、利益は当初予想を上回っているということでございます。

連結損益計算書/セグメント別実績

次に、セグメント別の売上高・営業利益の増減についてご説明いたします。2018年12月期第2四半期累計との比較でございますが(スライド下側中央にある黒枠部分の丸で囲った数字の順にご説明します)。

まず、①の「繊維で減収も利益前期並み」ですが、繊維事業では減収となるものの、営業利益はほぼ変わりません。2018年12月期上期に撤退した補整下着事業による減収や、機能性繊維において世界的な半導体の需要減による減収があったことに加え、実用衣料につきましては天候不順による売上不振の影響もあり、繊維事業全体では減収となっています。一方、利益につきましては、労務費や物流費等のコスト削減を行ったことで、最終的には2018年12月期上期並みにとどめることができました。

続いて、②の「医薬品で減収も増益」ですが、医薬品事業につきましては減収増益となりました。これは、2018年4月の薬価改定の影響もあり、2019年1月から3月の売上は落ち込んだものの、2018年6月に発売した新製品をはじめとした利益率の高い製品が伸張し、結果として増益となったからです。

次に、③の「機械関連で増収・増益」ですが、機械関連事業については、ODA海外向けのスポット受注に加え、高粗利の電力向け受注があったため、増収増益となりました。

また、④の「不動産で増収・増益」ですが、不動産事業につきましては主要物件が順調に推移したことに加え、償却費等の減少により増収増益となりました。

最後に、⑤の「その他で減収も増益」ですが、その他の事業につきましては2018年に撤退したホームセンター事業・化粧品事業・デイサービス直営事業の影響を受け、減収となりました。しかしながら、不採算事業がなくなったことにより、赤字幅そのものは縮小となっています。

次に予想との差異について(スライドの右下に項目がありますが、黒枠部分の丸で囲った数字の順にご説明します)。

まず、①の「繊維で減収も増益」ですが、繊維事業では減収となるも増益となりました。機能性繊維では半導体の需要減により減収となりましたが、コスト削減により利益そのものはキープしています。実用衣料につきましては、天候不順による不振もございましたが、先ほど申し上げた物流費等のコスト削減により、全体としては若干の増益となっています。

次に、②の医薬品事業では、先ほど申し上げたように、2018年6月に発売した新製品などの影響もございまして、利益率が高い商品が売れたことにより増収増益となりました。

また、③の「機械関連で増収・増益」ですが、機械関連事業につきましては、消防自動車で想定よりも採算性が改善し、増収増益となりました

最後に、④の「不動産で増収・増益」ですが、不動産事業につきましては、増収に加えて修繕費の一部の2019年12月期下期への期ずれ等もございましたので、増益となりました。

連結貸借対照表

続いて、連結貸借対照表についてご説明いたします。

2019年12月期上期での「負債・総資産合計」は1,324億7,300万円となり、2018年12月期上期より58億1,500万円の減少となりました。これはおもに、消防自動車が1月から3月に出荷されますので、2018年12月と比べるとこちらの在庫が減少し、それに対応する仕入債務や借入金の減少があったからです。

連結キャッシュフロー計算書

連結キャッシュ・フローの実績についてご説明いたします。「現金及び現金同等物の期末残高」は44億5,400万円となり、2018年12月期上期よりおよそ26億円減少しています。

「営業活動によるキャッシュ・フロー」は、税前利益である22億円に加えまして、減価償却である15億円を主な内訳として、トータルで31億400万円の収入となっています。

「投資活動によるキャッシュ・フロー」につきましては、有形固定資産の取得を主な内訳としており、16億5,200万円の支出となりました。

「財務活動によるキャッシュ・フロー」につきましては40億8,900万円の支出となりました。内訳としては、短期借入金をネットで26億円返済、長期借入金を7億円返済、配当金の支払いが4億円です。

連結損益計算書/通期予想

2019年の通期業績予想としては、売上高は439億円、営業利益は22億円、経常利益は28億円、親会社株主に帰属する当期純利益は17億円を見込んでいます。冒頭に申し上げたとおり、2019年12月期上期実績と現時点での2019年12月期下期の見通しを踏まえ、売上高は当初予想から2億円の減収となるも、各利益段階では2億円の増益となるという修正予想をリリースしています。

2019年12月期上期との比較では減収増益となる予想をしていますが、セグメント別の売上・営業利益につきましては次のスライドでご説明します。

また、2018年12月期の特別損失でございますが、上期は社有未利用地4ヶ所の売却実績を計上した一方、上期の補整下着事業、下期のホームセンター・化粧品・デイサービス直営事業からの撤退による事業撤退損失、不動産事業での設備入替などによる固定資産処分損を計上していました。

先ほど申し上げたとおり、2019年12月期は上期に政策保有株の売却益と割増退職金を計上しています。下期においても、政策保有株式の見直しによる一部投資有価証券の売却を検討しています。

連結損益計算書/セグメント別予想

それでは、セグメント別の増減についてご説明いたします。

まず、2018年12月期上期と2019年12月期上期との増減でございます。スライド下側中央にある黒枠部分の項目のうち、①・③・④につきましては、先ほどご説明したとおり、2019年12月期上期と同様のトレンドとなり、こちらについてはスライドに記載したとおりです。

また、②の「医薬品で増収・増益」ですが、医療品事業では2019年10月の消費税増税に伴う薬価改定による落ち込みを見込んでおりましたが、適応追加となった「ビソノテープ」や、2018年6月発売の新製品をはじめとした利益率の高い製品が伸長していますので、増収増益と考えています。

次に、スライドの右下の黒枠部分にある当初予想との差異についてご説明します。

まず、①の「繊維で減収・減益」ですが、繊維事業では上期は減収となるも若干の増益となりましたが、通期では減収減益を見込んでいます。

機能性繊維につきましては半導体の需要減を織り込んで、引き続き減収と考えております。利益に関しては上期ではコスト削減により利益をキープしていましたが、通期では減益という見立てをしています。実用衣料では、物流費等のコスト削減を実施いたしましたが、夏場の天候不順による不振が響いているため、減収減益となる見込みです。

次に、②の「医薬品で増収・増益」ですが、医薬品事業につきましては、上期同様に増収増益を見込んでいます。

また、③の「機械関連で減収も好転」ですが、機械関連では消防自動車で一部納期が2020年12月期にずれ込んだ結果、減収とはなりますが、採算性そのものが改善していますので、利益好転を見込んでいます。

最後に、④の「不動産で増益」ですが、不動産事業につきましては各種費用の削減により、トータルでは増益とは見ています。

(参考)セグメント別 上期・下期比較

ここで1点、補足説明をします。これまでご説明したとおり、上期の営業利益は当初予想よりおよそ9億円上ぶれしていまして、通期では当初予想比2億円の増益を見込んでいます。スライドに掲載したとおり、上期はすでに約20億円の利益を計上していますので、下期につきましては1億円ほどの利益にとどまることになります。

セグメント別にご説明すると、医薬品事業は、2019年10月の消費税増税に伴う薬価改定による影響を見込んでいます。機械関連事業につきましては、消防自動車の出荷には季節性がございまして、売上が1月から3月に集中する傾向がございます。したがって、例年どおりだと下期は売上が落ち込む傾向にあります。

また、不動産事業につきましては、一部下期への費用の期ずれを見込んでいます。これらの理由に加えまして、下期につきましては構造改革を断行していきますので、現時点では下期の見通しについては厳しく見通しを立てており、ほぼ前期並みの数値だと見ております。こちらにつきましては、何卒ご理解をいただけるよう、お願い申し上げたいと思います。

設備投資額・減価償却費・研究開発費予想

続きまして、設備投資額・減価償却費・研究開発費の予想についてご説明いたします。

設備投資額の合計は30億8,000万円の見込みとなり、機能性繊維において製造工場の耐震補強工事を実施いたしますので、当初予想を若干上回っています。減価償却費の合計は31億2,000万円の見込みとなり、当初予想どおりでございます。研究開発費の合計は22億8,000万円の見込みとなり、医薬品事業で新製品の自社開発および共同開発品目の増加による若干の増額を見込んでいます。

(1) 構造改革の取り組み

続きまして、2017年度を初年度とする中計「カタクラ2021」の進捗状況についてご説明いたします。5年間の中期経営計画も、当期でちょうど折り返し地点を越えたところです。

2019年2月の決算説明会でご説明したとおり、構造改革につきましては当初予定を1年間延長して、2019年度についても重点課題として取り組むこととしました。これは、一部事業の撤退などにより一定の効果はありましたが、とくに実用衣料・医薬品・機械関連の3事業につきましては、未だ安定した収益基盤の確立に至っていないという判断をしたからです。

構造改革の方針としましては、ビジネスモデル転換とさらなる収益改善に取り組むこと、2020年度で黒字化が見込めない事業につきましては、2019年度中に事業規模の大幅縮小または撤退を検討することを掲げています。

その基盤となる体制整備としましては、ガバナンス体制の強化、リスク管理体制の強化に取り組むとともに、生産性の向上により、迅速な意思決定や従業員の働き方改革にも取り組んでいます。また、保有意義が乏しいと判断した政策保有株式の売却も継続して取り組んでまいります。

(2)構造改革対象3事業の取り組み

構造改革の対象としている3事業の、具体的な取り組みについてご説明いたします。

医薬品事業につきましては、国による医療費抑制策や消費増税による薬価改定の影響等により、想定より厳しい事業環境下にあると認識しています。そのようななかで、後発品拡充による売上確保として、2018年6月に2成分3品目を上市いたしました。

また、アウトライセンスによる売上拡大として、「ビソノテープ」の中国における開発・販売に関する基本枠組契約を締結いたしました。こちらの本格的な損益影響については2020年度以降になる予定と考えています。

加えて、インライセンスや承継等による商品ラインナップの拡充にも取り組んでいます。薬価改定のマイナスを補う売上・利益の確保と、インライセンス・アウトライセンスを活用した研究開発費の効率的支出に継続して取り組んでおります。

繊維事業におきましては、とくに実用衣料品分野の不採算となっている取引先を抽出して、そのなかで採算改善が可能なのか、そうではないのかを非常に厳しく精査し、そのうち約2割の取引先については改善が不可能である可能性が高いという判断をして、取引解消に取り組んでいます。さらに採算性改善の難しい商品カテゴリーであるシルクのNB・ケアコットンNBといった一部の商品カテゴリーからの撤退も検討しております。

物流拠点につきましても、統合を検討しております。こちらは香川と加須に物流拠点がありますが、国内自社物流拠点の統合を含めた物流費の削減の検討をしております。事業規模を縮小しつつ、とくに好調である量販PB・介護といった拡大領域に経営資源をシフトし、集中するという考え方で取り組んでいる最中でございます。

また、機械関連事業ですが、これは大半が消防車となります。(当社のグループ企業である)日本機械工業では、国内の大手メーカーから生産管理のエキスパート2名を中途採用いたしました。この2名を専務取締役と常務取締役として選任し、それぞれ生産から営業に至るまで担当させています。

彼らの陣頭指揮のもと、入札から納車までの情報を一元管理して、採算性を重視した製販連携体制の構築に取り組んでいます。加えて、各生産工程を見える化し、先行生産によるアイドル工数の低減や工程管理による外注・材料費を削減することで、早期の採算改善に取り組んでまいりたいと思います。

また、受託加工・環境機器・農業用機械の売上ボリュームは大きくありませんが、苦戦しております。売上規模の縮小を前提とした事業再構築や、更なる経費節減に取り組むことで、安定した収益構造への転換を図ってまいりたいと思います。

(3)成長分野の取り組み

次に、成長分野の取り組みについてご説明いたします。不動産事業につきましては、2019年3月1日に組織再編を実施し、従来運営と開発に分かれていた組織を一体化し、その中心をさいたま新都心のコクーンシティに集約しております。

中核事業であるさいたま新都心駅前社有地開発につきましては、エリア全体を対象に第三期開発計画を検討していますが、こちらにつきましては当初予定の2021年中計の最終年度より前倒しでプランを確定して、みなさんにお示しできるようにしたいと考えています。

また、繊維事業における機能性繊維につきましては、耐震工事などを含めた製造工場のインフラ整備をするとともに、現在、新たな高機能素材の開発と耐熱性繊維の用途開発を進めております。

また、ライフソリューション事業につきましては、グループ内における商品・サービスの市場競争力や、交配専用みつばちなどの農業関連製品や高付加価値野菜の食品、植物とペットの専門店などの独自性の高い事業をライフソリューション事業部として集約いたしました。今後につきましては、業務提携やM&Aなど外部リソースの活用も含めた事業拡大を図ってまいりたいと考えています。

なお、これは2019年8月16日に実施しておりますが、2015年に事業化した前広便座販売事業につきましては、さらなる普及拡大のため、販売当初から製造・アフターメンテナンスを依頼していた企業に事業譲渡をしております。

(参考)さいたま新都心まちづくり

皆様には以前からご覧いただいておりますが、こちらのスライドの航空写真はさいたま新都心社有地周辺の航空写真でございます。

最近では大型マンション・公共インフラなどがさらに整備されており、駅側や反対側の施設とも相まって、多様な機能の集積が継続して行われております。

当社がコクーンシティとして運営している社有地14万7,000平米は、航空写真では黄色の枠で囲った部分になりますが、先ほど申し上げたように、エリア全体を対象に最適なものの設置や何をしていくかについて、現在検討しているところです。

(参考) 業績の推移と2017-2018取り組み

こちらのスライドでは参考として、業績の推移について掲載しています。2019年2月にすでにご説明済みの部分となりますが、2017年から2018年にかけて構造改革として取り組んできた結果についても記載しています。

株主還元

最後に、株主還元についてご説明いたします。

当社は、株主の皆様への利益還元を経営上重要な政策の1つとして位置づけています。利益の配分につきましては、安定配当の実施を基本とし、業績や今後の事業展開、内部留保の水準及び配当性向等を総合的に勘案のうえ、配当を実施することとしています。

2018年12月期の配当につきましては1株につき12円の期末配当としています。2019年12月期につきましても、安定配当の実施を基本として、1株につき12円の配当を予定しています。

以上が私の説明でございます。ご清聴ありがとうございました。

記事提供:ログミーファイナンス

参考記事

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