株式市場

6月以降、売り優勢の展開

インド株式市場は6月以降、海外要因では米中貿易摩擦を巡る不透明感、国内では景気の鈍化などから、売り優勢の展開となっている(2019年8月30日現在)。

当社の株式運用戦略

当社ではインド株式市場に対する強気の見方を維持している。インド経済は着実に成長しており、構造改革の進展から、成長率はさらに加速すると見られている。また、本年4月~5月の総選挙で与党インド人民党(BJP)が単独過半数を確保し安定した政治基盤のもとで高成長・構造改革路線が継続される見通しとなったことも、株式市場にとり強力なサポート要因。

インド株式の運用では、持続的な収益成長性を有しながらバリュエーションに割安感のある銘柄を選別。業種別には金融をオーバーウェイトとし、エネルギー、生活必需品、ヘルスケアをアンダーウェイトとしている。また、第2期モディ政権は、100兆ルピー(約160兆円)のインフラ投資計画(高速道路建設、都市住宅建設、水供給システム、地下鉄建設など)を発表しており、インフラ関連銘柄が恩恵を受けることが見込まれる。

債券市場

7月半ば以降は一進一退

インド国債市場は、5月以降上昇(利回りは低下)基調にあったが、7月半ばからは一進一退となっている(2019年8月30日現在)。世界的な金融緩和の動き、インド準備銀行による利下げがプラス要因となる一方、米中貿易戦争を巡る不透明感、新興国市場全般に対する投資家センチメントの悪化などが悪材料となっている。

中央銀行は8月7日、政策金利を0.35%引き下げ5.40%とした。金融政策のスタンスは「緩和的」を維持。声明では、減速する国内経済を利下げで下支えする意向を示した。今後もインフレの落ち着きが見込まれる中で、中央銀行はさらなる利下げを行うと見られる。

当社の債券運用戦略

インド債券市場は、グローバル投資家にとり良好な投資機会を提供していると見ている。インド経済はインフレ率を歴史的低水準に抑えながら、足元でやや減速しているものの、高い経済成長を続けており、ファンダメンタルズは良好である。また、インド国債は投資適格級ながら、利回りが高水準にある点も注目される。

インド債券の運用においては、引き続きインドルピー建国債に重点を置いて投資している。また、短中期のインドルピー建社債を選好している。一方、米ドル建債券には慎重な姿勢を維持する。

為替市場

インドルピーは8月以降、下落

インドルピーは8月以降、下落している(8月30日現在)。新興国市場全般に対する投資家センチメントの悪化、国内ではインド政府がカシミール州の自治権を剥奪し、パキスタンとの緊張が高まっていることが悪材料となっている。

ルピー相場は、相対的に良好な経済ファンダメンタルズや潤沢な外貨準備高が支援材料となり、中長期的に堅調な展開が予想される。総選挙が終了し、政治の不透明感が払拭され、第2期モディ政権下で構造改革路線が継続する見通しとなったこともプラス要因。