決算の数字が、株価をここまで動かすことがある。リクルートホールディングス(6098)は2027年3月期1Qの決算を発表し、営業利益が大きく伸びたことに加え、通期の見通しを大幅に引き上げた。これを受けて株価は発表直後に急騰している。何がそれほど評価されたのか。直近1カ月の値動きと決算の中身から読み解いていきたい。
※本記事中の株価は、過去の株式分割の影響を調整した値を使用しています。
この記事の3つのポイント
- 2027年3月期1Qは営業利益が前年同期比66%増と大幅増益
- 通期の営業利益予想を5割近く引き上げ、株価が急騰
- 牽引役はHRテクノロジー事業。持続性と株主還元が焦点
発表後に急騰した株価、直近1カ月の値動き
直近1カ月の株価は、しばらく方向感の乏しい展開が続いていた。調整後終値は7月半ばから8月上旬にかけておおむね12,000円台で推移し、8月7日は13,165円だった。ところが週明けの8月10日、株価は16,165円まで一気に上昇している。前営業日から2割を超える急騰である。
この急騰は、直前に発表された四半期決算と、それに伴う通期見通しの引き上げが評価されたものだ。直近時点のPERは29.82倍、PBRは12.68倍と、いずれも市場平均と比べて高い水準にある。それでも買いが集まった点に、今回の決算に対する期待の強さがうかがえる。
2027年3月期1Qは営業利益66%増、HRテクノロジーが牽引
急騰を呼んだ決算の中身を見ていく。2027年3月期1Qの売上収益(IFRS)は1兆453億円で前年同期比18.9%増、営業利益は2,554億円で同66.1%増、親会社の所有者に帰属する当期利益は2,026億円で同67.5%増となった。売上の伸びを大きく上回る利益の伸びである。
会社によれば、けん引役はHRテクノロジー事業だ。同事業の1Q実績と2Q以降の見通しがいずれも想定を上回ったと説明している。求人プラットフォームを中核とするこの事業は利益率の高さが際立ち、全社の利益成長をリードしている。人材派遣事業、マーケティング・マッチング・テクノロジー事業も、それぞれ増収を確保した。
通期予想を営業利益で5割近く上方修正
今回の決算で市場が最も強く反応したのは、通期予想の引き上げだろう。会社は2027年3月期通期の営業利益予想を、従来の7,870億円から9,450億円へと引き上げた。前期比では5割近い増益見通しとなる。売上収益の予想も4兆2,300億円へと引き上げられている。
1Qの営業利益2,554億円は、この通期予想の3割弱に相当する。四半期の一つとしては順当なペースだが、HRテクノロジー事業の勢いが下期にかけて続くという会社の見立てが、上方修正の背景にある。株価の急騰は、この引き上げ幅の大きさに対する評価だと読み取れる。
筆者コメント
今回の株価急騰は、単なる好決算への反応というより、会社が示した「この先の景色」への評価だと感じている。1Qの数字も強いが、より効いたのは通期予想を営業利益で5割近く引き上げてきたことだ。市場は足元の実績以上に、上方修正という会社の自信の表明を買ったのだろう。ただし高いPERとPBRが示すとおり、株価はすでに強い成長を織り込みつつある。ここから先は、その期待に実績が追いつけるかが問われる局面に入る。
