2019年8月23日に行われた、インヴィンシブル投資法人2019年6月期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。IR資料

スピーカー:コンソナント・インベストメント・マネジメント株式会社(資産運用会社) 取締役会長 市來直人 氏

エグゼクティブ・サマリー

市來直人氏:本日は足元の悪い中、お越しいただきまして、誠にありがとうございます。さっそくではございますが、説明をさせていただきます。まず、エグゼクティブ・サマリーです。

最初に、(2019年)2月22日の前期の決算発表から本日までの大きな変化に関して、お話ししたいと思います。直近における成果を歴史順にご紹介しますと、まず5月にケイマンの保有方式を直接保有にして、匿名組合出資を完全に取りやめました。これにより、導管性要件に対する疑念は完全に払拭されました。

6月には、住居2物件を売却いたしました。これにより、111億円の大きな売却益を計上しました。399億円で売却して、その4分の1以上が利益という大きな売却益を達成しています。そして、この売却代金も使って7月に増資を行い、新たに18物件を取得しています。以上が2月から今日までの直近における大きな変化です。

続きまして、マーケットの状況についてです。インヴィンシブルのポートフォリオは、とくに来年は東京オリンピック・パラリンピックの需要を取り込める戦略的な位置にあります。私どもは、オリンピック後の2021年以降も引き続きインバウンドは需要を拡大していくと思っており、それを取り込んでいける立地・施設を実現していると考えています。供給面では、日本のホテルの供給数が本年でピークアウトすると、外部の資料等から思っています。

2019年6月期の実績に関して、ここでは新規に取得した18物件を含んだかたちでポートフォリオ全体の数字を提示しています。今後のインヴィンシブルの姿ということになります。もちろん、取得前の情報に関してもAppendixに出していますので、そちらをご参照いただければと思います。

平準化ベースとは、「1月1日から全部持っていたとする」という仮定によるものですが、海外を含めたポートフォリオ全体の平準化NOIベースで、前年同期比で1.8パーセントの成長となりました。ホテルのポートフォリオに関しましては、ホテルの代表的な指数であるRevPARで、前年同期比で5.4パーセントの増加です。

2019年6月期の配当は1,656円で、前年同期の1,430円に対して15.8パーセント上回るかたちになります。

下半期を含めた2019年通年の見通しも、18物件を含めた全体でお話しします。海外を含めたポートフォリオ全体の平準化ベースNOIは、前年比で1.4パーセントの成長を見込んでいます。

ホテルに関しましては、海外を含めて、RevPARベースで前年比で2.8パーセントの増加を見込んでいます。年間DPUは3,381円で、前年の3,113円に対して8.6パーセントの成長を見込んでいます。

最後に、2月22日に発表しました「Vision 2022」およびケイマンの増築の構想に関して、進捗を申し上げます。「Vision 2022」の目標に対しては、2019年単年で45.7パーセントの進捗を見込んでいます。2022年のDPU3,700円という目標達成に向けて、順調な滑り出しといえると考えています。

ケイマンに関しましては、アネックス棟の増築の構想を2月にお話ししましたが、その後、建築事務所・設計事務所・オペレーターと、建築計画・収支予測の詳細を検討を行っています。直近時点における計画案では、投資額が概算で約150億円。それに対して、15~20パーセント程度のNOI利回りが見込まれています。

なお、本計画の検討の過程で明らかになったのですが、増築後の宿泊客が増え、500以上の部屋数になることと、足元の顧客満足度を考えて、増築棟に先駆けて、料飲エリアの3店舗の拡張・改装を行います。先行して実施する投資額約3億7,000万円に対して、投資利回りは30パーセント近い高い利回りの投資だと考えています。

1口当たり分配金(DPU)の推移

続きまして、配当の成長に関してご説明させていただきます。先ほど申しましたように、2019年は対前年8.6パーセントの増加を見込んでいます。7年連続でのDPUの成長を見込んでいます。

J-REITにおけるDPU成長率比較

この成長率を、他のREITと比較して説明させていただきます。(スライドの)左側の棒グラフは、インヴィンシブルがホテルに投資を始めた2014年から2018年の4年間の実績をアクチュアルベースで比べたものです。

インヴィンシブルのDPUの平均成長率は24.3パーセント。インヴィンシブルはホテル系REITには入っていませんので、インヴィンシブル以外のホスピタリティのホテル系REITさんが13.5パーセント。上場REIT平均値として、数字が整合性があるかたちで取れる、比較可能な36銘柄に関しましては5.4パーセント。

次に、(スライドの)右側のグラフにまいりまして、2019年の予想を含む直近2年間の比較をいたしますと、インヴィンシブルが9.3パーセント、ホテル系REITは0.6パーセント、上場REIT平均値が2.9パーセントと、ベンチマークを大きく上回る成長をインヴィンシブルは遂げてきています。

資産入替えの概要

次に、6月に実施いたしました資産の入替えに関して、ご説明させていただきます。(スライドの)左側にあります2物件、「スペーシア恵比寿」「ロイヤルパークスタワー南千住」を合計399億円で売却いたしました。

ここで特筆させていただきたいのは、(スライドの)左側の写真の右横の棒グラフをご覧いただくと、それぞれ取得前の1年間、譲渡前の直前1年間で比べていますが、NOIが「スペーシア恵比寿」で15.7パーセント、「ロイヤルパークスタワー南千住」に関しましては12.2パーセント(増加しています)。

これは、いろいろなコストの削減、果敢な賃料の引き上げ、PMの変更などにより、AMとしての本業である内部成長をしっかり実現したことで、株主のみなさまにとって好条件の売却を実現できたと考えています。

(スライドの)中央下部の青色の枠内にありますように、この売却益111億円は、一口当たりの内部留保として換算しますと1,823円の増加です。この内部留保を活用して、2020年から2027年までの7年間の年間DPUは、3,400円以上はいけるだろうと見込んでいます。

なお、売却代わり金399億円も使い、増資・借入により826億4,600万円、18物件のホテルを取得しています。売却した物件のNOI利回りが3.9パーセントであったのに対し、取得物件の利回りは5.8パーセント。償却後のベースでは、売却した物件の利回りが2.2パーセント、取得物件は4.2パーセントとなり、株主価値向上に向けた取り組みが実行できたと考えています。

2019年7月取得物件サマリー

それでは、7月に新しく取得した18物件の中身をご覧ください。(スライドの表の)上の3つ、「ホテルマイステイズ札幌アスペン」「アートホテル石垣島」「ホテルマイステイズ富士山 展望温泉」が全体の約42パーセントです。全般的に、いわゆる「プライム・ツーリズム・エリア」で、今後のインバウンド需要増による成長が見込める物件を中心に取得しています。

外部成長の実績

この18物件を含めた外部成長の実績をご説明いたします。過去7年間で、ホテルと住居を中心とした安定成長により、全国に広がる非常に高度に分散されたポートフォリオの構築ができたと考えています。

結果として、現時点でインヴィンシブルは、(スライドの)右側の棒グラフに示していますように、ホテルだけに限定した資産規模として4,343億7,300万円となりました。全84棟、客室数では1万4,665室になり、上場REITすべての中で、ホテルを保有するREITとしては最大の規模になりました。

2019年7月取得物件の所在地

続きまして、今回取得した18物件がどんなところにある物件か、どんなタイプかということをお示ししています。地図上で場所がわかるように出しています。色に関しては、(スライドの)左上に凡例がございますが、青色が宿泊特化型で8ホテル、緑色がリゾートタイプで3ホテル、オレンジ色がフルサービス型で7ホテルになっています。

水色の楕円は、いままで取得していた物件を含めて、現時点でインヴィンシブルが所有するホテルが所在する都道府県を示しています。なかなか全国制覇までは遠いです。

ホテルポートフォリオの推移

これら18物件の取得により、インヴィンシブルの所有しているホテルの構成がどう変わったのか、ご説明いたします。(スライドの)中央の2018年12月31日時点と、その右の2019年8月22日時点を見ていただくと、前回の2月の発表との違いがおわかりいただけると思います。

まず、タイプに関しては、フルサービス型とリゾートタイプを増やしています。後ほどデータが出てきますが、訪日外国人の旅行消費額が増加してきています。これにより、もちろん宿泊特化型も、ADR(平均客室単価)や占有率が向上するというメリットはありますが、フルサービス型・リゾートタイプ、さらにそれ以外の消費も取り込んでいけるということで、メリットを追求していけると考えています。

(スライドの)下の3つの円グラフが示す地域別のポートフォリオに関しては、現時点でも42パーセントは東京を含む首都圏です。非常に競争が激しい関西に関しては、約10パーセント近かったものを8パーセントと、全体の比率としては減らしています。なお、今回取得した18物件に関西の物件は含まれていません。

国内需要とインバウンドが両方期待できる北海道をとくに増やしており、同じような意味で、九州でも資産規模を拡大してきています。

国内ホテル物件の所在地図(2019年8月22日現在)

結果として、私どものホテルがどんな場所にあるかというのをご覧ください。全体のポートフォリオです。

(スライドの)左上のオレンジの棒グラフは、訪日外国人の延べ宿泊者数の上位10都道府県を示しています。東京・大阪・北海道・京都という順番になりますが、実に80パーセント以上が、この上位10都道府県に立地しています。

ここまでが、物件売却・取得、そして、取得した後どうなったのかに関しての概要です。

Vision 2022(更新版)

続きまして、「Vision 2022」がどうなったかということに関して、ご報告いたします。(2019年)2月21日に、2022年のDPU目標を3,700円とする「Vision 2022」を発表させていただきました。その当時、2019年のDPU予想は3,258円でした。(スライドの)左側の棒グラフのとおりです。それに対して、(スライドの)右側の現在の姿としては、2019年の配当予想が3,381円と、(前年比で)8.6パーセント増加になります。

もともと、「Vision 2022」の3,700円とは何だったかといいますと、この3,700円と(2018年実績の)3,113円の差にあたる587円を、4年間で上げていこうということでした。これに対して、現時点での予想としては、本年に268円上げられるという見通しです。268を587で割っていただくとおわかりになりますように、「Vision 2022」の目標に対して45.7パーセント進捗したかたちになると考えています。

また、2022年のDPU目標達成のために、2月の時点では、年平均で4.3パーセントの成長が必要と思っていましたが、2019年の最新の予想配当から考えますと、実は3.05パーセントになります。このようなかたちで、「Vision 2022」達成の可能性がより高まってきたと考えています。

CAPEX及び減価償却費

続きまして、今後の配当に関する考え方をご説明させていただきます。配当のキャッシュという意味でいいますと、まずはCAPEXと減価償却費に関して説明します。

2019年のAFFOに対する配当性向は83パーセント以下という低い水準にとどまる予定です。「余剰FFO」というのは、我々が勝手に作った定義ですが、減価償却費からメンテナンスCAPEXを引いた数値ですが、(スライドの)棒グラフの一番右を見ていただくとおわかりのように、2019年は約46億円弱となります。これを、ホテルの付加価値向上を企図したリノベーション・増築、投資主価値の向上のための自己投資口取得などに活用していく予定です。

この余剰フリーFFOおよび内部留保の確保・活用により、2020年から7年間の年間配当金は、原資産として少なくとも3,400円を維持する想定をしています。

2020年から2027年までのDPU目標

さらに、その中身をご説明いたします。「スペーシア恵比寿」の譲渡で56億円、「ロイヤルパークスタワー南千住」の譲渡で54億円。この(スライドに記載の)数値は(端数を)丸めていますが、あわせて約111億円の売却益が出まして、さらに今回はたまたま繰越損失もございましたので、それを使いまして、当期純利益から118億円を6月期に内部留保させていただきます。

これを、増資後の総投資口数である約610万株で割りますと、1口当たりの内部留保が1,945円となります。それに対して、先ほど申しました2019年の予想の配当は3,381円です。

2019年平準化予想は、仮に「18物件も含めた全物件を今年1月1日から持っていました。ただ、売却した住居2物件は1月1日から持っていませんでした」といったかたちで、現在の姿に限りなく近い試算をしますと、3,407円が実力かと考えています。

これを丸めて、3,400円という水準を試算したところ、内部留保・キャッシュフローにより、2027年にかけて少なくとも3,400円レベルのDPUは維持できると考えています。この内部留保を、必要に応じて必要なときに分配金の安定性の確保等に使っていきたいと考えています。

訪日外国人の状況

次のチャプターでは、マーケットに関してお話しします。まず、訪日外国人の状況です。(スライドの)左上の棒グラフにあるように、(訪日外国人旅行者数は)毎年着実に、政府目標を上回るかたちで上昇してきています。2018年は3,110万人で、そこまでの2011年から7年間の平均成長率が約26パーセントとなっています。

ポイントとして、これは数を読み取りにくいのですが、初回訪問者とリピーターを見ていきますと、近年、リピーターが着実に増えてきています。インバウンド全体の65.5パーセントはリピーターということで、「また来たい日本」が実現されてきていると思います。

(スライドの)右上の消費額の推移を見ますと、こちらも着実に伸びていまして、同じく2011年から7年間の年平均成長率が27.8パーセントです。訪日外国人旅行者の消費額は、訪問者数より早いペースで増加が予想されております。

(スライドの)右下の棒グラフでは、(訪日外国人旅行者の)買物代を示しています。買物代は為替等のブレで大きく変化しますが、(グラフの)一番下の宿泊費は、2016年から2018年にかけて、27.1パーセント、28.2パーセント、29.2パーセントと確実に増えています。(グラフの)宿泊費の上の娯楽等サービス費は小さいですが、これもあわせて、コト消費は着実に増加してきています。

なお、(スライドの)左下の円グラフでは(訪日外国人旅行者)マーケット全体(の構成)を示しています。マーケット全体では、中国・韓国・台湾という極東3ヶ国が65パーセント近くを占めるところです。では、どこが伸びているのかといいますと、その右側の表にございますように、2019年の上半期の対前年増加率を見ますと、ベトナム・ロシア・インド・米国・タイといったように、極東アジア3ヶ国以外が伸びてきていますので、こちらをしっかりと取り組んでいこうと考えています。

ラグビーワールドカップ2019試合会場とINVホテルポートフォリオ

(2019年)9月20日から11月2日まで、ラグビーワールドカップが開催されます。すでに、非常に強いラグビーファンの方のご予約はいただいています。ただ、マイステイズ・ホテル・マネジメントによりますと、「そこまでではないが、できれば行きたい」という方の需要が、試合直前に出てくる見込みです。

9月20日まで1ヵ月を切っていますので、いまちょうどピックアップが出ていますが、今後も直前1ヵ月を切ったあたりのピックアップがまだ期待されると考えています。全体で62ホテル、9,713室が試合会場の付近にございます。

2020年東京オリンピック・パラリンピック会場とINVホテルポートフォリオ

そして、来年はオリンピックです。こちらに関しましては33物件、5,236室が(主要会場周辺に)立地しています。そのうち10ホテル、2,725室は、半分強は2016年以降に増資して取得してきた物件です。

現時点で、マイステイズ・ホテル・マネジメントの話によると、最大のADRで、かつキャンセル期間をできるだけ短くするということです。予約をされても、直前にキャンセルされてしまうと決してプラスではございませんので、そのキャンセル期間を非常に短くしていく、キャンセルが不可なところを取り込んでいくかたちでスタートしていると聞いています。

国際的イベントやインフラ整備等によるインバウンド需要の更なる成長期待

国際的なイベントやインフラ整備等は、2020年のオリンピック以降もいくつも予定がございます。これらを含めて、私どもとしてはオリンピック以降も強気で見ています。

その理由は、(スライドの)上部のグラフにあるように、ギリシャあるいはイギリスといった日本人にも馴染みが深い国際的な観光都市ですら、オリンピック・パラリンピックの後は力強く各国での国際観光到着数が増えています。

日本のインバウンドが増え出したのは、せいぜいこの4~5年で、まだまだ「Discover Japan」は始まったばかりです。来てみてこれだけ安全で、クリーンで、食べるものもおいしい、見るところもいっぱいある、温泉は日本中にある、ということがわかった方々がリピートするということで、来年はオリンピックで初めて来られる方が多くなりますので、この方たちが「こんないい国だったんだ」ということに気づいて、2021年以降もリピーターが増えていくと私どもは思っています。

今後の新・増設ホテル計画について

少しだけ供給の話をさせていただきます。ホテルの開発計画に関しましては、(ホテル新規供給客室数は)全国で2019年の5万9,810室がピークであって、その後、2020年には約22.5パーセント低下すると、HOTERESさんのデータに基づいて考えています。

国内・海外ポートフォリオ全体:2019年平準化NOI

今回増資して18物件を取得した後の国内・海外ポートフォリオの姿を、簡単にご説明いたします。

(スライドの)右側は、海外も住居もすべて含めた全ポートフォリオです。上半期に関はNOIで1.8パーセントの上昇、下半期は1.0パーセントの上昇、年間で1.4パーセントの上昇を見込んでいます。

国内ホテルポートフォリオ:2019年平準化KPI

続きまして、国内ホテルに関してです。こちらも18物件を含めた全体の数値です。(スライドの)右側のRevPARとGOPだけご説明します。

RevPARは、上半期は3.7パーセントと非常に強い伸びでしたが、下半期はやや保守的に見ていまして、1.6パーセントの上昇で、年間では2.6パーセント上昇の見通しです。

GOPは、上半期が2.7パーセント上昇の実績に対して、下半期は2.1パーセントの上昇、年間で2.3パーセントの上昇を見込んでいます。

海外ホテルポートフォリオ:2019年平準化KPI

続いて、海外ホテルのケイマン2物件に関してご説明します。(スライドの)右側のRevPARからまいります。RevPARは、今年の上半期は16.7パーセントと非常に高く、私どものホテルの中でもっとも高い伸びを記録しています。

下半期に関しましては、マイナスで見ています。なぜかというと、2018年は特殊要因で、団体が大きく取れたということがありましたので、本当に堅めにマイナスで見ています。年間を通しては4.7パーセントの上昇で見ています。

GOPは、上半期実績が8.9パーセントの上昇、下半期の見通しが1.1パーセントの上昇、あわせて年間で6.2パーセントの上昇で見ています。

全ホテルポートフォリオ:2019年平準化KPI

22ページは、全ポートフォリオです。こちらの平準化KPIに関しては、海外ホテルも国内も全部入れた場合、RevPARレベルで上半期が5.4パーセントの上昇、下半期は0.4パーセントの上昇、年間で2.8パーセント上昇の見込みです。

GOPは、上半期が3.9パーセントの上昇、下半期が2.0パーセントの上昇、年間で2.9パーセント上昇の予想をしています。

増築棟の開発構想の進捗状況(ウェスティン)

続きまして、ケイマンの件に関してです。2月に増築棟の構想のお話しをさせていただきましたが、現在、建築・設計事務所とデザイン・仕様、そして収支計画などの詳細を検討中です。現時点での計画案では、投資額が概算で約150億円。これに対して、15~20パーセント程度のNOI利回りを想定しています。

現計画案では、2020年中の完工で、客室185室の純増を予定しています。実は、2月時点では、174室程度の純増が試案でしたが、そこから10室プラスとなっております。さまざまな詳細に関しても、現在詰めているところでございます。

この増築は、「どうしてもいつまでにやらなければならない」というものではございません。そういった期限に追われるものではございませんし、非常に大きな投資でございますから、拙速に進めるのではなく、じっくり腰を落ち着けて検討していく所存です。

高い収益性の見込まれる追加投資

この検討の過程で、高い収益性が見込まれる飲食関係の追加投資を優先してすべきだということが明らかになってまいりました。具体的には、約3億7,000万円の投資で、年間のNOIで1億900万円と30パーセント近い投資利回りが上がる、料飲エリア3店舗の拡張・改装計画を実施していきます。

これにより、短期的に顧客満足度が向上するとともに、増築すると当然部屋数が増えますので、その増築により、今後増加する顧客需要に応えられますので、増築中・開発中の一部減収を補うことを見込んでいます。

簡単にご紹介しますと、1つは寿司レストランです。いま、無料の託児ルームがあるのですが、非常に利用率が低いです。一方で、寿司は安定的な人気がありますので、これを取り込んでいこうとしています。これにより、どのくらいの宿泊客がホテルのレストランを利用するかという喫食率が、12.5パーセント程度増加することを見込んでいます。これは、いま取り逃している需要です。来年(2020年)1月の完工を見込んでいます。

そして、コーヒーショップです。いまのコーヒーショップは、非常に狭いところで、常に混んでいて、ものすごく高収益なのですが、「混みすぎだ」とお客さまのコメントがあるため、売上の増加と混雑の緩和を企図して、既存店舗を拡張します。倍以上のスペースにする予定です。さらに、人気のテイクアウト需要がありますので、いま外で他に奪われているものを取っていくことができます。こちらも来年1月の完成を見込んでいます。

もう1つ、屋外レストランがあるのですが、こちらはいま、排煙がキッチンから部屋に入って臭いというお叱りを受けることがございます。また、オープンキッチンなので、晴天時以外、ちょっと風が吹いたり雨が降ったりすると営業ができないということで機会損失がございますので、これを拡張・設備更新して、壁・屋根で覆うかたちにして、顧客の満足を高めて収益を上げていきます。こちらは、アネックスに着手する前に改修しようということで、現在、詳細を詰めた上で進行しています。

財務の状況

簡単に、財務の状況についてご説明します。LTVに関しては引き続き、安定的に現在の状況を維持します。資金調達の多様化は進めていきます。今年(2019年)3月のリファイナンスのとき、こちらに新規のレンダーを増やしまして、取引先金融機関は25社に増加しています。

ESGに関する取り組み(2019年7月末時点)

最後に、ESGに関してです。大きな変化はございません。地道に着実に、少しずつ進めていきます。例えば、ガスコージェネレーションは前回よりも増やしていくといったかたちで、着実に取り組みを広げていきたいと考えています。

以上をもちまして、説明を終えさせていただきます。ありがとうございました。

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