近年、動画配信サービスの普及やスマートフォンの定着に伴い「テレビ離れ」が加速しています。

総務省の最新調査では、インターネットの1日平均利用時間が10年前から約2倍となり、平日・休日ともにテレビのリアルタイム視聴時間を上回る結果となりました。

本記事では、公的調査や電通が発表した最新データをもとに、年代別のメディア利用実態と企業の広告支出の変化について詳しく解説します。

1. ネット利用時間がテレビを大幅超過!30代以下で顕著な「テレビ離れ」と単身世帯のTV保有率

総務省の「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」によると、全年代におけるインターネットの1日平均利用時間は平日で194分、休日で202分を記録し、10年前からほぼ倍増しました。

リアルタイムのテレビ視聴時間を明確に上回り、その差は広がり続けています。

年代別に見ると、30代以下では平日・休日問わずネット利用がテレビを圧倒しており、40代・50代でほぼ拮抗、60代では依然としてテレビ利用がネットの約2倍というギャップが存在します。

さらにLINEリサーチの調査では、単身世帯におけるテレビ保有率が10代で58%、20代で69%にとどまり、70%を超えたパソコン保有率を下回る結果となりました。

テレビ受像機を持たず、スマホやPCで配信コンテンツを楽しむライフスタイルが若年層を中心に定着していることがうかがえます。

2. 企業の広告費もネットシフトが加速!2024年の総広告費は過去最高の7.6兆円超へ

メディア利用構造の変化に伴い、企業の広告出稿先も大きく様変わりしています。

電通が発表した「2024年 日本の広告費」によると、日本の総広告費は前年比104.9%の7兆6730億円となり、3年連続で過去最高を更新しました。

市場の成長を強力に牽引しているのがインターネット広告費です。

前年比109.6%の3兆6517億円と堅調に拡大し、総広告費全体の47.6%と約半分を占めています。

2021年に「マスコミ4媒体(新聞・雑誌・ラジオ・テレビ)広告費」を初めて逆転して以来、デジタル領域の強さが際立っています。

一方のマスコミ4媒体広告費も2兆3363億円(前年比100.9%)と3年ぶりのプラス成長となりましたが、インターネット広告との差は広がる一方です。

人々のメディア接触の変化に合わせ、企業マーケティングの主軸が確実にデジタルへとシフトしている様子が浮き彫りとなっています。

3. 【監修者コメント】時間が動けば、お金も動く ― 数字で読むメディア構造の転換点

私はもともとテクノロジーセクターを担当する証券アナリストとして、インターネット業界の勃興を数字で追ってきましたが、この記事の要点は「人の時間」と「企業のお金」が同じ方向に動いている点だと考えています。総務省の調査(令和5年度)では、ネットの利用時間は平日で194分と、10年前のおよそ2倍に増えました。その一方で、電通「2024年 日本の広告費」によれば、インターネット広告費は3兆6517億円に達し、総広告費の47.6%と、ほぼ半分を占めるまでになっています。

ここで押さえておきたいのは、この二つが別々の話ではない、ということです。広告費は突き詰めると「生活者の可処分時間があるところ」へ流れていきます。人々の時間がネットに移れば、企業の予算も少し遅れて後を追う。利用時間が約2倍になったこの10年で、ネット広告費がマスコミ4媒体(2兆3363億円)の1.5倍を超えるまで伸びたのは、その連動の表れと読めます。時間とお金は、時間差を伴いながら同じ曲線を描くのです。

メディアや広告に関わる方は、目先の媒体別シェアだけでなく、「生活者の時間がこの先どこへ向かうか」を出発点に考えると、次の一手が見えやすくなるのではないでしょうか。

泉田良輔(CMA)

参考資料

LIMO編集部